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記者会見

外務大臣会見記録(平成15年3月)


INDEX


・ 外務大臣会見記録(3月28日付)
 ・ 閣議
 ・ 北朝鮮情勢(わが国情報収集衛星の打ち上げ)


・ 外務大臣臨時会見記録(3月27日付)
 ・ 外務省機構改革最終報告


・ 外務大臣会見記録(3月25日付)
 ・ アフガニスタン復興開発に対する緊急無償資金協力
 ・ 水フォーラム
 ・ イラク情勢


・ 外務大臣臨時会見記録(3月23日付)
 ・ イラク情勢


・ 外務大臣臨時会見記録(3月20日付)(午後)
 ・ イラク情勢


・ 外務大臣会見記録(3月20日付)(午前)
 ・ 土屋政務官の人権委員会ステートメント
 ・ イラク情勢
 ・ 大臣の世界水フォーラム欠席
 ・ 北京日本人学校駆け込み脱北者


・ 外務大臣会見記録(3月18日付)
 ・ 閣議・閣僚懇談会
 ・ 中東地域の邦人の避難状況
 ・ イラク情勢


・ 外務大臣会見記録(3月14日付)
 ・ イラク情勢
 ・ 対外経済協力関係閣僚会議
 ・ 日米官民会議、日米次官級対話
 ・ 拉致問題
 ・ 在日米軍基地関係
 ・ 日中関係


・ 外務大臣会見記録(3月11日付)
 ・ 閣議・閣僚懇談会
 ・ 第3回世界水フォーラム
 ・ 新安保理決議案に際する各国との電話会談


・ 外務大臣会見記録(3月7日付)
 ・ イラク情勢
 ・ 北朝鮮関係


・ 外務大臣会見記録(3月4日付)
 ・ 閣議
 ・ 茂木副大臣のイラク訪問
 ・ 矢野副大臣のアンゴラ訪問
 ・ 在イラク邦人の保護
 ・ イラクに関する国連安保理新決議案
 ・ 北朝鮮情勢






外務大臣会見記録 (平成15年3月28日(金)08:45~ 於:官邸ぶら下がり)

・閣議

(外務大臣)私より2つありまして、一つは国際平和協力法。これでテントを160張30日に到着地ヨルダンに向け送ることが決定されました。もう一つは、テロ特措法に基づく給油ですが、対象国をあと2つ拡大してカナダとギリシャにつき今日この後署名をすることになっています。

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・北朝鮮情勢(わが国情報収集衛星の打ち上げ)

(問)今日、日本の情報収集衛星の打ち上げがありますが、これに対して北朝鮮側が、自分達も打ち上げる権利があるんだというような反発をしていますが、弾道ミサイルの発射についてはどのようなご認識でしょうか。

(外務大臣)特に、そのような兆候があるとの情報は持っていません。今おっしゃったようなことを北朝鮮が言っていると承知をしておりますが、特に今、私どもとしてそういう風になりそうだという情報は持っていません。

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外務大臣会見記録 (平成15年3月27日(木)15:45~ 於:会見室)

・外務省機構改革最終報告

(外務大臣)いよいよ機構改革について、結果を発表させていただくことが出来る日になりました。これは経緯は改めて申し上げるまでもなく、私が昨年の2月に外務大臣になった時に透明性、実効性、スピードという3つのキーワードを出して、10の開かれた外務省のための改革ということを言い、そして昨年の夏に行動計画が省内いろいろな議論を経た上で出来まして、その後、機構についての中間報告、そして、この度、機構についての(最終)報告をお出しするということでございます。これも議論をしていく過程で、行動計画を発表したときもそうだったんですけれど、やはり、組織というのはその中で働く人たちが、これがよいという議論を積み重ねてやるということでなければいけないと私は思いまして、そして、茂木副大臣をはじめとして、先頭に立っていただきましていろいろな人にいろいろなグループで議論をしていただきました。そして、とても良い議論がその場で出来たと思いますし、今朝も省議で話をしていましたけれども、みんながいろいろな意見を集約して、いい形に納まったというふうに思います。組織というのは先を見てどういうふうに考えていくかということですから、先の、10年先、或いはもっと先の外務省に必要とされていることを組織として持ってなければいけないというこ とです。それで、どういう考え方かというのを報告書をお配りをしていると思いますが、いくつか柱がございます。
 ひとつが外交戦略の策定機能ということでして、これは、地域ごとにそれぞれ局で縦割りで政策を作るということではなくて、やはり、これからは総合性というのが大事だと思います。ということで、外交戦略の策定機能、総合的にそれをやっていくということです。
 2番目の日本国民の保護と危機管理、これは、申すまでもなく、日本からの旅行者、或いは日本にいらっしゃる旅行者の数が、一昔前りも断然大きくなりまして、外務省の仕事しても領事部門の国際化に従って、ということが非常に大きくなりました。そういう意味で本国民の保護と危機管理にどうやって対応するかというのが、2番目の柱です。
 3番目に情報収集分析能力の強化ということを挙げています。日本にとって重要な存在感がある外交をやっていく上での必要なことをベースとして、国際情報の収集分析があるわけですから、そこを強化をするということです。
 それから、4番目に新たな国際的枠組みの構築ということでございます。これは、今まで外務省の伝統的な政策というのは、どちらかと言えば、二国間、バイの問題を中心に政策が出来上がってきて、恐らく世界をずっと眺めた時に、これから外交をやっていくウエイトとして、マルチの舞台での日本の外交能力、外交力ということを上げていかなければいけない。そういう意味で社会もグローバル化していますし、問題としてもテロの問題、拡散の問題、環境の問題、人権、貧困、その他開発課題、地球規模の問題、或いは、経済面ではFTAとか自由貿易とかいろいろありますので、そういった意味で、新しい国際的枠組みの構築というのがあります。
 5番目が平和構築・定着に向けてのイニシアティブということでして、これもいろいろな分野で外交の大きな柱として言ってますけれど、それをやっていく。この5つを柱に組織を変えました。
 最初の外交戦略策定機能の強化ということで、何をしたかということですけれども、総合外交政策局、これをきちんとした形で筆頭局として位置付けるということで、その機能を強化するということです。そういう意味では総政局をスリム化して、国社部を官房に移して、総政局は安全保障絡みということで、今までの軍科審組織ですけれど、それを部にして、総政局にするということです。それで、総政局というのは、単に筆頭局だと言っているだけでは、筆頭局になかなかなりませんので、それを具体的にどうやってやっていくかということで考えますと、政策の企画立案、いい政策についての予算を付けるというところまで、総政局としてやっていくということです。その意味で総政局の中にそれぞれの他の局を担当する人をおくということです。次に経済協力局、いわば総合的な政策能力、外交戦略策定機能の強化ということでも、経済協力については、一つはODAについて、各省の連携をやっていくことが、非常に大事であります。そういう意味でODAを担当する副大臣、そして各省の間の調整を担当する審議官をおくということと、それから、そういう連絡、連携をもっとする企画官をその下におくということです。今までは無償とか、有償とかスキーム別に課が分かれていたのですけれども、国に統合して、この国に対して、どういう経済協力をやっていくかということで考えていかないといけませんので、スキーム別の所を地域別重視の体制にしていくということでして、全体からいうと16年度で考えますけれど、この部分については、前倒しして15年度から導入をしたいと思っています。
 2番目の日本国民の保護と危機管理というところで、変えることは、領事移住部を領事局にするということで、それから領事専門官というのを中において、そういった仕事の専門性を高めるということです。危機管理については、今官房長が危機管理官ということで担当していますけれど、そういうことではなくて、別途、審議官クラスの危機管理官をおいて、平素からの危機管理体制の整備を行うということです。
 3番目の情報収集、分析能力の強化と申しましたけれど、それのために、国際情報局を国際情報統括官という形にしまして、情報についての、インテリジェンスの世界での専門家集団を全体として作るということを考えています。統括官ですから、自分の局ということでやるのではなく、省内、省全体の各地域、或いは各国にまたがる情報全体の専門家として見るということを思っています。
 4つ目の柱の新たな国際的枠組みの構築ですけれど、いくつか考えておりまして、一つは地球規模問題戦略本部というのを組織として、恒常的に作ります。これは、地球規模問題について、関係する局、或いは部署がいくつかあります。国社部もそうですし、経済協力局もそうですし、いくつかありますが、国社部長がヘッドになって地球規模問題戦略本部で、この問題ついての横割り機能を持たせるということです。それから、国社部につきましては、今まで総政局にありましたけれども、これは官房に持っていき、より独自性を持たせるということと、国際機関の予算等が使えますので、官房の方がより良いだろうということと、併せて国社部の強化というところで、全体を、戦略を考えることを担当する課、それから、今までよりは、今3課体制ですが、5課体制にします。条約局は国際法局というふうに名前を変えまして、今まではバイ、マルチということで、分かれていたのですが、分野別に担当するということです。経済局についても今まで国際機関別に分かれていたのですけれども、それを課題別にしていくということでして、FTAですとか、例えば、エネルギー、食糧、水とかそういった分け方になるということです。軍備管理科学部については、先程言いましたけれど、総政局のところで、これも安全保障ということで、より強化するため、部にすると言いましたが、これもマルチという意味では大きな役割を果たすので、併せて、この強化もマルチの強化という意味もございます。
 平和構築・定着に向けてのイニシアティブというのは、これは、平和構築をやっていく関係部署が省内沢山ありましたので、平和構築調整委員会というのを作りまして、経済協力局と国社部併任の審議官をおいて、この人に担当してもらって、この審議官を長にしまして、総政局とか、経協局とか、国社部、地域局との関係者で平和構築の調整委員会を作る。早いうちから連絡調整をしてやっていくということで、それは、基本的に考え方と、その考え方に基づいてどういうふうに組織を変えるかということのご説明でございました。
 私としては、「終わりの始め」というふうに思っておりまして、一応組織は立ち上げたのですけれども、これに実際に魂を入れてよく動く組織にしていかなければいけないということでして、これから「終わりの始め」ではありますが、終わりの真ん中辺、終わりの終わりに行くまでは相当時間がかかるわけですが、これをみんなで一生懸命にやっていきたいと思います。
 そしてもう一つ、課を1割削減というのが、全部の霞ヶ関でありまして、外務省の場合は5課削減ですけれども、全体として平成18年度に行うということですが、外務省は2年前倒しにしまして、平成16年度からやるということです。今年の秋に全部の機構とか、定員とか、予算とかの要求をしまして、それを通した上で、平成16年度から実施したいということです。

