-東欧地域-

 

第7節 東 欧 地 域

 

1. 現   状

 

わが国は,東欧諸国とは政治・社会体制を異にしているが,その間には特別な政治的懸案はないので,多角的な国際関係を促進させるとの基本的立場に立って,これら諸国との友好関係の維持,促進に努めてきているところ,これら諸国も,最近わが国の急速な経済発展に対する認識を強め,欧州における東西間の緊張緩和の進展にともたって,わが国との貿易・経済関係の緊密化に積極的な姿勢を示してきている。

1972年度においては,貿易・経済関係要人の往来がさらに活発となり,河野参議院議長の東欧諸国訪問等国会間の交流も引き続き頻繁となってきており,また文化交流も漸次増大している。

 

2. 東独との外交関係設定交渉

 

わが国は,東独(ドイツ民主共和国)とは外交関係を有していないが,72年11月の東独のユネスコ加盟,国連への常駐オブザーヴァーの派遣,同年12月の東西両独間基本条約の調印等の情勢の進展にかんがみ,東独よりの外交関係設定交渉開始の提案に応じ,73年3月7日右交渉を開始した。

 

3. 経 済 関 係

 

1972年における日本の対東欧(東独,アルバニアを含む)貿易は輸出2億7,500万ドル(前年比38%増),輸入1億900万ドル(26%増)で,総額3億8,500万ドル(34%増)となり,これまでの最高を記録し,日本の貿易額に占める割合も1967年のO.8%に次ぎ2番目の0.73%(輸出0.96%,輸入O.46%)となった。

貿易額による順位では,第1位はポーランドで1億2,867万ドル(前年比75%増),以下東独5,971万ドル(29%増),ルーマニア5,923万ドル(33%増),ユーゴースラヴィア5,328万ドル(21%増),ブルガリア3,435万ドル(13%増),チェッコスロヴァキア2,809万ドル(微減),ハンガリー2,118万ドル(18%増),アルバニア19万ドル(60%減)となっている。

1972年における輸出の延びは,主として,ポーランド(前年比110%増),ルーマニア(33%増),東独(29%増)等各国における国内工業建設の拡大に伴う各種鋼材をはじめ,合成樹脂,各種機械設備,ベアリング等重化学工業製品の買付およびポーランドの合成繊維製品の買付が増加したことによるものである。

他方,輸入においては,アルミおよび珪素等の買付により対ユーゴ輸入が大幅に延びた(前年比189%増)ほか,ブロイラー,アルミ(ハンガリー),マンガン(ルーマニア),粘結炭(ポーランド)の買付も増大した。しかしながら,工業製品輸出,農産物,工業原料輸入という対東欧諸国貿易の品目構造には変化がみられず,東欧諸国からの買付増大要請にもかかわらず,その産品にはわが国買付関心品目が少いので,わが国の大幅な出超による貿易アンバランス問題解決の徴候はみえていない。

東欧諸国は,わが国の急速な経済発展に注目し,また有力な先進工業国としての認識を深め,自国の経済建設促進に必要な先進技術および機械設備等の資本財獲得先,また産業協力のパートナーとして,対日貿易,経済関係増進に対する態度を一段と積極化しており,貿易,経済関係者の来日,各種機械設備等の買付商談ないし引合を一段と活発化させるとともに,種々の機会を通じ,政府および業界に対し,貿易アンバランスの是正方要求越し,また,経済,産業協力拡大を要請越している。

他方,わが国業界も,わが国経済規模の拡大,発展にともない,対東欧貿易に関心を示しつつあり,1971年に引き続き,貿易,経済関係増進に関する意見交換のための国別委員会(72年4月対ブルガリア,5月対チェッコスロヴァキア,対ルーマニア,6月対ポーランド,対ユーゴースラヴィア)が設置され,科学技術協力に関する取極(10月ポーランド)も締結された。

 

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