海外移住振興会社の活動

日本海外移住振興株式会社は、昭和三十七年度に政府出資による五億円の増資が行なわれたため、資本金は三三億円となり、引き続き移住地事業、移住関係金融および直営事業を行なっている。同社は、昭和三十七年度の事業方針として、移住地の購入を必要最小限にとどめることとし、既購入移住地の造成と移住者およびその団体に対する営農資金などの貸付けに重点を置いた。

なお、同社は、従来米国の市中銀行から借款を受けていたが、借款期間が満了したため昭和三十七年以降は受けることができなくなった。また、同社は、前述のとおり、海外移住事業団法が成立したので、昭和三十八年七月十五日から同事業団に統合された。

1 移住地事業

昭和三十七年度に購入した移住地は、ブラジルの第二トメアスおよびピニヤールの両移住地である。第二トメアス移住地はベレーン市の南南東二一〇キロメートルにあり(トメアス移住地に近接)、面積は、二万五、八○○ヘクタールで、購入費は五六二万五〇〇円であった。目下造成工事を進めているが、合計八八○戸の入植(そのうち現地入植は二八○戸)を予定しており、現在までに二六戸の現地入植が行なわれている。また、ピニャール移住地はサンパウロ市の南方一五〇キロメートルにあり、面積は、七五六ヘクタール、購入費は一、八二〇万円であった。目下同じく造成工事を進めているが、合計六〇戸の入植(そのうち現地入植一八戸)を予定しており、現在までに四戸が入植している。

同会社が創立(一九五六年)以来購入した移住地は、右二移住地を含め別表一のとおりで、これに対し、昭和三十八年三月末までに合計約十六億六、○○○万円の資金を使用している。

2 融資事業

会社が「移住者に対する農業融資基準」に基づいて、一九六二年四月から十二月までに行なった営農融資は計四〇七件、約三億五、○○○万円である。また、企業融資としては、同年十一月アルゼンティンの中曾根農場による養鶏事業に対し一四四万円の貸付を行ない、さらに一九六三年三月にはエクアドルの古川拓植によるアバカ栽培事業に対し七万五、○○○ドル(二、七〇〇万円)の融資を決定した。

なお、この会社創立以来一九六二年十二月までの投融資実績は、別表二の通り総額約二五億二、○○○万円に達している。

3 直営事業

この会社の直営事業として、ブラジルにおいてチェテ牧場、パラグァイにおいてエンカルナシオン第一倉庫を引き続き保有して収益をあげているが、さらに一九六二年六月ボリヴィアにおいてサンタ・クルス第一倉庫、同年七月パラグァイにおいてエンカルナシオン第二倉庫が完成し、また、一九六三年三月にはボリヴィアにおいてサンタ・クルス第二倉庫の建設に着手した。

別表一

別表二

 

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