-沖繩返還協定及び関係資料-

 

2. ヴォイス・オヴ・アメリカ中継局の運営の継続に関する交換公文

   (日本側書簡)

書簡をもつて啓上いたします。本大臣は,本日署名された琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定第8条の規定に言及するとともに,同条にいう取極を次のとおり提案する光栄を有します。

1. ヴォイス・オヴ・アメリカ中継局(以下「中継局」という。)は,アメリカ合衆国政府が所有する次の施設で構成される。

   A 国頭村奥間の送信局

     運営用建物             14

     住宅                14

     アンテナ              22

     付随の諸施設

   B 恩納村万座毛の受信局

     運営用建物              3

     アンテナ              27

     付随の諸施設

   C 北谷村浜川の住宅及び業務用施設

     住宅                 9

     事務用建物              1

     運営用建物              1

     アンテナ               5

     付随の諸施設

2. 中継局の送信活動の範囲は,次のとおりとする。

(1) 中波放送

a 周波数             1,178キロサイクル

b 電力             1,000キロワット以下

c 1日当たりの送信時間          6時間以内

(2) 短波放送

a 送信機

  100キロワットのもの           1台以内

  35キロワットのもの           2台以内

  15キロワットのもの           1台以内

  5キロワットのもの            1台以内

b 1日当たりの周波数時間         32.5時間以内

c アンテナ                  6面以内

(3) 使用言語

現在使用されている言語に限る。

(4) 中継局が使用する放送用,無線テレタイプ用及び連絡用の周波数その他電波の発射の基本的特性に関する事項((1)から(3)までの事項を除く。)については,日本国政府の権限のある当局が現在の特性を基礎として承認する。その承認を受けた特性のその後のいかなる変更についても,日本国政府の権限のある当局の承認を受けなければならない。中継局は,例外的な場合には,日本国政府の権限のある当局の承認を受けたうえ,(1)c及び(2)bに定める限度をこえて臨時に放送時間を延長することができる。

3. アメリカ合衆国政府は,国際電気通信条約に附属する無線通信規則に従い,国際周波数登録委員会に対し,中継局に対する周波数の割当て(季節別高周波放送計画を含む。)を通告する。アメリカ合衆国政府の権限のある当局は,その通告の細目を日本国政府の権限のある当局に通報する。

4. アメリカ合衆国政府は,日本国の電波関係法令によつて規律される無線局又は受信設備が中継局から受ける混信その他の妨害をできる限りすみやかに除去するため必要な措置をとる。

5. アメリカ合衆国政府は,中継局の活動から又はこれに関連して生ずる中継局又はその職員に対するすべての請求を公正かつ迅速に解決する責任を負う。

6. 中継局を通じて中継される番組に関する責任は,アメリカ合衆国政府のみが負う。もつとも,日本国政府は,必要と認めるときはその番組につき自己の見解を表明する権利を留保し,アメリカ合衆国政府は,日本国政府が表明した見解を尊重する。

7. この取極の実施のための細目は,必要に応じ,両政府の権限のある当局の間で合意する。

本大臣は,さらに,この書簡及びアメリカ合衆国政府に代わつて前記の取極を確認する閣下の返簡が,本日署名された琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の効力発生の日に効力を生ずる両政府間の合意を構成するものとみなすことを提案する光栄を有します。

本大臣は,以上を申し進めるに際し,ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します

1971年6月17日に東京で

日本国外務大臣  愛 知 揆 一

日本国駐在アメリカ合衆国特命全権大使

  アーミン・H・マイヤー閣下

 

(米国側書簡)

(訳文)

書簡をもつて啓上いたします。本使は,本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。

(日本側書簡)

本使は,さらに,アメリカ合衆国政府に代わつて,前記の取極を確認するとともに,閣下の書簡及びこの返簡が,本日署名された琉球諸島及び大東諸島に関するアメリカ合衆国と日本国との間の協定の効力発生の日に効力を生ずる両政府間の合意を構成するものとみなすことに同意する光栄を有します。

本使は,以上を申し進めるに際し,ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。

1971年6月17日に東京で

アーミン・H・マイヤー

日本国外務大臣 愛 知 揆 一閣下

 

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