(問)昨年来の組織改革を巡る議論で、廃止を巡る議論の中で、一つが条約局の廃止という議論が党内、それから「変える会」にあったと思います。あと、経協局を外庁化するという議論があったかと思います。それらが、そうはしなくていいという判断が、どの様な議論を経てその判断に至ったのかということを第一にお伺いしたいのと、せっかくなので茂木副大臣に、副大臣になられる前、党の方でまさにそういう提言を外務省にされていらっしゃったと思いますが、その点からどういうふうにお感じになっているか、お願いします。

(外務大臣)条約局を局じゃないようにしようという議論は確かにありました。ただ、いろいろみんなで考えて、外務省の中でいろいろ議論をすると、むしろ条約局は、先程国際法局と言いましたけれども、今後の日本の国際社会の秩序を作っていくという観点から言うと、もっと強化をしなければいけないのではないかという文章があれにあったということと、もう一つ、私は条約局を廃止をしようという時に出てきた議論は、どちらかと言えばそれが守りの仕事をしているという印象が世の中にあったんだろうと思うのですね。それは実はそうではない、だから強化ということなんですが、総合外交政策局という総合調整機能を持つ局との間で、外務省の中心になるのは総政局か条約局かだと、そういう議論の中で条約局は廃止して、総政局を強くしたらいいのではないかという発想が背後にあったと思うのですが、そういう意味では先程も申し上げたような形で、総政局はそういうふうにして強化をしたということで、総政局が中心になるというところはそのまま、それをやってその上で秩序作りのためにもっと必要な能力を見て、国際法局という形で強くしたい。ここには、あとで茂木副大臣からまた御説明あると思いますが、専門家、外部の人を、例えば任期採用するする等、そこで入れて専門性をもっと高める。それから例えば、ロースクールに留学をしてもらって専門性を高める。国際会議、国際機関でみんな条約作りとかそういうことをやるわけですね。そういうところでもばりばりやる人を育てたい、そういう気持ちです。

(茂木副大臣)条約局の話でありますが、先程言いました自民党の小委員会、「変える会」の方で、今週、骨子の形で御説明を申し上げまして、御了解頂いております。骨子で説明しました趣旨はまさに、今大臣の方から説明をさせて頂いたとおりでありますが、私は小委員長を、副大臣になるまでやっていました時に思っていた当初の印象というのは、外務省全体としてこの条約局というのは一番強い局であると。例えば国際法的な枠組み、出来上がったものに乗っかって、それを守るということで強い局であると、こういう印象を持っていました。中に入ってみますと、決してそんなに強くない。問題は外務省の中できちんとした強い局はないことなんだ、こういうことでありまして、その意味から、今大臣も申し上げたように、総政局を筆頭局としてきちんと機能している形。その一方で、出来上がった枠組みをそのまま維持するということではなくて、国際社会の中でいろいろな法的な枠組み、これから作っていかなければならない。まさにルールメーキングに積極的に関与していく、こういう役割はFTAの世界においても、国際犯罪の世界においてもたくさん出てくると、そういうことできちんとした役割をしていく。こういうことから、そういう新しいルールを作る面では機能を強化していく必要があるのではないかな、こういうふうに考えたわけであります。経協の関係でありますが、外庁につきましては確か自民党の提言の中でも将来的な課題として取り扱う、こういうことでありまして、その後、党でもODAの検討会の中でも、そういう結論であったと思います。ほぼ全体的なコンセンサスとしては、ODAが他省庁に渡る、こういう中で調整官庁の中心になるのは外務省である。従って、今回の改革の中でも全体のODAの調整を行う審議官というものを置かさせて頂く。そして、今の様な有償、無償、技協、こういうスキーム別から、より国別援助に、こういうことに重点を置いた形においていくと。その上で今後、いろいろな省庁との調整であったり、新しいODAを進める意味で外庁にする必要があるのかどうか、これは今後の検討課題ということでありますけれども、今の段階で外庁にすることを前提とか、そういうことで考えているわけではありません。

(問)大臣にお伺いします。昨年の夏の行動計画が出された時に、外務省改革は2段ロケットだという表現をされたと思うのですが、この2段ロケット目というのは今回のこの機構改革に当たるということでしょうか。

(外務大臣)そうですね。

(問)その当時、具体的には主にどういったものをイメージして、2段ロケットとおっしゃっていたのか。これ全体のことを念頭に置いていたのでしょうか。

(外務大臣)そうです。

(問)国際情報統括官なんですが、国際情報局が出来た時には、かなりアピールして出来た組織だと思うのですけれども、それが今回こういう統括官組織に移ることで、そこの部分だけを見た場合、何かデメリットというのはないのでしょうか。

(外務大臣)私はインテリジェンスの世界というのの大事さ、2つあると思うのですね。1つは総政局の様な政策を作る局から独立をしている。これは複眼性と言いますか、情報は情報の世界できちんと持つということが一つあるわけですね。そういう意味で、総政局とは一緒にしない。その上で、この統括官というのは、そういう意味では国際的インテリジェンスの世界というのは、専門家の集まりであるわけですね。そういう専門家の集まりに入ってやる自らのそういう世界の専門性を持っているということと、それが国情局の中だけに入っているのではなくて、統括官全体をカバーする視野、そこに繋げていくというか影響を与えていくという観点、それが大事だと思うので、そういうような形をして専門性をより高くしたということですね。その下の組織についても、統括官の下についているわけです。

(茂木副大臣)大臣がおっしゃったとおりですが、普通の企業でも、例えばR&Dの分野、これは他の部門とかなり組織の形態というのは大体変わっていまして、係長がいて、課長がいて、その上に部長がいて、緊急開発本部が成り立っていると。こういう会社は大体駄目です。もっと専門性があってフラットな組織の中でやっていくところの方がいい。おそらく外務省における一つのR&D的な役割を果たすのは、私は今までのこの国際情報局、これを統括官の下でやってより専門性を高める、より柔軟性を高める、こういう組織にもっていこうと思います。

(問)細かい話になりますけれども、来年度4月以降の時点で、まず平成15年度で、機構改革に着手するのは経済協力局だけなのか。あるいはイラクとか、今スリランカとかという平和構築という話がある中で、平和構築調整委員会みたいなものが前倒しで取れるのかどうかということ、あと、普通の機構の組織再編の説明を頂く場合には、たいがい今の図と新しい組織というのはどういうふうに、ぶら下がっている課が変わるかということですね。具体的に、経済局ならばどういう課に変わるのかということがあって初めて説明が成り立つと思うのですが、ここには一切ないのですね。それは出来るのでしょうか。

(茂木副大臣)普通の企業であったら確かにそうであると思います。ただ、普通の企業の場合は、社長、言ってみれば大臣が決めれば全部それで決まります。ただ、霞が関と言いますか、その場合は総務省との間の折衝を行いまして、最終的な予算要求を行ってやっていくということで、大体のものは持っています。例えば5課減らすという中でも、7課を減らして2課をプラスする。こういう中で5課という形でありますが、具体的に最終段階でどこにする、これは決めますのは、今後の折衝の部分もありますので、お約束した形での5課はきちんとやらさせて頂くと。それからまた例えば、経済協力局で言いますと、これは予算的に1課につきましては地域別の体制に15年度から移れると、こういうことがありまして、やれることについてはやって参りたいと思っております。御案内のとおり、組織の、いわゆる予算措置を伴わなくても出来るようなことは全て前倒しでやっていきたい、こういうふうに考えておりますが、組織図を少しお出し出来なくて、新聞等々で御苦労されるんだと思いますが、また必要がありましたら、細かいことは懇談等々でお答えをさせて頂きたいと思います。

(外務大臣)あと、先程柱に基づいて御説明しましたので、まだ他に組織としては例えば、文化交流部というのがありますけれども、今、報道官組織の中に海外広報というのがありますが、海外広報を文化交流部と一緒にして、文化交流・広報部という形にして、報道官組織は一元的に広聴広報、広報と言いますか、報道に関わることに充てるとかそういうことも含めてですね。海外広報及び文化交流を一緒にして、日本の外に向けての広報、それから文化交流政策、そういうことをやるということも入っています。ちょっと先程、言い忘れてしまいました。

(問)ちょっとその数字の話ですが、11官房局、これは変わらない、法律上は変わらないと思いますが、その下の部と課の数、どうなるのかということと、あとは、いろいろな専門官、企画官等々置かれますが、職制上、人は、いわゆる局長級、審議官級、課長級、それぞれ増減はありますか。

(茂木副大臣)部の数につきましては、最終的には変更はありません。課につきましては申し上げたように、課の数自体は5つ減ると。マイナス7、プラス2ということでトータル・マイナス5と、こういう形になって参ります。企画官等々につきましては、例えば総合政策局の中でも、これからそれぞれの局担当の企画官クラスの者を置いたり、それから例えば、国際法局の中にも、書いてありますように企画官クラスで条約交渉、外に出ていって担当する人間、こういうことを置いたりしております。全体の数につきましては、ほぼ整合性がとれるような形になっておりますが、この企画官クラスになりますと、今後、いろいろ総務省との折衝の中で最終的にどう決めるということで、確たる数字が今、かたまっていないということであります。

(問)これを読むと、例えばユニット制とか、地域別とか、優先課題別とか、専門性ということが書かれているわけですけれども、その一方で大臣は、人事制度について原則3年で動かすのがいいと、あるいは定例化するのがいいと。そうすると、幾ら専門的に専門官を作ろうと思っても、その人が3年で動いてしまうという状況が実際に出てくるわけで、すなわちこの機構改革というのは大臣が描いておられる人事政策に非常に影響を与えるのではないかと思うのですが、大臣が思い描いておられる人事制度について、どの様な影響が出てくると思われますか。

(外務大臣)これは常に難しい課題なんですね。全く何処にも動かさないで、ずっと専門家として育てるということをやるか、あるいはもう少しジェネラリストを作るか。常に、全ての組織にとって難しい選択だと思います。これはいろいろな職種とかそういうことによって違いがあると思いますが、たぶん理想的に言いますと、幾つかの分野を持っているということがいいのだろうと思います。それはI種で入るのか、II種で入るのか、III種で入るのかという、仕事によっても違いますね。今度、領事専門官ということが書いてありますけれども、そういうIII種で入った人たちのキャリアパス、これをきちんとするということは非常に大事であると思います。同時に、よりマネージメントに将来、これは何種で入ろうと、行くことを指向する人たち、これは幾つかの異なった経験をして視野を広くすることということが必要だと思います。それは全て人事政策の分野の話でして、機構がこうなったからその人事政策が影響を受けるということではないと私は思います。

