(1) 国際捕鯨委員会第23回会合
1948年発効した「国際捕鯨取締条約」(加盟国は現在,日本,オーストラリア,カナダ,デンマーク,フランス,ソ連,英国,南ア,アイスランド,メキシコ,パナマ,ノールウェー,アルゼンチン,米国の14ヵ国)に基づき設置された国際捕鯨委員会の第23回会合は1971年6月ワシントンで開催され,(イ)1971~72漁期の南氷洋における母船式捕鯨によるひげ鯨の捕獲総頭数を2,300頭(白ながす鯨換算)とすること,(ロ)1972年漁期の北太平洋におけるながす鯨,いわし鯨およびまつこう鯨の捕獲頭数をそれぞれ,1,046頭,3,768頭および10,841頭とすること,(ハ)すべての海城における国際監視員制度を実施するため,関係締約国間で協議を行なうべきこと等が合意された。(なお,これを受けて1971年9月東京において日,ソ,ノールウェーによる政府間会議が開催され,南氷洋および北太平洋の母船式捕鯨のための国際監視員制度に関する協定がそれぞれ日,ソ,ノールウェーおよび日ソの間で作成され,又,1972年北太平洋の基地式捕鯨のための国際監視員制度に関する協定が,日米間で,外交チャネルを通じた協議の結果作成された。)
(2) 国別割当会議
委員会が決定した1971~72年漁期の南氷洋における母船式捕鯨によるひげ鯨の総捕獲頭数ならびに1972年漁期の北太平洋のながす鯨,いわし鯨およびまつこう鯨の捕獲頭数を国別に割当るための政府間会議が,委員会年次会議終了後ワシントンで開催されそれぞれ南氷洋捕鯨規制取極,北太平洋捕鯨規制協定を作成した。
両協定により決定された割当は以下のとおり。
(イ) 南氷洋
日本 1,346頭
ソ連 904頭
ノールウェー 50頭
(いずれも白ながす換算)
(ロ) 北太平洋
(i) ながす鯨
日本 454頭
ソ連 560頭
米国 32頭
(ii) いわし鯨
日本 2,506頭
ソ連 1,222頭
米国 40頭
(iii) まつこう鯨
日本 4,608頭
ソ連 6,173頭
米国 60頭
なお,両協定は,1971年7月30日東京において署名され,同日発効した。
日,米,加およびソ連の間で1957年採択されその後修正延長された「北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約」は,当事国による北太平洋のおつとせいの海上猟獲を禁止し,(その代償として,おつとせいの繁殖島を持つ米国およびソ連は陸上で猟獲したおつとせい獣皮の15%を繁殖島を持たぬ日本およびカナダにそれぞれ配分することとなつている。)同条約に基づき設置された北太平洋おつとせい委員会に,おつとせいの陸上猟獲との関連において海上猟獲が一定の状況下で許容されるか否かを研究し勧告するとの任務を課しているが,同委員会の第15回年次会議は,1972年3月モスクワにおいて開催され,わが国からは藤村委員(水産庁次長)他が出席した。
1969年発効した「大西洋のまぐろ類の保存に関する国際条約」に基づき設置された大西洋まぐろ類保存国際委員会は,現在,日本,米国,カナダ,フランス,スペイン,南ア,ガーナ,ブラジル,ポルトガル,モロッコ,韓国およびセネガルの12ヵ国により運営されているが,その第2回通常会議が1971年12月マドリッドにおいて開催され,大西洋のまぐろ類資源の評価およびその管理のための意見交換等が行なわれた。
1950年発効した「北西大西洋の漁業に関する国際条約」(加盟国は,現在,米国,英国,アイスランド,カナダ,デンマーク,スペイン,ノールウエー,ポルトガル,イタリア,フランス,ドイツ,ソ連,ポーランド,ルーマニアおよび日本の15ヵ国,日本は1970年7月1日加入)に基づき設置された北西大西洋漁業国際委員会は,北西大西洋の漁業資源の保存およびその合理的利用の見地より,この漁業に関する調査研究を行ない,その結果に基づき総漁獲量の決定等の規制措置を締約国に提案する任務を有している。
