「レガシーシステム見直しのための外務省行動計画」
旧式(レガシー)システムの刷新可能性調査結果について
平成16年3月
1.対象システム概要
通信機能強化システムは、本省と在外公館間で送受信される公電を本省に設置されたメインフレームで処理するシステム。
2.調査概要
対象となっている現行通信機能強化システムは平成8年度に運用が開始され、平成11年度から情報化推進委員会の下に新システムに関する作業部会を設置した。調査・研究にあたっては、予算化の上、作業部会での検討をも踏まえ、システムの適正化、費用対効果、業務効率化を念頭におき、平成12年度に詳細な調査・研究を行った。
○作業部会での検討、調査・研究の主眼6項目
- 省力化
- 低価格化
- 軽量化、移動性能の向上
- 全在外公館一律の高サービス
- 災害等の際の万全のバックアップ
- 情報共有への対応
○新システム移行までの具体的スケジュール等は以下のとおり。
- 1999年度(平成11年度) 省内に作業部会を設置
- 2000年度(平成12年度) 構想立案(調査・研究)
- 2001年度(平成13年度) 基本設計
- 2001~2002年度(平成13~14年度) 詳細設計
- 2002~2003年度(平成14~15年度) 開発(プログラミング、各種テスト等)
一般競争入札(政府調達)による機器調達の実施
- 2003 年度末(平成15 年度末) 新システムへの移行
3.レガシーシステムの課題
(1) |
経済性
システム構築当時は大量のデータを安定かつ迅速に処理するためには、メインフレーム方式が一般的であった。
また、メインフレームはハード及びソフトがメーカにより異なるため、機器の調達、システムの構築・運用保守を随意契約にせざるを得なかったため、競争原理が働きにくく、経済性の面で問題があった。
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(2) |
業務効率
公電を印刷するための膨大な量の紙の消費、過大な作業負担、情報の共有及び二次利用の困難性など。
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4.調査・研究の結果
オープンシステムの技術進歩に伴い、大量データを高速処理可能な低価格の製品が普及してきた。
これを踏まえ、上記3.に掲げる課題を解決するために、メインフレームによる中央集約処理型からオープンシステムを利用した分散処理型にシステムを変更することにより、より経済性が高く、効率性の高いシステムを実現することが可能であり、また、公電業務の効率化、費用対効果が期待できる等、外交業務の円滑な推進に寄与するとの結論を得た。
(1) |
経済性の向上
メインフレームからオープンシステムへ刷新することにより、入札による機器調達が可能となり、構築・運用コストの削減が期待できる。
《平成15年度に機器調達のための政府調達・一般競争入札を行った結果、システム運用経費が現行の約13億円から約8.5億円に削減できる見込み。》
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(2) |
業務効率化
特定の端末において行っていた公電業務を、パソコンを利用して行うことを可能とし、公電の迅速な伝達、効率的な情報共有を図ることを可能とする。
・公電の紙配布による作業負担とランニングコストの軽減が期待される。
・公電処理過程における工程数の削減が可能となる。
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5.備考(その他の課題)
レガシーシステムのバックアップシステム構築については、公電データのバックアップのみならず外交通信システム全体の安全性を求め、システム構築時点から継続してその検討を進めてきたところであるが、新システム移行にあたり、改めて新システムを含めた外交通信システム全体の安全性についての刷新可能性調査を行う必要がある。
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