(問)総合外交政策局の機能強化のところで具体的にお伺いしたいのですが、新しい方針を設定する場合は、総政局長が当初の企画段階から関与するとありますが、具体的にお伺いしたいのが、日朝交渉、ロシアとの平和条約締結交渉、この2つも例外でないと考えてよろしいでしょうか。

(外務大臣)そうですね。

(問)平和構築調整委員会と地球規模問題戦略本部なんですが、これは何れも外務省設置法、そういう機構上の規則に位置づけられた組織になるのか。

(外務大臣)そうではない。

(問)今はこういう何とか本部とか何とか委員会みたいな、これに該当するような組織というのは何かあるのでしょうか。中身ではなくて、違う程度でこういった、機構上はないけれども既に設けられている組織というのは何かあるのでしょうか。

(外務大臣)イラク対策本部とか。

(茂木副大臣)おそらく瞬間風速的というか、ある程度の期間、半年とか何か問題がある時に設けられる本部とか何とか委員会というのはあるわけですが、おそらく地球規模問題戦略本部、平和構築調整委員会、特に大臣の強い御意向もありまして省内で検討して設置をするということになっておりますが、名前についてはちょっと長いので、仮称になるかもしれません。また今後、少しいい名前がありましたら逆に公募したいぐらいだなと、こういうふうに思っておりますけれど、これについてはおそらく1~2年でなくなるということよりも将来的にもっと続けて、場合によってはこれをベースにして新しい局が出来たりと、そういうこともあり得べしだと、私はそんなふうに思っておりまして、そういった意味では初めての試みになるのではないかと思います。

(問)今の地球規模問題戦略本部と、平和構築調整委員会は、何れも再来年度ということになりますか。それとも前倒しで作ることはあるのでしょうか。

(茂木副大臣)これについては、必ずしも総務省との折衝ということでありませんから、走り出せる部分については走り出したいなと思います。

(問)大臣、先程「終わりの始め」というお話がありましたが、総理に最初、外務省改革をということで要請されて就任されて、今日この発表で、大体御自身のイメージされている外務省改革の何割ぐらいの部分が終わったのでしょうか。

(外務大臣)私はその外務省の改革というのは、今の時点でどのぐらい終わったとか何点だとかいうことではなくて、3~4年とか、4~5年とか、それぐらい経った時に90点とかそういうことを目指したいと、そういうことなんですね。「終わりの始め」というのは、一応その形が出来たと。これから例えば、意識改革というのが行動計画の中でありますけれども、そういうことも含めていろいろやっていって、経験を重ねていって、数年後には非常にいい、今よりもはるかにいい外交が出来る省ということになるということだと思います。

(問)ちょっと細かくて申し訳ないのですが、総務庁とこれから調整するということを前提で伺うのですが、企画官の話が出ていますが、イメージとしてはいろいろな級に散らばるというイメージですか。いろいろな級に企画官がいるというイメージを想定されているのでしょうか。外向きに企画官という言葉を使うのではなくて、あくまでも応じて。

(事務次官)企画官を配置すると言いましたら、そこで大体級が何級から何級と決まってくるわけですが、それを変えるわけではありません。

(茂木副大臣)(企画官というのは9級と10級で)2つあります。

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外務大臣会見記録 (平成15年3月25日(火)09:15~ 於:院内ぶら下がり)

・アフガニスタン復興開発に対する緊急無償資金協力

(外務大臣)私の方から申し上げることは、アフガニスタンの復興について無償資金協力をですね。二件なんですけれども、一つは緒方イニシアチブと言ってまして、地域開発をやる、そこに復員してきた人に住んで貰って、人間の安全保障の考え方でございますけれども、それに対して2千百万ドル強、2180万ドルぐらいですが、それを出すことに決めました。それからもう一つは、10月に憲法制定のロヤ・ジェルガがありますので、そこにそのための準備の資金として77万ドルを出すということを閣議で言いました。それから閣議で決定をしていただきました。

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・水フォーラム

(外務大臣)それから閣僚懇談会で水フォーラムが終わりましたので、それについての評価をさせていただいて、これは非常に行動指向型の良い閣僚宣言もできましたし、「水行動集」といいまして、各国が水についてやっていることをまとめたということがあるのですが、そういうものを出して、ウエブ・サイトのネットワークも作りましたし、そういうことでやっています。それで今後TICAD IIIがありますし、それからその前にエビアンのサミットがありますので、そういうところで引き続きこれを展開させていきたいと思っています。

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・イラク情勢

(問)イラク国内の邦人が一人増えて46人になりましたけれども政府としては万が一「人間の盾」の方などに被害が出てもやむを得ないとお考えになりますか。

(外務大臣)自己責任ということで考えて行っていらっしゃっていると思います。政府としては行って頂きたくないし、邦人の方に怪我がないということを切に祈っておりますけれども、段々に連絡がとりにくく今なっておりますので、非常に難しい状況ですね。是非これは個人個人の方色々思いはあると思いますけれども、本当に危険ですので、止めて頂きたいと思います。

(問)イラクの大使の国外退去などをアメリカが求めていた件ですが、昨日の答弁ですと、一昨日の段階ではまだどういう理由なのかというのがよく分からなかったですが。

(外務大臣)問い合わせをちょっとしておりましたので。

(問)具体的にどういう理由で退去を求めていたのかということと、日本政府としてどう対応するか改めてお願いします。

(外務大臣)そこで何がわかったかということについては、これは申し上げられないということです。アメリカにはアメリカの考え方があってそういうことを言っているということです。それから、日本政府の対応は、こういうことは一昨日も言いましたけれども、日本政府としてどういう対応をするかということは、日本政府が決めることですから、これは慎重に検討中であるということです。

(問)「申し上げられない」という理由は何ですか。

(外務大臣)申し上げられないから申し上げられないということですね。色々今まで外交にかかわることについて申し上げてないことが沢山あると思います。その時に全部何故言えないかということは、申し上げていないと思います。それが「ノー・コメント」の意味です。

(問)検討中ということは、具体的に時期であるとかを検討しているということですか。

(外務大臣)検討している内容については申し上げられる段階になったら申し上げますけれども今は慎重に検討しているということです。

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外務大臣臨時会見記録 (平成15年3月23日(日)17:00~ 於:本省会見室)

・イラク情勢

(外務大臣)今日は当面のわが国の支援策として、1つは火曜日に閣議決定になりますけれども、発表させていただきます。これは20日に発表したイラクに対する支援策に沿ったものでして、中東地域の安定とそれから人道上の観点から、2つあるのですが、総額約1億420万ドルの支援を実施をすることにしました。先ず、ヨルダンに対して1億ドルの無償資金協力です。ヨルダンはご案内のように、イラクで戦争が始ったことによって、今までイラクにほぼ100%、油を依存をしてまして、かなりの部分は無料で貰っているという状況ですので、非常に影響を受ける国です。このヨルダンに対しまして1億ドルの無償資金協力を致します。
 それから、パレスチナ自治区に対して、UNRWAと言いますが、国連パレスチナ難民救済事業機関を通じまして5億円、約420万ドルの食糧援助を致します。パレスチナはこの間、アブ・マーゼン(氏)が首相になりまして、今改革を進めている。それから最近はずっと人道上、或いは貧困層で食糧不足という問題がありまして、ここに支援をするということです。これらの支援は、その他に、これはこの前発表しましたけれども、緊急人道支援として、503万ドル、約6億円ですけれども、これを国際機関を通じて行うという、UNICEF(国連児童基金)とか、WFP(国連世界食糧計画)とか、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)にやるという発表を致しましたが、それとNGOに対して4億円、約330万ドルですけれども、これを発表させて頂き、それからJICAベースの救急医療体制整備の支援で、これは5名既にシリアに向けて発っていますけれども、それに加えて今回2つのことをやるということでございます。私はこの後の(午後)5時半にヨルダンの外務大臣と電話で話をすることにしておりまして、この話を伝えたいと思っています。それから(午後)6時にパレスチナのシャアスさんという、外務大臣に当たりますが、計画・国際協力庁の長官ですけれども、彼とも話をしたいと思います。ということでお伝えをしたいと思います。パレスチナについては、火曜日に閣議決定いたします。

(問)ヨルダンの無償ですが使途、使い道について細目がわかれば、これにいくら、これにいくらとか教えてください。

(外務大臣)これは半分、60億円がノンプロジェクト無償資金協力、残りの半分が一般プロジェクト無償と草の根、人間の安全保障無償等ということでして、一般プロジェクト無償はプロジェクトを見てやるということになりますのでそのプロジェクトが固まって、ということになっております。

(問)今後の支援策についてどうなるか、医療チームを派遣するという話がありましたがいつ頃から派遣できるのでしょうか。

(外務大臣)平和協力法に基づくものですね。それも今検討をしております。いつ頃になるかというのは今の時点でははっきり言えませんけれども、医療チームの派遣と物資の供与、こちらの方はテントですとかそういったことを自衛隊機、または政府専用機でヨルダンに輸送すると言うことで、これは恐らく今月中に出来ると思いますが、医療チームの方は、いつになるかは、今の時点では申し上げれませんけれども、これは9週間程度の活動を行っていきます。
 それから、今プログラムを具体的に検討してることですけれども、それ以外に国連の緊急アピールが出ますので、それが出た段階で対応していくことと、あとは事態の進展がいろいろあると思いますので、更にそういったニーズがあれば、それを検討していくとのことです。

(問)医療チームの派遣先は何処ですか。

(外務大臣)平和協力法のはシリアが一つの候補でありますが、まだ決まっていないです。他にも候補があります。JICAのチームはシリアです。違いはJICAのチームは病院で、これはJICAの技術協力ですから病院で設備を整えたり教育をしたりする技術協力ですね。この平和協力法の方は難民キャンプで実際に難民の医療に当たります。また、JICAの行っているお医者さんも結果的にはやはり医療を要する人たちがいればそういうこともやることになるのではないかと思います。