同委員会の第21回年次通常会議は,1971年5月カナダのハリファックスにおいて開催され,総漁獲量規制・禁漁区,禁漁期,漁網の網目規制等の各種規制措置が採択された。
1950年発効した「全米熱帯まぐろ類委員会の設置に関するアメリカ合衆国とコスタ・リカ共和国との間の条約」(加盟国は,現在,米国,コスタ・リカ,カナダ,パナマ,メキシコおよび日本,日本は1970年7月1日加入)に基づき設置された全米熱帯まぐろ類委員会は,東太平洋のまぐろ類資源の保存のために,同資源に関する調査研究を行ない,その結果に基づき必要な規制措置を締約国に勧告する等の任務を負つている。
同委員会の第24回年次会議は1972年1月東京において開催され,同年のきはだの総漁獲量を12万トンとする等の規制措置を採択したが,同会議では,わが国鈴木委員が議長をつとめた。
北太平洋漁業国際委員会第18回年次会議は,1971年11月1日から5日まで,米国アラスカ州アンカレッジにおいて開催された(これに先立ち10月18日から同じ場所で同委員会の生物学調査小委員会等が開催された)。
この会議における主たる討議事項は下記のとおりであつた。
(1) 1953年に発効した「北太平洋の公海漁業に関する条約」(日米加漁業条約)に基づいて日本が漁獲を抑止している西経175度以東の水域におけるさけ。ます,ベーリング海を除く水域における北米系のおひようおよびカナダ沿岸の一部水域におけるカナダ系のにしんについて,これらの魚種が抑止のため必要とされている条件を引き続き備えているかどうかの検討。
(2) 東部ベーリング海のおひようの共同保存措置の決定および締約国政府に対するその実施のための勧告。
(3) アラスカ湾で日本が行なつている底引漁業が同水域のおひよう資源に及ぼす影響。
(4) 西経175度付近における北米系とアジア系さけ。ますの混交の状態。
(5) 東部ベーリング海のたらばがにおよびずわいがにの資源状態。
(6) 北東太平洋のおひよう以外の底魚の資源状態。
(7) 委員会の財政運営事項。
(1) 日ソカニ交渉
第3回日ソ政府間カニ交渉はモスクワにおいて1971年3月1日から4月30日まで行なわれ,かに資源に対する日ソ双方の法的立場を棚上げした上で,1971年におけるかにの漁獲の量を合意するに至り,5月18日,新関大使とイシコフ漁業大臣との間に書簡が交換され,合意議事録が署名された。
この取決めにより,1971年の北西太平洋におけるわが国のかにの漁獲量は,全体として従来の実績を下回ることとなつた。
(2) 日ソ漁業委員会第15回会議
北西太平洋日ソ漁業委員会第15回会議は1971年3月2日から東京において開催され,5月7日,日ソ双方の委員が合意議事録に署名して終了した。
その結果,わが国の1971年のサケ・マス年間漁獲量はA区域46,000トン,B区域49,000トン(但しB区域については10%以内の増減があり得る)と決定された。
日韓漁業共同委員会第6回定例年次会議は,1971年6月9日から12日まで東京において開催された。同委員会は両国が行なつた漁業資源の共同調査の結果を審議するとともに,両国漁船間の事故防止と迅速な処理のための政府による指導を両国に勧告することを決定した。
1970年12月25日署名された「パプア地域およびニュー・ギニア信託統治地域に関する合意された議事録に基づき,パプア・ニューギニア地域における漁業開発に関する投資前基礎調査団が1971年7月より9月にかけて同地域に派遣された。
現行の日中民間漁業協定は,底曳網漁業については,70年6月,旋網漁業については,70年12月,いずれも日中漁業協会と,中国漁業協会との間に締結され,有効期限はいずれも72年6月までである。
1968年6月に発効した「日墨漁業協定」にもとづく両国間の第3回定期会合は1971年9月20日,21日の両日東京において開催された。外務省人見中南米審議官を団長とするわが国代表団と,カストロ・イ・カストロ外務次官補を団長とするメキシコ側代表団との間で,上記協定に定める操業水域におけるわが国まぐろ漁船の操業に関する諸問題につき意見の交換を行なつた。