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1.日 時: 平成12年12月11日(月)14:30-15:50 2.場 所: 外務省892号会議室 3.出席者: (審議会委員)
佐野宏哉会長
阿藤誠、飯野正子、歌田勝弘、海野研一、枝村純郎、大石芳野、賀陽治憲、川村皓章、中村啓三、西藤冲、古橋源六郎、三角哲生、山田勝久の各委員(事務局)
外務省
今井領事移住部長、新美領事移住政策課長、山田中南米第二課長、宇喜多文化第二課長、大村領事移住政策課企画官、4.議 題: 「海外日系人社会との協力に関する今後の政策」 5.会議経過
- (1)佐野会長より、昨秋の総会を受け、その後、小委員会において意見書案「海外日系人社会との協力に関する今後の政策」がまとめられた旨述べた。続いて枝村小委員会委員長より、小委員会における審議の経緯、意見書案に盛り込まれている理念と具体的な施策の基本的な考え方につき報告した(別紙の意見書の概要参照)。続いて意見書案の構成につき、新美領事移住政策課長より説明した後、各委員より別紙の主要意見の通りの諸意見が述べられた。
(2)最後に会長より、当審議会として意見書を採択することとしたい旨提案し、右は全会一致で承認された。今井領事移住部長より意見書に含まれている基本的な理念とそれを踏まえた数々の提言を今後の施策の形成・推進に当たり尊重していきたい旨述べた。 (3)採択された意見書は、同日夕刻、佐野会長より河野外務大臣に提出された。
海外移住審議会第74回総会
【委員の主要意見(要旨)】
1.意見書の概要
(1)基本的な考え方
- (イ)理念
我が国の基本外交政策は、平和で安全な国際社会の維持に寄与し、そのために積極的に良好な国際環境を整えることであるといえる。この観点から、海外日系人は、居住国及び我が国の双方を良く理解しうる「懸け橋」となりうべき存在であり、日系人の居住国での活躍は我が国にとって有形無形の財産である。
日系人社会にとり居住国社会への同化と貢献は基本であり、これらが達成されつつある中、日系人の間では日本とのつながりは自ら努力しないと消えてしまうものであるとの思いも生じている。このような様々な日系人の要望をくみ取ることが重要である。海外日系人の必要に応じた協力、支援が日系人社会の地位向上、対日理解・我が国のイメージの向上につながる。
従って、日系人及び日系人社会との協力は、我が国の外交政策上においても積極的かつ明示的に意義付けられることが望ましい。(ロ)考慮されるべき点
我が国が海外日系人社会との更なる協力を推進していくためには、海外日系人社会の形成の経緯や特色等の相違を考慮したきめ細かい対応が肝要であり、「支援」という考え方から先方の必要に応える互恵的な「協力」へという意識が必要である。
日本の社会がグローバル化する中、日本人も外国人も分け隔てなく共生できる社会を目指すべきであるが、日系人の本邦就労は、そのための先駆的な存在として位置付けられる。
20世紀の海外移住事業で残されている課題の解決をなおざりにしてはならず、戦後の荒廃期や阪神・淡路大震災の際の海外日系人社会からの支援を忘れてはならない。政府支援により送り出した国として日系人社会の求めるところの変化にあわせて引き続き支援を実施していくべきことは当然である。
移住の歴史・意義につき日本国民が正しく理解することが日系人社会との協力関係の基盤として重要であり、その広報が必要である。
- (2)具体的施策
- (イ)移住者に対する支援措置としては、特に高齢移住者福祉施策、国際協力事業団等の行っている移住者支援の継続につき提言。移住者の払った犠牲と努力は、日本国民として誇りとし、敬意を払うべきものであり、そのためにも移住・日系人社会に関する国民への啓発・広報、学術的研究への協力が必要であることを提言。
(ロ)我が国と海外日系人社会との関係維持・促進のための支援としては、日本語教育に関する総合的な政策の必要性、日本語を学習した日系人の日系企業への雇用促進、日系人に対する我が国の新しい情報の提供、日系人社会との幅広い人的交流の促進等を提言。
(ハ)開発・経済・技術分野での協力としては、人材育成、日系人の人材活用、日系人社会への裨益を考慮した国単位・大陸単位のプロジェクトへの協力、有効なビジネス情報の提供等を可能とする日系人グローバル・ネットワークの構築等を提言。
(ニ)日系人の本邦就労については、日系人の受入れ、情報の事前提供、本邦滞在中の支援、居住国帰国後の支援の必要性につき提言。
(ホ)日系人社会、内外関係方面との連携と協力の強化としては、各地の日系団体の組織化及びグローバル・ネットワーク構築に対する支援の重要性、海外日系人大会及びパン・アメリカン日系人大会への支援の必要性等を指摘。
- 2.主な意見
(1)移住当初においては、受入国への同化、定着といった課題が中心であり、移住された人々への支援が大きな柱であった。これらの当初の課題は、移住者の方々の大変な努力によりほぼ克服され、日系人社会が居住国において尊敬される存在となったことから、今やこうした日系人社会との協力をどのように進めるかに重点が移ってきている。
そのためには、日系人社会が何を必要としているか把握することが重要である。日本側からすれば、立派に発展成長した海外日系人社会に居住国と我が国の「懸け橋」という役割を期待できるであろうが、そのためには日本語の普及等に協力する必要があるであろう。また、日系人と協力することにより経済技術協力等でも新たな可能性が広がるのではないかと思われる。(2)「支援」から「協力」への意識の進展は非常に重要な指摘である。意見書案は内容的に多岐に亘っているが、賛成である。移住について、日本国民よりどれだけ正しい理解を得られるかが大切。2世、3世には、来日したが日本嫌いになって帰国するケースが多々あり、文化の違いが大きく影響している。
(3)意見書案に感銘を受けた。移住者支援の問題を始め、我が国と日系人社会との関係促進、日系人の国際協力分野での積極的活用、日系人本邦就労の問題等についてバランス良く纏められている。日本が今、移民送出国から受入国の方向に動いていることは事実であり、 日系人の本邦就労を我が国のグローバル化の先駆的ケースとみなし、21世紀の問題を先取りした内容となっている。
(4)日系人社会のグローバル・ネットワーク構築については、コンセプトとして非常に重要であり、インターネットの活用等を通じ、21世紀の重要な柱として、人的な交流、知的交流等にも寄与するものとなろう。
(5)外務省に対する要望が2点ある。第1は、諸外国の移住政策についての調査・研究が不足しており、諸外国の研究機関との連携を図る必要があること、第2は、日系人社会との協力のあり方についての政策を外交政策の中に積極的に位置付けができるような仕組み、システムを外務省内に構築してほしいことである。
(6)我が国の移民研究における国際的な協力、学術交流の面で支援が必要である。
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