(問)ヨルダンの先程の人間の安全保障無償ですがもう少し具体的に例えば分野として医療とかありますか。

(外務大臣)食糧とか医療とか健康、サニテーションですとか、水ですとかそういった分野になると思います。

(問)アメリカがイラクの大使館を国外退去させるとの動きを見せてますが、これに対するアメリカからそういう連絡を受けたのか今まで確認されていませんが、もし確認できないのであればそれは何故なのか。

(外務大臣)イラクについての関連の問題については、アメリカとは緊密に色々な連携をしながら、連絡しながらやっていますけれども、具体的に内容については申し上げないということです。

(問)アメリカの外務報道官が発表していますがそれでも言えませんか。

(外務大臣)具体的な中身については申し上げないということです。

(問)アメリカが各国に対して要求することについてはそれは正当なことだと思いますか。

(外務大臣)何れにしてもわが国として何かをやると言うことであればそれはわが国の考え方でやるといことですね。一般的に申し上げて。

(問)何でそれは言わないことにするのですか。理由を教えてください。

(外務大臣)確認できないことについてYESかNOかは申し上げられません。

(問)日本政府にはアメリカ政府からそういう要求はきていないと言うことでいいのですか。

(外務大臣)ですからコメントを申し上げないということを言っている。

(問)何故コメントしないのですか。

(外務大臣)それは色んな話があるわけですよね。一般論として申し上げますが、途中の段階でそれぞれコメントすると言うことはしないということです。一般論としていってますが、何か日本として決めたことがあって、何か言うことがある、何か決めたことがあればそれはその段階で決めたことを発表します。

(問)一般論として外国の政府が他の政府にいる大使を追放しろと要求することの是非については一般論としてどういう風にお考えですか。

(外務大臣)わが国としては、色々なことを決めるということがあれば、それはわが国の判断で行いますということです。

(問)要求があんまり良いことではないと思っているのですよね。違いますか。

(外務大臣)要求があったとか、ないとか、そういうことについてコメントをしていません。具体的に今の時点でそういうことは、例えばですが、そういう話はありませんとかね、そういう話はありますけれども、我々としてはそう考えますとか、そういうことは良いことですとか、悪いことですとか、そういうような申し上げ方は致しませんといっているのです。
 さらに一般論で申し上げれば外交官が外交官として相応しくないということの判断についてはこれは政府がもちろん行うわけですが、そのことがなぜか、これは外に言わないとの事ですから。

(問)それは外交の信義の関係で言わないことになっているのはわかるのですが。アメリカ政府が記者会見でその方針を表明しているのですよ。なのになぜ日本政府はそのことについて大臣は国民に説明しないのですか。

(外務大臣)日本政府として具体的に何か行動を決めると言うことがあれば、それがその段階で発表をしますと。けれどもさきほど申し上げましたが一般論として外交官の方に国を出ていただくと言うときにはこれは、基本的には言わないということが国際的な通例であります。

(問)出ていったかどうかの確認ではなくアメリカが要求したと記者会見で言っているわけですが、そのことの確認を求めているのに何故それが言えないのですか。

(外務大臣)外交上のやりとりについては何処の政府からどのようなリクエストがあったとか、何処の政府にどういう話をしているとかそういうことは通常言わないのです。

(問)通常言わないのは何故誰のために言わないのですか。

(外務大臣)外交上の問題だから言いません。

(問)外交上の相手国に対する配慮だとすればアメリカは自分で言っている訳ですから今回のケースがアメリカの配慮とは関係ない訳ですが。

(外務大臣)外交上の問題としてはそういうことがあったとかなかったとか言うことについてコメントしないと言っているわけですからそれはコメントしないと言うことです。

(問)つまり何の利益を守るためにコメントしないのですか。それは日本の外交の伝統ですかそれとも国際的な外交の伝統ですか。

(外務大臣)それは色々国によってありますが。

(問)具体的にはフランスは拒否と言ってますが、傲慢でデリカシーにかける連中だと言ってますが。

(外務大臣)状況によってあるでしょうね。わが国の政府の判断としてはそういうことについてはあったとか、なかったとか、具体的に議論することはコメントしません。

(問)つまり日本の立場が悪くなると言うことですか。

(外務大臣)ですからコメントをしないと私が言っているだけです。ですからコメントをしないことについて、何故コメントをしないかということについて何も申し上げない。

(問)一般的に国民の理解が得られると思いますか。

(外務大臣)そういうことがあって国民の皆様に言うことが適切である場合は通常発表します。この場合、もしその外交官を国外に退去していただくと言うことであればそのことは外交の世界では言わないことが通例であるということです。

(問)退去させるかどうかの方針は決めていないとのことですか。

(外務大臣)ですからコメントをしないと言うことを申し上げているわけです。具体的なやり取りについても。

(問)全然説明を果たしていないと思うのですが。もう一度確認しますが一般的に他国に他国の外交官を追放するかどうかを要求することについての是非はどの様にお考えですか。

(外務大臣)一般論でやるということは余り意味がないと思うのですね。いろいろな状況があるわけですから、それがどういう状況でそういうことがあったかということと関係なしに一般論で言うことは出来ない。

(問)昨日から人間の盾とされている方が倍増に近い感じで増えているのですけれどもどの様に受けとめていますか。

(外務大臣)色々な人間の考え方があるわけですから、それは日本の中に色んな考え方なさる方いらっしゃることであろうと思いますが、これは非常に危険なので外務省としては「そういうことはやめてください」ということをずっと説得しております。中には、自分の責任でやっているから説得をして欲しくない方もいらっしゃいますし、説得することが却って逆効果になる場合もあり得るので、非常に難しい対応だという感じがしています。それから政府が人間の盾として行っている人と、連絡をとることについて、これはイラク政府によってありえない疑念を持たせる様なことになると、その人間の盾の人たちにかえって迷惑をかけることになりうるケースもあるかもしれない。色々な配慮がありますのでそういった配慮をしながら説得をしていますが、非常に難しいと思います。多くの行っていらっしゃる方は、自分の自己責任でやっているというふうに思っているということだとおもいます。

(問)関連ですが昨日大規模な空爆がバクダットにありましたが、その後盾ですとか平和運動とかで市内にいらっしゃる市民団体或いは個人との連絡は外務省としてどれくらいついてるのでしょうか。40人いらっしゃる方の中で報道関係者、NGOメンバーを除いた方々ですが。

(外務大臣)これは、イラクと40名のイラクにいる内、市民団体やお仕事できてらっしゃる方が15名いらっしゃいますが、そのほとんどの方と連絡が付いていると思いますけれども。段々に通信状況が悪くなってきていて、具体的に今の、今日の時点ではわかりますか。

(問)ヨルダンから入った3人は今朝の邦人保護課の説明では全然取れてないと言うことですが、この場でなくても結構ですが確認してください。

(外務大臣)後で確認して御連絡をします。

(問)40名の所在地は把握していますか。

(外務大臣)バクダットに29名、そして北部イラク、クルド地区に11名です。

(問)イラクの復興支援のために国連決議を作るべきだという動きが世界の一部で始まっていますが、日本政府としてそのような決議があるべきだというお考えがあるか、そしてそのために日本政府として既に外交的な働きかけしているか、あるいはこれからするお考えがあるかということについてお伺いします。

(外務大臣)復興支援の段階では国際社会が協調してやるということは非常に大事なことだと思います。これは電話をブッシュ大統領と小泉総理としたときも国連と言うことが大事だという話がありましたので、アメリカもそう思っている。国連の中で国連と関係ある形で国際協調があるというのは非常に必要なことだと思います。それが具体的に決議という形をとるか、或いは別の形になるか、それは色々な考え方があるだろうと思うのですね。ですからそれは決議があった方が望ましいと言う風には思いますが、日本としては復興支援について日本の果たす役割について非常に期待が大きいわけですから、そういった国連と関係を持った形で、国際協調を作れるように外交努力はすでにしていますし、していくつもりがあります。

(問)確認ですが決議が無い場合の復興支援のあり方、日本政府の復興支援のあり方というのはあくまで現行の枠内での復興支援ととどまるのでしょうか。決議がない場合には。

(外務大臣)決議がない状態で新しい法律ということがどうなるかという質問だと思いますけれども、我々としては復興支援をするときに新しい法律は必要かどうかということはそもそもまだ決めていないということです。

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外務大臣臨時会見記録 (平成15年3月20日(木)16:45~ 於:本省会見室)

・イラク情勢

(外務大臣)先般、先ほどですけれども、開催された安全保障会議、臨時閣議におきまして、今回起こった事態に対して、政府としてどのような対応をするか、積極的な対応をしていくということで、確認をいたしました。それで具体的な措置が決定されました。そのうち外務省として何をするかということについて、まずお話をさせていただきたいと思います。
 外務省として一番大事なのは、まず邦人の安全の確保ということです。これについては、しばらく前から万が一ということを考えて、取り組んできております。これにつきまして、商業便で国を出ることができる方については、できるだけ早くそうしていただきたいと思っておりますし、そういうふうに事柄がうまくいかなくなった場合には、政府としては、チャーター機とか、それから場合によっては(政府)専用機ということで出国をしていただくということを考えております。情報の提供もさせていただきますので、何かありましたら、それぞれのいらっしゃる国の大使館にご相談をいただくか、あるいは外務省の領事移住部にぜひご相談をいただきたいと思います。
 外務省としてその次にやることということは、現地で難民の方、あるいはその周辺国で経済的に問題が生じる可能性がありますので、そういった方々、そういった国々の支援ということでございます。これについては、いくつかございますけれども、まずイラクの周辺の国に難民人道支援ということで、お医者さんを送るということを考えています。JICAのお医者さんのチームが明日出発をすることになっていますけれども、シリアで難民の流入が考えられますので、その後方にある病院の支援、そこで働いていただくということを考えています。それからこれは、これからでまだ明日出発という段階ではありませんが、文民の専門家からなる医療チームを派遣することを考えています。それから人道救援物資を自衛隊機で運ぶことを考えています。それからNGOの方が、近隣の諸国、イラクの中、あるいはヨルダンでいろいろ活動をしていらっしゃるわけですが、そういう方への支援として約4億円、これを拠出済みでございます。
 それから今後、もし必要であれば、さらに必要な支援を追加していきたいと考えております。また国際機関を通ずる支援ということも大事ですので、国際機関のUNICEFですとか、UNHCR、これは高等難民弁務官事務所ですね。そこともう一つ、WFP、これは食糧の支援を行っている機関ですが、ここに503万ドルを拠出するということを考えておりますし、今後必要でしたら追加的な支援をしたいと思っています。
 それから、イラクの戦後の復興支援ということですが、これからそういう事態になりました時に、国際的にさまざまな努力が行われることになると思いますので、そういった段階で積極的に協力をして、所要の必要な措置を検討していきたいと考えております。
 もう一つ申し上げたいのは、アフガニスタンで今、テロ特措法という法律を使って、米軍その他、アフガニスタンにおけるテロの支援のための活動をやっているということで、そのチームに対して油等のその補給を自衛隊が行っておりますけれども、それについても、今対象国が8カ国ありますが、補給をしていくということを考えております。それからヨルダンがイラクの隣にありますが、この国はイラクからほとんど無料に近い値段で油を買っているということをやっていまして、今度のイラクの戦争でかなり影響を受ける国です。この国に対して、緊急に経済支援をやっていきたいと思います。
 また、もう一つ人道支援という観点では、今、国際的にずっと中東の和平に取り組んでいますけれども、パレスチナの人達に対する人道支援、これは日本は以前からやっていますが、この支援についても、緊急に人道支援をしていきたいと考えています。
 外務省としては、こういったことをやっていくために今日、体制を作りました。これはわが国の支援を行うための、緊急対策本部ということですが、その第1回の会合を今日すでに開いております。これは今後頻繁に開催して、さまざまな問題に対応していくために、ここにオペレーションルームという部屋がありますけれども、そこに常に人がはりついて、そして情報もとり、それを省内に共有をするという形で会合を開きながら、対応をしていきたい、随時いろいろな変化が今後考えられると思いますので、そういったことについて、対応を迅速に的確にしていきたいというふうに考えております。

