-国際資源・エネルギー問題-

 

第5節 国際資源・エネルギー問題

 

国際資源・エネルギー情勢は,0PEC(石油輸出国機構)の石油政策,世界のエネルギー需要の急速な増大,米国におけるエネルギー供給不足の見通しに基づく「エネルギー危機」意識の高まり等により大きな転換期を迎え,極めて流動的に推移している。

OPEC加盟産油国は,そのナショナリズムに基づく価格政策,事業参加政策、国有化政策等により,従来の単なる徴税者としての立場から脱皮し,国際石油産業に対するコントロールを強化せんと試みている。これらの政策は止め難い歴史的な流れであるとも考えられる。この結果,従来国際石油会社が果してきた世界的な石油の供給調達機能が次第に大きく制約されつつある。同時に,国際石油供給面における構造的変化が生じており,主要石油消費国としては石油の安定供給確保が大きな関心事となるに至っている。

また,米国々内のエネルギー供給不足の見通しは,世界のエネルギー・石油市場に強いインパクトを与えている。今後,米国の石油輸入は急速に増大すると予想され,従来,世界石油市場のアウトサイダー的存在であった米国が新規に巨大な輸入国として参入することが明らかになってきている。今後とも,石油の海外依存度が高いわが国および西欧諸国との石油資源確保をめぐる過当競争の懸念なしとしない。

さらに,0PEC加盟産油国の資源保全政策に注目する必要がある。既に,0PEC加盟国の中には資源保全政策を強く打ち出している国もあり,また最も将来性に富むと期待されている産油国の中には既に尨大な石油収入があるため増産へのインセンティブが必ずしも強くないものがあり世界の石油生産が消費国の期待するように行なわれない恐れなしとしない。

国内資源に乏しく,今後,ますます多量のエネルギー・石油資源を輸入しなければならないわが国としては,生産国,消費国,国際石油資本等の利害が複雑多岐に絡みあう中において一般的国際協調を前提にして,エネルギー・石油生産国との協力関係を全面的に強化するとともにエネルギー・石油輸入国との多面的な国際協力を推進し,エネルギー・石油資源のわが国への長期安定供給の確保のための総合的な対策を打出し,これを実行していく必要があろう。

 

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