-東欧地域-

 

第7節 東 欧 地 域

 

1. 概     観

 

わが国は,東欧諸国とは政治・社会体制を異にしているが,これら諸国との間にも友好関係を維持,促進するとの基本的立場に立つて,主として経済分野を中心として関係増進に努めてきているところ,これら諸国も,最近わが国の経済発展に対する認識を強め,対日関心を著しく深める一方,東西間の緊張緩和の進展にともなつて,わが国との関係緊密化に積極的な態度を示すに至つている。

1971年度においては,イェンドリホフスキー・ポーランド外務大臣(現大蔵大臣)が4月に公賓として来日し,両国間の相互理解・友好関係強化に貢献したのを始めとして,東欧各国との文化・人事交流も漸次増大しており,また国会議員団の相互訪問等国会間の交流も頻繁となつてきている。

わが国と東欧諸国との間には,特別な政治的懸案はないので,今後とも相互理解の増大に努めるとともに,新らしい情勢に適応した協力関係の発展のために,長期的な観点に立つて,努力を続けていく方針である。

 

2. 経 済 関 係

 

1971年における日本の対東欧(東独を含む)貿易は輸出2億ドル,輸入は86百万ドルで,総額は2億86百万ドルとなり,前年に比し,輸出は36%増加となつたのに対し,輸入は25%減少となつたが,総額では10%増加で,これまでの最高を記録した。然し,日本の貿易総額に占める割合は1970年を下回り0.6%となつた。

貿易額による順位では,第1位はポーランドで,7,363万ドル,以下東独4,618万ドル,ルーマニア4,462万ドル,ユーゴースラヴィア4,402万ドル,ブルガリア3,047万ドル,チェコスロヴァキア2,916万ドル,ハンガリー1,801万ドル,アルバニア47万ドルとなつている。

同年における輸出の伸びは,主として,ポーランド,東独,ルーマニア等各国における国内工業建設の拡大に伴う各種鋼材をはじめ,これら各国およびチェコスロヴァキア等のわが国工業技術水準に対する関心の増大を反映し,各種機械,設備,ベアリング,自動車用タイヤ・チューブ,黒鉛電極等の工業製品買付が増加したことによるものである。他方輸入が不調におわつたのは,主として,東独,ポーランドからの銑鉄が各国の内需増加による対日輸出余力の減退およびわが国最近の不況との関連から買付が全く途絶えたのをはじめ,長期契約によるポーランド原料炭の引取も,わが方鉄鋼減産体制の影響等により可成りの減退を示したことによるもので,この結果,ブルガリアおよびルーマニアに対する夫々ブロイラーおよび非鉄金属(アルミ)等の買付増加も効果を現わすに至らなかつた。

なお,同年11月8日~9日,ワルシャワにおいて日本・ポーランド経済混合委員会(第3回議会)が日本側有田外務省欧亜局長,ポーランド側外国貿易省第2局次長を夫々団長とする双方代表団(日本側は関係業界代表も参加)の間で開催され,両国間貿易・経済関係増進につき意見交換が行なわれた。

東欧諸国の対日貿易・経済関係増進に対する態度は同年においても更に積極化の傾向が現われ,貿易・経済関係者の来日は勿論,各種機械,設備等の買付商談ないし引合を一段と活発化させるとともに,種々の機会を通じ,政府およびわが方関係業界に対し,対日経済・産業協力の拡大の意図を強調する一方,わが方関係業界との間に,貿易・経済関係増進に関する意見交換のための機関設置(ハンガリー,11月)や科学・技術協力取極締結(ユーゴ,8月)等の動きがみられた。

 

東欧地域要人来訪一覧表

 

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