(問)先程の503万ドルですが、これは3機関のトータルですか。それともWFPだけですか。

(外務大臣)3つのトータルです。

(問)ヨルダン支援の額は。

(外務大臣)(関係者に)ヨルダン支援の額は、これは分かりますか。今、検討中です。

(問)バグダッド近郊あるいは市内に、一般の市民の方が今朝現在で8人ぐらいいらっしゃるということで、中には人間の盾を強行している方もいらっしゃるのですが、過去1カ月に渡る領事移住部等の働きかけ、説得にかかわらずずっと残留しているわけですが、この方々に関してはどの様に対応されるのでしょうか。

(外務大臣)今おっしゃったように、バグダッド全体に今、日本人が27名、今日の昼間ぐらいの時点で残っていらっしゃいます。その内8名が市民団体の方、あるいは個人の方ということでして、その内の6人ぐらいが人間の盾ということで行っていらっしゃるわけですけれども、8人の個人の方については連絡を試みて、その内5人については連絡が取れています。その残りの方の内の2人は人間の盾としてあるところにいらした。そこの場所からは出たということは確認をしておりますけれども、直接には連絡は取れていません。それから後の1人の方は、今連絡がつかない状態ですけれども、これはこの人間の盾として登録をなさっている方々がいらっしゃっている場所、これについてはアメリカに通報をしています。それから新しく行かれる方、これは是非おやめ頂きたいのですが、バグダッドに入るためにはヨルダンやシリアから入るということで、空港やバスの停留所で日本人と思える人がいましたら、そういう方に対して思い留まるような説得を大使館員がやっています。退避勧告を出しているわけですから、その意味を理解して頂いて、是非、これから入るということはやめて頂きたいと思います。外務省として強制は出来ませんけれども、やはりこれは本人の方々がそれぞれきちんと考えて頂きたいと思います。

(問)関連しますが、在京イラク大使館が入国ビザをずっと出している模様なんですけれども、これについて外務省の方から何らかの働きかけをするようなことは考えられますか。主権がある以上は・・・・・・。

(外務大臣)これは実際、難しいと思います。それから、日本でそういうことを言ったとしても、他の、よその国で入ろうと思えばいくらでもビザの取得は出来るということですから、出国を法的に止めるということは出来ないと思います。

(問)政府としては、戦争が短期で終わって、いろいろ被害が少なくなることを希望しているということですが、具体的にアメリカなどにどの様に働きかけていくのかということと、チャーター機、政府専用機の派遣を検討しているということですが、具体的にどの国に出そうと考えていらっしゃるのでしょうか

(外務大臣)チャーター機ですが、今いろいろ調べておりますけれども、近隣の諸国できちんと便は、商業便で今飛んでいると、そういう状況でございます。ですから、今の段階でもう飛び立たなければいけないという状況にはなっていませんけれども、イラクの周辺で退避勧告が出ているイスラエル、クウェート、この辺を考えています。それから、先程総理も記者会見でおっしゃいましたが、この戦争を日本としては出来るだけ犠牲が少ない形で、これはもちろん民間人の方も、それから戦闘に従事をしている人も両方含めますけれども、出来るだけ少ない形で、そして早期に終わってほしいというふうに思っていて、それは総理もおっしゃっていらっしゃいますし私も伝えました。これについては、伝えるという話は、ご返事は頂いておりますけれども、もちろん米国もそう思っている、これはもう当然だと思います。同じふうに考えているということです。

(問)関連してですが、総理は先程の、大量破壊兵器の脅威との戦いという考え方を示されまして、これはこれからも続いていくんだと。大臣の考えを伺いたいのは、イラクの武装解除によって、この大量破壊兵器の脅威との戦いは終わるのか、それともまだ続くのか、特に独裁者への大量破壊兵器の危険性を指摘されていましたけれども、北朝鮮に対してはその辺どの様なお考えでしょうか。

(外務大臣)私は大量破壊兵器、特に大量破壊兵器がテロリストの手に渡る、あるいは総理もおっしゃったように独裁者の手に渡る、そういう状況が、冷戦が終わった後の世界で続くだろうと思っています。その意味でイラクが大事なのは、今後どういう状況でそういうテロリストの活動があったりすることになるか、これは100年間ぐらい見通した時にどこでどうということは、はっきり今、全部言えるわけではないですが、イラクが重要なのは、国際社会が、そういった問題に団結をして、毅然として、そういうことを持つということは国際社会が許容しないんだというメッセージを送ることなんですね。イラクは今世紀に入って、そういうことで初めてのケースですから、そういう意味でイラクへの対応というのはとても大事だと私は思っています。北朝鮮の問題については、これはイラクとは全くケースが違う。イラクは12年間、13年前に戦争をやってずっと続いてきているわけですね。それで17の国連決議があって、イラクに対して大量破壊兵器を破棄しなさいと、そういうことを言った。それを全然聞かないで、今まで、この期に及んでもそれをやりますという態度は示していないわけですよね。北朝鮮との関係で言えば、12月まで査察官がいました。678のように、678という決議はイラクに対して国際社会が必要な手段を、如何なる必要な手段としてもとってもいいということですけれども、そういういうことは北朝鮮に対して言われているわけではないですよね。北朝鮮に対しては、我が国はこの問題を平和的に解決をしたいと思っている。もちろん北朝鮮の持っている核開発計画、これについては、それから最近の一連の動きについては懸念をしています。これは日本だけではなくて、他の国もそういうふうに思っています。中国もロシアも、核が朝鮮半島にあるということは、これは許容出来ないとみんな言っていますね。韓国もそうですし、アメリカもそうです。日本もそうです。ですから、そういうことに対しての国際的な連携を持って、話し合いをしながら平和的にこの問題を解決する。北朝鮮との関係ではそれが出来ると、国際社会は今思っていると、そういうことです。

(問)戦後の復興支援についてですが、大量破壊兵器の廃棄について、日本政府は積極的に関わっていくお考えはございますか。

(外務大臣)戦後の段階で日本として、その時にどういう戦争の展開になって、どういう終わり方になるか分からないので、戦後の復興段階の日本の関わり方について今の時点でこうですということが、はっきりまだ言えないんですが、日本に対して復興段階で期待されていることは、沢山あると思うんですね。そういう段階で日本としてできること、これは、積極的に国際社会の責任ある一員としてやっていくということが今の政府の考え方です。

(問)自民党の山崎幹事長はイラク特措法のような自衛隊派遣を念頭においているようですが、そういったこともおっしゃってますが、外務省としてその部分についてどの様に考えていらっしゃいますか。

(外務大臣)今言いましたように、どういう展開になって、どういう終わり方になってということが分からないので、日本に対して国際社会が何を期待するのか、また、我が国として主体的に何ができると思うかというのが、今はっきりした青写真ができるわけではないですね。外務省としては、我が国ができることをすることができるように環境を作って、やっていくということが大事だと思っています。

(問)パレスチナ支援についてですが、これまでやっておられたものについて額を増やしたり、新たに何かをやるのかというのが一点。それから、直接にイラク攻撃と関係ないパレスチナについての支援を強化するのは何故かという二点をお伺いします。

(外務大臣)パレスチナについての支援を強化するというのは、中東和平は中東地域の平和と安定の一番要の問題であるということですね。従って、その意味でパレスチナの支援を我が国としてはずっと今までもやってきたわけですし、イラクの問題への対応の傍らで、この問題は要の問題として引き続き重要、或いは、より重要度を増していると言ってもいいかもしれません。ですから、やっていくということで、金額等についてはこれからいろいろと考えていきます。今の時点でいくらというふうに言うことはできません。
 中東地域の話がでましたので、もう一つ大事なことで申し上げておきたいことは、イスラム世界との対話。これは前の河野大臣の時に始めたわけですが、この戦いは大量兵器を持つイラク対国際社会であって、国際社会の中でのイスラム世界とその他の国ということでは全くないです。この点について誤解があってはいけないと思います。日本としてイスラム世界との対話をやって来たわけですけれども、今後もそういう意味ではイスラム世界というのは、非常に長い文明と歴史を持っているわけですから、対話を続けて相互に理解を深めていくということは、これも大事で、更に力を入れて幅広い対話をしていきたいと思います。

(問)パレスチナ対策を継続するんですか、強化するんですか。

(外務大臣)強化するということです。

(問)大臣は今も国際社会と大量破壊兵器の戦いとおっしゃいましたけれど、今日始まった戦争については、国際社会の中でも反対する国はかなりあって、この戦争はどことどこの戦いだとすればよいのか。そしてもう一つ、先程総理が会見でイラク国民に自由を与えなければいけないと、イラク国民に自由を与えて将来豊かな生活を築きあげる作戦であるというふうにおっしゃいましたが、これは、イラクの体制変革もこの戦争の目的に入っていると考えているのかという二点についてお聞きしたい。

