○日本国とイランとの間の文化協定

日本国政府及びイラン政府は、

相互の利益のため、両国を結ぶ文化的のきずなを維持し、か

つ、緊密にすることをひとしく希望して、

文化協定を締結することに決定し、このため、次のとおり全権委員を任命した。

日本国政府

外務大臣 岸  信 介

イラン政府

日本国駐在特命全権大使 ホセイン ゴズ ナカイ

これらの全権委員は、その全権委任状を示してそれが良好妥当であると認められた後、次の規定を協定した。

第一条

両締約国は、文化、学術科学、技術芸術、教育及びスポーツの分野における両締約国の国民の間の良好なかつ有効な協力を維持するため、できる限りの便宜を相互に与えるものとする。

第二条

1 両締約国は、教授、学者、学生その他科学的及び文化的活動に従事する者の両国間における交換を奨励するものとする。

2 両締約国は、自国において相手国の文化が一層理解されるように、演奏会、演劇、美術展覧会その他の文化的性質を有する展覧会及び運動競技会の開催をできる限り奨励するものとする。

両締約国は、同様に、書簡、定期刊行物その他の各種の出版物、音盤及び科学的、教育的又は文化的性質を有する映画の頒布並びに自国における相手国のラジオ放送を奨励するため、便宜を相互に与えるものとする。

第三条

両締約国は、自国の大学その他の教育又は研究の機関における相手国の言語、文学、芸術若しくは歴史又は当該相手国の文化に関するあらゆる問題を取り扱う講義の拡充及び創設をできる限り奨励するものとする。

第四条

両締約国は、いずれか一方の締約国の国民が、相手国において修学又は研究を行うことができるように、これらの者に奨学金その他の便宜を与えるための方法を研究するものとする。

第五条

この協定に、批准されなければならない。この協定は、テヘランで行われるべき批准書の交換の日の後一箇月で効力を生ずる。

第六条

この協定は、五年間効力を有する。いずれか一方の締約国が、この協定を終了させる意思を五年の期間が満了する少くとも六箇月前に通告しない限り、この協定は、それぞれ五年の期間、その効力を延長されるものとする。

以上の証拠として、署名調印のために任命された全権委員は、この協定に署名調印した。

千九百五十七年四月十六日に東京で、フランス語により、本書二通を作成した。

日本国のために

岸  信 介

イランのために

H・ゴズ ナカイ

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