-日本政府が関与した重要共同コミュニケおよび政府声明-

 

(8) マルファティ欧州共同体委員会委員長の公式訪問に際しての共同コミュニケ(仮訳)

 

(1972年2月10日 東京にて)

 

1. フランコ・マリア・マルファティ欧州共同体委員会委員長は,日本国政府の招待により,1972年2月12日から18日まで,日本国を公式に訪問した。同委員長には,エミール・ノエル委員会事務総長,ベニアミーノ・オリーヴィ委員会スポークスマン,ヴォルフガング・エルンスト委員会通商総局通商政策局長,レナート・ルジェロ委員長付官房長,ファブリツィオ・カッツィア・ドミニオーニ委員長付審議官,ディトリッヒ・ハンマー委員会ダーレンドルフ委員付官房次長が随員として同行した。

2. マルファティ委員長は,2月16日皇居において,天皇陛下に謁見を賜わつた。

3. 同委員長は,2月14日,佐藤栄作総理大臣を表敬訪問した。総理大臣及び委員長は,この会談において,双方が共通の関心を有する広範囲の問題につき率直かつ有益な意見交換を行なつた。討議は,もつとも友好的な雰囲気の中で行なわれ,日本国と欧州共同体との間の友好関係と相互理解とを一層増進することの必要性が確認された。この点に関し,委員長は総理大臣に対し共同体委員会が近く東京に欧州共同体広報事務所を開設する予定である旨を伝えた。

4. マルファティ委員長は,2月14日及び15日の両日,福田赳夫外務大臣と会談を行なつた。会談は,日本国及び欧州共同体の双力にとつて相互に関心のある多くの重要な問題について行なわれた。

委員長と外務大臣は,世界経済における日本国及び欧州共同体の地位がますます重要になりつつあることにかんがみ,世界経済の安定と発展にとつて日本国と欧州共同体との間の緊密な協力が不可欠であることを確認し,1673年にガットの枠内において出来るだけ多くの国の参加をえて,多角的,包括的な通商交渉を開始し,これを積極的に支持することについて日本国と欧州共同体の立場が一致していることを強調した。

5. 委員長と外務大臣は,また,日本・欧州経済共同体通商交渉に関しては,ガットの原則に基づき,その妥当な解決を図ることに合意した。

この会談を終えるにあたり,日本国と欧州共同体との経済関係の今後の一層の発展を図るため,両者の接触を強化することが望ましいとの観点より,貿易及び経済に関する共通の関心事項につき協議するため日本側閣僚と共同体側委員会委員との間で意見の交換を随時行なうことに意見の一致をみた。

6. 委員長は,また水田三喜男大蔵大臣,赤城宗徳農林大臣,田中角栄通商産業大臣及び木村俊夫国務大臣・経済企画庁長官と会談した。これらの会談は,いずれももつとも友好的かつ打ちとけた雰囲気の中で行なわれ,相互に関心のある各般の問題について意見の交換が行なわれた。

7. 委員長は滞日中,東京及び大阪において,実業界及び金融界の代表的指導者と懇談の機会をもつた。

8. 委員長は,また,大阪及び京都を訪れた。

委員長は,東京及び関西地方滞在中造船所及び農園を視察するとともに,歴史的関心のある仏閣及び庭園をも訪れた。これらの訪問により,委員長は日本及びその文化の多くの分野に親しく接する機会を得た。

9. 委員長は,委員長及び随員一行が滞日中極めて暖かい歓迎を受けたことに対し,日本国政府及び日本国民への深い感謝の意を表明した。

 

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