(外務大臣)最初の大量破壊兵器の話ですが、これについての国際社会の立場というのは、一致しているんですね。それは、1441という決議でイラクが大量破壊兵器を廃棄しなければいけないということは一致しているわけです。今の時点で、見方が、現状認識が違うというか、考え方として、イラクに対して査察を続けていったときに問題が解決するだろうか、或いは、しないだろうかということが違う。これは問題の本質、或いは問題の、イラクが武装解除しなければいけないということについては、全く同じで、そういう意味では国際協調はあるんです。日本としては武装解除をやっていくための非常に大事な条件であるイラクが自分で積極的に証拠を見せて、大量破壊兵器を廃棄するということをやっているというふうに判断することが残念ながら出来なかったということです。茂木副大臣が総理特使として、(イラクに)行って、それで、2時間(イラクの)副首相と話をしました。私もシャーキル在京イラク臨時代理大使とお話しを2回にわたってしまして、2回してもそういう確証を得ることができなかった。我が国としてはこのまま査察を続けていったときに、一番の本質的な問題である大量破壊兵器が、廃棄出来るという確証を得ることが残念ながらできなかった。イラクはご案内のように、クルド人に対して化学兵器を使って、3万人くらいの人が殺傷されているわけですね。また、8千人くらいの人がイランにおいて化学兵器で殺傷されているわけですね。このように使った実績があって、98年くらいの時点でいっぱいになっているという疑いがもたれているわけですね。例えばVXガスというのが、沢山あるといわれているのですが、これについていうと、2億人の人を殺すことができる。

(記者:私はどことどこの戦争であるということをお聞きしたいのですが。)

 これは、そういう意味で国際社会と大量破壊兵器を持つイラクということであると申し上げているわけです。国際社会はイラクがこれを取り除かなければいけないということについては一致しているということです。
 二番目のご質問である体制変革ですが、日本としては当然体制変革を初めからするということは、全く考えません。それぞれの国の国民がそれぞれの国の政府を、どういう政府を持つかというのは選択ができる。これは当然の権利です。但し、大量破壊兵器を廃棄させるということは重要である。それをイラク政府が対応してこなかった。そういう意味では、今もう戦争が始まってしまったので、古い話になってしまったが、平和的に解決するための唯一の方法というのはそれしかなかった。ということで、この目的を達成するためには現実的な手段はそれしかないだろうということであったわけです。今戦争が始まってしまいましたので、その結果としてどういうことになるかということは、自体の推移を見なければいけませんけれど、大量破壊兵器を廃棄するために現実的な手段として、それが唯一であるならば、それはつながってくる話だというふうに思います。本質的に政府を転覆させるというのは目的ではありません。

(問)この戦争のとらえ方ですが、今朝の会見ではアメリカは安保理決議に則った自衛の戦争だと。

(外務大臣)私は安保理決議に則った大量破壊兵器を破壊するための戦争であると言ったんです。

(問)国会答弁の中で武力行使は自衛権に基づくものではないとおっしゃっていますが、自衛の戦争というのと、自衛権に基づく戦争というのは使い分けてらっしゃるのでしょうか。

(外務大臣)私は自衛の戦争と言った意味は、今朝は注意深く申し上げたつもりですが、大量破壊兵器が世界に残っている。そういう状況であるということは、日本にとっても、全ての国にとっても問題ですね。そういう意味では自分を守るためには廃棄しなければいけない。大量破壊兵器を破壊することが目的だという意味で申し上げているわけです。自衛をするため、自衛権を行使するということは、この戦争の理由付けではありません。これは安保理の決議に従ってやっていることです。

(問)ブッシュ大統領の演説では、米国は自分たちの安全を守るために武力行使を行うと、差し迫っている恐ろしい火が来る前に危険を排除できるとおっしゃっているんですが、これは、自衛権の行使という理解にはならないのでしょうか。

(外務大臣)ブッシュ大統領は演説の中で、国連決議678、687によって、米国及び同盟国は大量破壊兵器を廃棄するために、そういうことを行うということを言っているわけですね。ですから、目的は大量破壊兵器を廃棄する、そして、その根拠は国連の決議678、687、それから、1441の話もその直後のところでやっています。ですから、自衛権の行使であるという解釈はしておりません。

(問)ブッシュ大統領は過去の国連決議と自衛権の話を一緒におっしゃっているんですけれど、日本政府がとらえ方を説明するときは、自衛権の方は抜け落ちて、決議の方だけおっしゃっているように聞こえてるんですが。

(外務大臣)我が国はこの戦争は、安保理の678、687、1441の複合的な効果で説明をしています。そういうふうに考えています。これは米国の自衛権の行使として行っている戦争ではない。これは、イギリスの見解でもあるし、アメリカの見解でもあると考えております。

(外務大臣)それから、一つ訂正をさせていただきます。先程27人がバグダッドにいると申し上げたみたいですが、そうではなく、イラク全体で27名。うち6名は北部のクルド地域にいます。訂正させていただきます。

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外務大臣会見記録 (平成15年3月20日(木)9:20~ 於:院内控室)

・土屋政務官の人権委員会ステートメント

(外務大臣)閣議の関連では特に私から申し上げることはございません。それから閣議の外の話であるが、国連人権委員会で土屋政務官が、ステートメントをして、その中で、これは人権一般のステートメントですけど、拉致問題に関して、関係政府による事件の調査等の取り組み、及び、強制的、また、非自発的失踪に関する作業部会への協力を求めるということをステートメントの中で話しています。これは19日ジュネーブでありました。私からはそれだけです。

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・イラク情勢

(問)イラクですが、ブッシュ大統領は今回の戦争の根拠に過去の国連決議と米国の安全のためということで、自衛権についても言及されていると思いますが、大臣はこの戦争は自衛のための戦争であると思われていますか。

(外務大臣)今戦争が出来る理由というのは2つしかないわけですよね。安保理の決議か、自衛のためかという、その側面に注目して言えば、安保理の決議に則ってやる。自衛のための戦争ではない。そういう整理ですね。ブッシュ大統領が言われたことに関しては、どの国もそう思っていると思いますが、大量破壊兵器の問題、脅威から自国民の生命と財産を守ることは非常に大事だとみんな思っているわけですね。日本もそう思っているから支持をしているわけですから、そういう意図の表明だと思います。

(問)開戦の時期についてはアメリカ側から何か連絡がありましたか。

(外務大臣)イラクについては、アメリカと日本との間では緊密に連携をして、連絡を取り合っておりますけれど、それ以上の事については、コメントを致しません。

(問)先程の話ですが、自衛権というのはみんな持っているというのは、何となく感覚的には分かりますが、それを理由に戦争を仕掛けることと、それを単に思っていることは全く別だと思いますが、それについてはどう思いますか。

(外務大臣)ブッシュ米大統領はスピーチの中で、678、687を引いて、そのことを言って、その次の文章で、従って、米国及び同盟国は大量破壊兵器を破壊するために、イラクに、言葉は覚えていませんが、武力行使をするという言い方だったかどうか、そういうことを言っているわけで、ですから、きちんとそういう言い方をしている。イラクに入るって書いてあったかどうだったか、今は覚えていませんが、それは読んでもらえれば分かると思います。

(問)バグダット及びイラク全土の在留邦人のことについて伺いたいのですが、大臣はかつて、或いは国会答弁の中で、説得以外のことは出来ないとおっしゃっておりますが、本当に説得するしかないという状況なのでしょうか。

(外務大臣)今日は既に変わっているかもしれませんが、昨日現在の数字は29名。その内訳について、紙はありませんが、6、7名の一般市民の方がいらっしゃて、あとはジャーナリストの方といったところです。出来るだけ説得に説得をし、連絡先も教え、赤十字社にお願いもするということはやっています。そして、ヨルダンからイラクに入るバスがありますが、そのバスの停留所に行って、日本人で(イラクに)入りそうな人がいたら、説得をするということもやっています。いろいろなやれることについては、本当にやっているのですけれども、退避勧告ですから、強制的に出なさいという権限はありませんので、個人個人の方にこの問題をきちんと考えていただいて退避していただきたい。これは、お願いにお願いをしています。是非退避をしていただきたいと思います。是非この事については(記事に)書いていただきたいと思います。それで、退避を本当にしていただきたいということを皆さんの所からも発していただきたいと思います。

(問)退避していただきたいと思われる理由は何ですか。

(外務大臣)退避勧告をなぜ出したかということでありますが、それは危険があるというふうに考えているからです。危険度の判断です。

(問)加えて外交的な理由はありますか。

(外務大臣)それはありません。いらっしゃる個人個人の方の危険。退避勧告はそういうことで出しています。

(問)あと30分ほどで猶予期限というのがなくなりますが、戦争が止められない中で、日本政府としては戦争がどういう形で終結することを望んでいらっしゃいますか。

(外務大臣)これは、まだ始まっていない。始まらなくて済むならばそうなってほしいと思っています。万が一始まるということになってしまった場合は、日本政府としては、これは既に伝えておりますけれど、戦争は出来るだけ早く終わらせてほしい。そして民間(一般)の方への被害が及ばないような形でやってほしいということは言っています。

(問)もし誤爆とかがあって、一般の方への被害がでた場合、日本は米国政府に何らかの抗議やお願いをすることはありますか。

(外務大臣)私は戦いをやった場合に、誤爆はある程度の確率で、全くないというわけにはいかないと思います。しかし、それを出来るだけ注意深く、注意してやってほしいと思ってます。

(問)もし、あった場合どうしますか。

(外務大臣)ありうるということは当然想定しなければならないと思います。それは、戦争の一部と私は考えております。政府全体としての判断は別にあるかもしれませんが、私は、それを一つ一つ、意図的にやるわけではないですから、誤爆について何をやったと言うことではないと、これは、元々の問題はイラクにあるわけですから、イラクが大量破壊兵器を廃棄する、平和的に解決をする機会が沢山あったのにやっていない。ということは、これをもたらした元々の一番の責任はイラクにあるわけですね、というか唯一の責任はイラクにあるわけです。

(問)開戦がほぼ間違いなくなり、開戦前の最後の会見ということで伺いたいのですが、民間に対して誤爆は全くないとは思っていないとおっしゃっておりますが、また、兵隊であったも人を殺すわけですから、それを支持するというのは外務大臣としてどういうお気持ちですか。

