1971年4月20日在スワジランド大使館を5月6日在レニングラード総領事館を6月11日在レソト大使館を6月29日在ボツワナ大使館(以上いずれも兼館)及び1972年1月1日在ミュンヘン総領事館をそれぞれ開設し,1971年10月1日在エドモントン及び在オークランド各領事館をそれぞれ総領事館に昇格した。また,1972年1月1日夜ガボン大使館を兼館から実館とした。
これをもつて1972年4月1日現在のわが国在外公館は,大使館121館(うち実館87,兼館34),政府代表都4館(国際連合,ジュネーブ国際機関,軍縮委員会及び経済協力開発機構),総領事館46館,領事館8館,総計179館(うち実館145,兼館34)となつている。
外務省における職員研修の制度は,職員が在外公館に勤務して外交事務に従事するため必要な外交上の基本的心得及び在外公館の事務に必要な知識を習得させ,かつ,わが国内事情,日本文化などについての一般的知識を深めさせることを目的として研修を行なつている。1969年度においては,研修の中心である外務省研修所の規則を改正し,研修所機構の強化と研修内容の向上を図つたが,本来これらの改正面を生かしつつ職員研修の効果を挙げるよう努力している。1971年度に行なつた主な研修は次のとおりである。
(イ) 外務省上級幹部に対し,外務大臣特命により外交に関する基本的かつ主要な問題についての調査研究を行なわせる上級幹部研究員制度に基づき1971年度は1名が研究を終了し,現在まで合計10名の終了者を出している。
(ロ) 外務公務員採用上級試験合格職員に対しては,入省後人事院主催の国家公務員初任合同研修に参加せしめた後研修所における3ヵ月間の国内研修に参加せしめ,次いで,本省各局課において1年間の実務経験を終了せしめたのち,海外における2~3年間の研修に派遣した。
(ハ) 外務公務員採用中級試験合格職員については,入省後研修所における3ヶ月間の研修に参加せしめ,次いで,本省各課における1年間の実務経験を経たのち海外における6ヵ月間の語学研修に派遣した。
なお,外務省語学研修員試験合格職員についても前記中級職員と同様の国内研修及び実務経験を終了せしめたのち海外における2~3年間の語学研修を受けさせるため,それぞれの研修語の国に派遣した。
(ニ) 在外公館に勤務する職員の夫人が直接,間接に果す役割の重要性にかんがみ,在外勤務予定者の夫人に対しその在勤中の夫人の役割を十分認識せしめることを主眼とした「夫人研修」及び「夫人語学研修」を実施することとしているが,1971年度においては,前者については,3回にわたり76名がまた後者については,18名が研修を終了した。現在まで夫人研修終了者は340名,夫人語学研修終了者は59名に達している。
(ホ) 最近特に在外公館における「経済及び経済協力」に関する事務の重要性がとみに増加したことにかんがみ,職員約30名に対し,中間研修の一環として研修所においてこれらの事務の実務研修を実施した。
(ヘ) なお,以上のほか各省庁主催の研修又は国際貿易研修センターにおける研修やEROPA外交官研修等外国諸団体主催の研修にも少数ではあるが職員を派遣している。
外務省においては,在外公館の活動及び運営状態,経理状態,在外公館に勤務する職員の能率,研修及び服務状態等に関し,在外公館を査察するため毎年査察使を派遣しているが,昭和46年度においては,南米地域に黄田多喜夫元外務事務次官を査察使として派遣し,同地域の在外公館の査察を実施した。
1971年4月開館した「外交史料館」(東京都港区麻布飯倉6丁目14番地)は,幕末開国から第二次大戦終結(終戦関係分を含む)までの外務省記録4,800冊を収蔵し,内外の希望者に閲覧の便をはかるとともに,条約書その他重要史料を展示公開している。なお同館では記録のうちから重要文書を選定し,系統的に配列編さんした「日本外交文書」を刊行しているが,1971年度においては大正9年(1920年)まで総冊数にして118巻をだしている。