-南北問題解決への寄与-

 

第6節 南北問題解決への寄与

 

国際経済情勢が激しい動揺を続けている今日ほど,わが国が経済政策を遂行するに当って緊密な国際協力を求められ,新たな秩序づくりにおいて世界的役割を担うことが期待されている時はない。このことは第三世界に対する国際的経済協力の分野においても例外でない。わが国としては,高度経済成長の結果えられた経済力をもって,開発途上国の自助努力に根ざした経済社会建設のための開発援助につとめ,もって世界の平和と繁栄に貢献してゆかねばならない。わが国がこのような役割をはたすことは先進工業国としての国際的責務であるが,同時に開発援助を通ずる世界経済の調和ある発展への貢献は,究極的にはわが国の国益にも合致した施策であると考えられ,政府としてはそのような基本的認識に立って累次,明らかにしてきた方針に基づき,わが国の開発援助の改善と拡大に努める所存である。

今日,わが国の対外経済協力は,総量においては米国に次ぐ規模にまで成長したものの,その中核をなすべき政府開発援助(0DA)は,量・質の両面にわたり今だ満足すべき状態であるとはいえない。このような政府開発援助の改善を図るため,わが国としては,量の面では,第三回UNCTADで約束した政府開発援助の対GNP比0.7%の国際目標達成のために最善の努力を続け,また質の面では,贈与比率の拡大,借款条件の緩和,アンタイイングの促進等につき一層努力するとともに,援助形態の多様化,社会開発部門への援助の拡大等を図る必要がある。さらに,これらの諸施策と並んで,援助対象地域の拡大を図り,アジア諸国のみならず広く中南米・中近東・アフリカの諸地域に対しても,各々の地域的特殊性に見合った経済協力を進めるとともに,国内的にもわが国の援助体制自体の整備を進めていくことが肝要と思われる。

 

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