(外務大臣)非常に残念です。本当にこういうことにならなくてよいようにイラクが対応していたら、どんなによかったかことかと。私は国会でも昨日言いましたが、毎朝毎朝目覚めて、フセイン大統領が考え方を変えて、イラクが査察に積極的に対応して、廃棄の証拠なり、何なり全部見せるということにしたと、そういうことになっていたら、どんなによいことかと毎日思っていました。そういうふうにイラクがしなかったということは本当に残念です。

(問)先程、アメリカ側に戦争の早期終結と、民間人に被害が及ばないようにしてほしいという2点を伝えたというのは、どの時点で、どなたに伝えたのでしょうか。

(外務大臣)いろいろなコミュニケーションの段階で、私は伝えてほしいと言っていました。

(問)パウエル国務長官に直接伝えられたのでしょうか。

(外務大臣)直接には言っていませんが、私は誰に(直接)言ったかはよく覚えていませんが、べーカー大使には(直接)言ったかもしれません。総理も昨日おっしゃっておられましたよね。

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・大臣の世界水フォーラム欠席

(問)水フォーラムには予定通り出席されるのでしょうか。

(外務大臣)これは止めます。

(問)代わりには誰が出るのでしょうか。

(外務大臣)藤崎外務審議官です。これは議長役をやる仕事ですので。

(問)今日の時点で(欠席を)ご判断されたのですか。

(外務大臣)はっきり決めたのはそうです。ずっとどうしようかとは考えてましたが。

(問)扇大臣は出席されるのでしょうか。

(外務大臣)知りません。

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・北京日本人学校駆け込み脱北者

(問)北京の日本人学校に駆け込んだ北朝鮮の4人ですが、今日出国するということですが、これについては如何でしょうか。

(外務大臣)報道があったことは聞いておりますが、4人の方の安全ということが第一ですので、そういうことついてはコメントしないということでやらせていただいております。

(問)前の瀋陽のときはコメントされたと思いますが。

(外務大臣)あれは(コメント)しない予定だったんですが、外国から出てしまったもので、そうせざるを得なくなったということです。

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外務大臣会見記録 (平成15年3月18日(火)9:30~ 於:本省会見室)

・閣議・閣僚懇談会

(外務大臣)閣議での私の発言は特にございません。それから閣僚懇談会でイラクのことについて総理からご発言がありまして、それは英米両国が決議案の採択を求めないということになったものですから、イラク情勢が更に今緊迫したということをおっしゃって、それで関係の大臣、防衛庁長官等々、あとは経済の問題を担当している閣僚の方々、そういう人たちに「しっかりやってほしい」とそういうご発言がありました。

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・中東地域の邦人の避難状況

(外務大臣)それで私からは、邦人の避難の状況についてお話をいたしまして、そして今イラク、クウェートの在留邦人の数は相当に減っていまして、イラクには35名、クウェートには83名の在留邦人がいるけれども、引き続き、現地及び東京で早期退避を働きかけて安全確保に全力をあげるということを申しました。それで全体として、あの地域(中東地域)にイラクも含めまして全部で3月18日現在で今5,348名います。イラク、クウェートからは大幅に減りましたけれども、近隣の諸国にその人たちが行ったという状態、ヨルダンでは242名から269名に増えているということもあります。他の地域は大体減っています。そういうことをお話しいたしました。以上です。

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・イラク情勢

(問)日本政府が望ましいとしていた新しい国連決議が無いまま武力行使へ向かおうとしている状況ですが、この状況についてどうお考えかということと、それは今まで日本政府がやっていた国際協調と日米同盟の両立で武力行使を判断するという前提が国際協調という方面で崩れたということには今なりませんでしょうか。

(外務大臣)日本政府としては、今まで国連での決議が出来るということのために努力をしてきましたので、今回のこういう状態であるということについては残念に思っています。それで国際協調が崩れたということですけれども、大量破壊兵器を無くすということが重要であるということについては、これは国際協調している、一致しているわけです。それで今後の展開については、今おっしゃられたような展開がある可能性は非常に強いと思いますけれども、ブッシュ米大統領は今日スピーチをするということをおっしゃってらっしゃるので、それを待ちたいと思います。国際協調というのは、そういう意味ではちゃんと大量破壊兵器、目的についてはみんな一致をしているということです。それから日本政府はそのスピーチを聴いて判断をするということになると思いますけれども、それについては、何よりも大事なことは大量破壊兵器、これを無くすということがまさに1441、或いは一連の12年間の決議に書かれているように、それが非常に重要であるということが一番の根本にあると思っています。それからもう一つ、パウエル米国務長官が演説をして言っているように、平和的にこの状態を終わらせる、平和のままで終わらせるという可能性ということはあるということですから、イラクが今きちんと対応するということは何よりも大事だと思っています。イラクにそれを求めているということです。

(問)その中で米国のフセイン大統領の国外退去ということを強く求めているようですが、日本政府としても大統領の亡命というものを求められるお考えでしょうか。

(外務大臣)これは全てブッシュ米大統領の演説を聞いてみないとよく分からないと思います。日本政府の立場というのは前から言っていますように、この問題の根幹はイラクが持っている、懸念を持たれている大量破壊兵器を始めとする国連の今までの決議、これにイラクが従うということが重要であるという立場です。

(問)ロシアとフランスとドイツは軍事行動に反対していますけれども、日本の政府としてはこういう立場を支持しているかどうか、どうお考えですか。

(外務大臣)ブッシュ米大統領が演説をしますので、その上で武力行使についての態度は表明するということになると思います。

(問)なぜブッシュ米大統領の演説を聞いてから判断するのですか、別に日本は独立国家だから米国の意見を聞く前に日本は日本で言えば良いのではないか。

(外務大臣)パウエル米国務長官の演説にもありましたけれども、今まだイラクに対しまして平和的に、パウエル米国務長官が深刻な結果を避ける唯一の方法はフセインとその側近が国外退去し、部隊の平和的な入国によって問題ない解決を図ることであるという発言をしているわけですね、それは日本が平和的にこの問題を解決するために国際社会が一丸となってイラクにメッセージを送るということをずっと言ってきたわけですから、今この時点で米国は武力行使を今直ちにしますと言っているわけではない、そういう意味で米国の対応、何を考えているかということを見るとそういう意味で申し上げております。

(問)しかし武力行使についてはそうかもしれませんが、フセインの亡命を求めるか求めないか、米国の話を聞かなくても、日本としてはどっちですか。

(外務大臣)先程言いましたように、大量破壊兵器の廃棄とか、それから今までの国連の決議をイラクが守ることが重要であって、それを今日本がずっと求めてきているわけですね、それが日本の目的としていることなわけですね、その目的を達成するための手段、これはまさにイラクの判断にかかっているということでして、日本の政府が望んでいることというのはイラクがきちんと判断をするということを求めているということです。それはいろんな可能性があるのではないでしょうか。

(問)ブッシュ大統領の演説の前には、武力行使が正しいかどうかということに関して、日本の立場は決まることはないでしょうか。

(外務大臣)日本の立場は、これはずっと私は国会でも言ってきているんですけど、イラクによる大量破壊兵器の廃棄や、それから今までの国連決議が様々ありますよね、そういったことをきちんと守るということが大事であるということなんですね。それをどうやってやらせることができるか、日本はずっと今まで国連の決議を追求をして、それでイラクに国際社会全体として毅然として対応していくということは大事であるということを言ってきたわけですね。ですから、それが目的であるということです。それを達成するためにそれぞれの時点でどういう手段が考えられるかというのは変わってくるかも知れないけど、日本は引き続きそういう意味では、イラクが平和的な解決をするために正しい判断をするということを望んでいるということです。

(問)今回、新しい決議に向けた外交的努力を米国が打ち切ったわけですが、そのことについては大臣はどのように評価しますか。

(外務大臣)私は昨日の夜、ドビルパン外務大臣とも話をしたんですけど、そういう意味では決議が国際社会の一致する形でできなかったことについては残念に思っています。

(問)国連のアナン事務総長が、今回の事態について特に米国が武力行使をやった場合は正当性に疑念があると発言をしていますけど、この件についてどのようにお考えですか。

(外務大臣)アナン事務総長が「国連の外で」という言い方をしてらっしゃると思うんですけども、米国は、ブッシュ米大統領の話を聞かないと最終的には分かりませんけれども、パウエル米国務長官の記者会見では、1441とか687とか678とか、過去の決議によってそういうことはあり得るんだという考え方を示していると思うんですね。これは、私も国会で言いましたけども、今度の決議、求めていた決議というのは、イラクが今までの決議に違反をして、そして、687の基礎が崩れた、イラクがきちんと今までのずっとある国連決議を守ってきていないということを確認をすると、そういう性格のものであるわけですね。今度の決議自体が採択されるということが武力行使の根拠であるということでは必ずしもない、それは過去の国連の決議がありますということですから、米国はこの決議がない状況で、採択されない状況で仮に武力行使をするとしても、それは別に国連の外でやっているわけでは全然ないというふうに思います。

(問)687、678決議があるので、米英軍が武力行使したとしてもそれは国際法上問題がないと川口外務大臣もお考えになっているということですか。

(外務大臣)米国がどういうことでこの話をするのかというのは、これはブッシュ米大統領の話を聞いてみないと分かりません。ですけれども、今までの国会で言っていましたように、今までイラクがやっているということ自体が687に違反している、これは1441自体でそういうふうに決定しているわけなんですね。全会一致で。ですから、それから更に12月に報告書を出した時に省略をしたり、そらから今まで査察に対してその後報告になかったことが出てきたりということもあったわけですね。そういうことがあった、従って687の根拠が崩されている状態になっているという、従ってその結果として678に戻るということがあり得るということは、それは考えています。

(問)日本と中東諸国との関係ですが、もし米国の武力行使に支持という立場を表すことによって関係が悪化するという懸念はないのでしょうか。もしあるとすれば、日本としては何か対策など考えていますか。

