国連の社会・人権問題

1. 社会開発宣言案

本宣言案は,社会開発の原則,目的および手段を定めようとするものであるが,第23回国連総会は,この前文および本文第1部(原則)を採択した。なお,各国の経済社会制度の多様性および発展段階の相違にもかんがみ,本宣言はいわば妥協の産物というべきものとならざるを得なかった。

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2. 国家開発における青少年の長期的政策および計画に関する予備的報告

1969年2月開催の第20回社会開発委員会において,事務局作成の「国家開発における青少年の長期的政策および計画に関する予備的報告」が審議され,最近の学生運動等との関連もあり,大きな関心を呼び,青少年の経済・社会開発への参加の増大をよびかける決議が採択された。

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3. 社会福祉担当大臣会議

社会福祉担当大臣会議(1968年9月3日から12日まで)は,社会福祉原則の設定,社会福祉要員訓練の推進および社会福祉分野において国連が採るべき措置に関する勧告について審議するために初めて開催され,新たな機構の設置を勧告した。本会議には,88ヵ国が代表(わが国代表は山本厚生次官)を派遣した。

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4. 戦争犯罪および人道に対する罪に対する時効不適用に関する条約の採択

第23回総会で採択された本条約は,前文および11条からなり,戦争犯罪および人道に対する罪を犯した者に対し,その犯罪の犯行時点のいかんを問わず時効を撤廃することを目的とする。わが国は,過去にさかのぼり時効の適用を撤廃することは憲法39条に反する疑いがあること,また犯罪の定義が不明確であるとの理由から締約国の範囲を定めた第5条に賛成したほかは,各条項および条約案全体に棄権した。

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5. 国際人権年の行事

1963年の第18回国連総会は世界人権宣言採択20周年にあたる1968年を国際人権年と指定し,人権賞の授与,パンフレット類の発行,総会特別会議,特別演奏会等を開催したほか,最大の行事として国際人権会議を4月22日から5月13日までテヘランにおいて開催した。わが国も上記国際人権会議に積極的に参加するとともに,国内的にも,1968年12月10日の「人権デー」に国際人権年に関する総理特別メッセージを発出したほか,主要行事として,同日,皇太子,同妃両殿下のご臨席のもとに国際人権年記念式典を挙行した。

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