-日本政府が関与した重要共同コミュニケおよび政府声明-
(昭和46年4月15日)
コンゴー民主共和国大統領ジョセフ・デジレ・モブツ中将およびモブツ夫人は,日本政府の公式招待により1971年4月6日から15日まで日本を訪問した。大統領には,また,カルドーゾ外務大臣,ナムウイジ大蔵大臣,ロアンゴ貿易大臣,ビセンジマナ大統領府官房長官,サンブワ中央銀行総裁,その他多数の随員が同行した。
モブツ大統領夫妻は日本滞在中4月7日,天皇,皇后両陛下と会見した。
大統領は,また,東京および大阪において多くの日本財界代表者と接触するとともに,電器工場,造船所,銅製練所,製鉄所等の工業施設を訪れた。さらに大統領はNHK放送センター,鉄道技術研究所を視察した。
モブツ大統領と佐藤総理大臣は,4月8日長時間にわたつて,国際情勢および両国間の関係について話し合つた。
卒直かつ友好的な雰囲気のうちに行なわれたこの会談により大統領と総理大臣は,世界の諸問題に対する両国それぞれの立場を,よりよく理解し,第三者を介しない二国間の協力の基礎を打ち立てることができた。
大統領と総理大臣は,両国政府は各国の主権と独立を尊重することにより,世界平和を維持する努力を続ける意向であることを再確認した。
この点に関し,大統領と総理大臣は,世界を維持し,国際協力を促進するための機関としての国際連合の持つ重要性を強調するとともに,このためにこの国際機関を今後とも支持していくことに意見の一致をみた。
コンゴー民主共和国と日本との関係に関し,大統領と総理大臣は,両国間に存在する友好関係について,また,すべての分野特に貿易,経済,金融,文化の面における協力関係の明るい見通しについて満足の意を表した。
大統領は総理大国に対し,コンゴー民主共和国の今後10年間の開発計画に入る種々のプロジェクトについて説明した。大統領はなかんずく,コンゴー政府がカタンガ州とバナナ湾を結ぶ鉄道の建設を重視している旨強調した。総理大臣は,日本政府がこれら種々のプロジェクトの実現に関心を有している旨,また特にバナナ-マタディ間の輸送力増強計画に対し適当な方法により協力する用意がある旨述べた。
大統領と総理大臣は,両国間の技術協力の必要性について意見の一致をみた。
大統領と総理大臣は,両国国民の相互理解を増進するために,科学,文化の面における交流および両国国民の接触を奨励する意向であることを再確認した。
大統領は,日本滞在中に大統領夫妻および随員一同が受けた暖かい歓迎に対し,日本政府に衷心より感謝の意を表明した。
大統領は,佐藤総理大国に対しコンゴー民主共和国を訪問するよう招請した。総理大臣は,この招請を受諾した。日程は後日合意により決定される。