「阿蘭陀船風説書」とは、オランダ船が長崎の出島に来航する度に、オランダ商館長より江戸幕府に提出された海外情報。鎖国体制下の江戸幕府にとって、海外の情勢を知る貴重な情報源であった。展示史料は、1852年(嘉永5年)「阿蘭陀船風説書」の写しである。
これ以前の風説書でも、アメリカが日本との交易を求めているとの情報が伝えられていたが、展示史料では、大統領からの書簡を携行したアメリカの軍艦が中国から日本に向かおうとしていること、日本との交易のみならずカリフォルニアから中国へ向かう船舶に供給するための石炭置き場の設置を求めること、そして、1853年4月にも「ペルリ」が江戸に向かう準備をしていることなどを具体的に指摘している。
なお、本展示史料が所収されている「続通信全覧」とは、江戸幕府が編集した「通信全覧」を引き継いで、外務省が1871年(明治4年)から約10年かけて編纂した江戸幕末外交に関する外交史料集である。
(『続通信全覧』修好門「米使ペルリ初テ渡来以前荷蘭國ヨリ忠告一件 単」所収)
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