(外務大臣)今後の対応については、総理とご相談をした上で、総理がご発表になりますので、わが国としては今の時点で、支持するとかしないとか、そういうことをまだ今後ご説明をしていくということです。ですから、それを離れて一般的に言いますと、アラブ諸国、中近東諸国と日本はずっと今まで良い関係を持ってきたと思います。仮に武力行使があるとしても、これは世界各国がみんなそう思っていますけども、これは大量破壊兵器を持っているイラクと国際社会の問題であって、周りの中東諸国というのはその国際社会の方に入っているということですね。ですから、決してこれはイスラム諸国対他の国という構図ではないですから、それは十分に理解をしてもらっているということです。日本としては、引き続き周辺の国々、中近東にある国々と平和的な良い関係を構築する努力をし続けるということです。もう一つ言えば、中長期的に中東地域が平和であるということを中東諸国も望んでいるし、日本も望んでいるということです。

(問)大臣は今のイラクの体制からフセイン大統領が去れば、その大量破壊兵器の脅威が無くなるという風にお考えか。

(外務大臣)先程言いましたように、大量破壊兵器、或いはイラクがそういった今までの国連の決議を守ってこなかったということをイラクに守らせるためには、幾つかの手段はあると思っています。

(問)例えば昨日のパウエル米国務長官の会見ですが、フセインに対して(イラク)出国などを求めている、それから3首脳の共同声明なんかを見るとイラクの人々に不満と抑圧からの解放ということが強調されている。それはむしろ大量破壊兵器というより、フセイン政権そのもの自体が悪であって、それを変える必要があるのかということに力点が置かれているように感じますが、そこはどうなのでしょうか。

(外務大臣)そこは決してそういうことでは無いと思うんですね、ずっとそもそも1441というのは、そういうことではないですね。イラクにどうやって守らせるかということですから、私なりに解釈すれば、そういうそのサダム・フセインの国外退去ということというのは、これは手段の一つとして位置づけているのではないかと推測はいたします。

(問)今回、結局国連がこういう事態で割れて、打ち消すというようなことの理由、原因はどこにあると大臣はお考えでしょうか。

(外務大臣)外交というのは、本当に難しいものだからと改めて思っていますけれども、やはりいろいろな複数の国が集まって動いていくときのダイナミックスと言いますか、運動の力学と言いますか、そういうことのタイミングが非常に上手く合わなかったということだろうと思います。それで私の感想としては、英国が修正案についてのノンペーパーを出しました、あれはむしろイラクにそれを守らせることによって過去の国連の決議を守りましたということを言うための大事なノンペーパーであったと思うんですね。それについて、そういう議論がなされる前に反対だという動きが片方であったわけで、そういうことは非常に残念だったと思いますね。あれは決して難しい条件ではないわけですよね、イラクは廃棄しますということをアナウンスをして、幾つかの例えば科学者を外でインタビューさせたり、応じさせるとか、他の幾つかの条件を守ればいいと、それを守ればイラクとして過去の国連決議、それを守ったとみなすと簡単に言えばそういうことでしたから、しかもその幾つかのことを守るというのは、英文でご覧いただくと現在進行形で書いてありますね、全部廃棄しなくても、要するにis yieldingと書いてあるんですけれども、それはそういう状況であればという非常に守りやすいものを出したと思うんですね。そこで合意が達成できれば良かったと私はしみじみと思っています。

(問)安保理の3カ国(ロシア、フランス、ドイツ)は、武力行使を明確に反対する状態で、日本の政府としては、武力行使を明確に支持するということは可能だと思いますか。

(外務大臣)これはこの今後、総理がきちんと国民の皆さんにご説明をなさることになると思います。ですからそれをお聞き頂きたいと思います。

(問)ブッシュ米大統領、先日の首脳会談の後の会見で、イラクが武装解除しない場合には武力を持って武装解除させるという決議に同調されたのですが、そうした米国の行動、米国等の同盟国を率いた行動があった場合には日本としてはどのようなサポートというか支援を行うお考えでしょうか。

(外務大臣)ですからこれは総理がきちんと説明をなさると思います。それをお待ち頂きたいと思います。

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外務大臣会見記録 (平成15年3月14日(金)09:23~ 於:本省会見室)

・イラク情勢

(外務大臣)閣僚懇談会でまた、例によってイラクについてその後の進展について簡単に閣僚の方にお話ししました。

(問)閣議後に官房長官と総理とお話をされていたようですが、内容はどのようなものでしたか。

(外務大臣)イラクです。イラクについていろいろな動きが毎日毎日ありますので、そういったことについてお話を申しあげたということでして、外交的な努力を引き続きやるようにというお話を戴いたということです。

(問)イラク情勢を巡ってですが、イギリスのブレア首相が採決の見通しについて少し悲観的な発言をしたり、若しくはアメリカの方では、今週の採決ということについて少し先延ばしを示唆するような発言があったりしていますが、日本政府としての採決についての現状認識と、そういった米・英の発言についてはどのように受け止めていますか。

(外務大臣)米・英の発言は、それぞれ私は報道で知っているということでして、具体的に直接にお話を伺ったわけではないんです。ただ、いろいろな努力が今現在も国連の安保理で非公式会合が開かれていると承知していますけれども、纏める、国際協調するという観点で、様々な努力が今行われている最中で、私はそういった努力はこれは貴重な努力だと思っています。やはり国際協調をしていかないと、イラクに間違ったメッセージを送るということですので。それで、これも私は報道で聞いている話ですけれども、フランスがイギリスの出した案、ノンペーパーですけれども、これについて拒否をすると言ったと、これも報道ですけども、もしこれが事実であるとすれば、私はイラクに対して非常に間違ったメッセージを送ることになると思うんですね。案の定イラクが、そのイギリスのペーパーを拒否するということを言ってるわけで、国際社会が分かれているということをイラクに対してあからさまに、それを見せて、しかも如何なる案が出てきても兎に角反対だと言い切るというのは、フランスがこれを収拾する努力を本当に一生懸命にしているのだろうかと、しているとしたらば、そういう方向で、どうやって妥協するかということを、きちんとフランス自身もサポートすべきではないかというふうに思います。イラクに対して、さぼっても大丈夫だと、国際社会は一致団結をしてイラクに対応してこないというふうに思わせるメッセージ、これが一番いけないことだと私は思います。

(問)アメリカ政府の関係者は最近、かなり明確な形で、今の新しい決議案のことについて、採択されない場合でも十分に外交努力を尽くしたと、ない場合でも法的根拠は1441までの累次の安保理決議で十分であると明言していますけど、このことについて、日本政府として態度はそろそろ固まっていると思うんですけども、明確にされるのでしょうか。

(外務大臣)日本としては、平和的にこの問題が解決をするということが非常に大事だと思っていまして、そういう意味で、国際協調をして一体となってイラクに働きかけることが大事だというメッセージを、総理も私もずっと電話をしてそういうメッセージを送っています。その立場に全く変わりはないです。それから、アメリカの法的な根拠についての解釈は、今まさにそういう事態になっているわけではないので、具体的にどういうことでアメリカがそういうことを言うかということを、私共は今それについて議論をするというのは適切なタイミングだとは思っていません。

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・対外経済協力関係閣僚会議

(外務大臣)ODA関係閣僚会議を今日夕方致しまして、大綱見直しの基本方針についてご議論を戴きます。昨年の12月に、決めてからもう10年経っているODAの大綱を見直すということを私は申し上げましたけれども、その後各省で見直しの基本方針について議論をしていまして、基本方針の案が固まりましたので、今日閣僚会議でそれをご議論いただくということです。その後は、ODA総合戦略会議、或いはパブリックコメンツ、それから実施機関、NGO、その他経済界の方々のご意見を戴いて検討をしていくということです。国民的な議論を充分に尽くした上で、今年の中頃を目途にODAの大綱について、またその時に再度閣僚会議にお諮りをして、最終的な結論を得たいというふうに考えています。

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・日米官民会議、日米次官級対話

(外務大臣)もうひとつ日米官民会議というのがございます。これは21世紀において、日米の間の官・民で合同で会議をする。これは、21世紀の経済のいろいろな問題について忌憚のない意見交換をするということですけども、これが4月14日、15日ワシントンで開催をされます。この時に背を並べて次官級の経済対話も致します。この会議は、2001年6月に日米首脳会談があったときに立ち上げられたものでして、今経済を巡っていろいろと不透明な情勢がございますので、ここで議論をしていくということは意味があると思います。この点については、後で資料を配布します。

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・拉致問題

(問)先日の家族会の方の訪問で、蓮池さんなんかが、「外務省は敵だ」とかなり厳しいご批判があったわけですが、川口大臣としてはどういうふうに受け止めていますか

(外務大臣)外務省も政府の中で、政府一体としてこの問題に当たっているので、政府全体として全て反応しているということなんですね。ですから、どこか特定の省が家族の会の敵であるということは全く当たらないと思います。外務省も今まで、例えば家族会の方がアメリカに行かれた時も、外務省は出先のワシントンの大使館に指示をして、いいアポが取れるように一所懸命に現地で努力をしてもらったわけですね。とてもいい会合をやっていただいたと思いますけども、それも外務省が一所懸命努力している話であるわけですし、今までもできることは一所懸命にみんなやっているわけですから、そういう意味でどっかが敵だとかということではなくて、これは日本政府一体として、できるだけ今北朝鮮に言っている話ですけど、今帰ってきていらっしゃる方も、北朝鮮にいる家族の人が一刻も早く一日も早く帰ってきて欲しいと、そうなるように努力していますし、それから事実関係ですね、そういうことを早く教えるべきだということも言っているわけで、最大限の努力を外務省はしています。

(問)家族会との会談で、拉致とテロとの関係なんですが、大臣は普通に考えたらテロだけども、国際的にも決まった基準がないし、国内法もないという考えを示されましたが、普通の考えと、法的整備が一致していないということについては、今後どのように政府として取り組んでいくのですか。

(外務大臣)私が前に、或る雑誌でも書かせていただきましたけれども、そしてこれを家族会で言いましたけども、日本としてテロの問題に対して統一的にと言いますか、それぞれの異なる法律でバラバラに対応するのではなくて、纏めてひとつの法律で対応するということを考えたらいいのではないかと個人的に思っています。それで、それは雑誌にも書かせていただきましたし、テロが21世紀に大きな問題になるということを考えた時に、日本として少し前向きにテロ問題を扱うということを考えることは必要なことだと個人的には思っています。これは、政府の中でいろいろな意見があると思いますので、政府としてそういうことを決めたということを、私の立場から今申し上げられる段階ではないと思います。

(問)新しい、統一的な法律を作るときに、「拉致はテロ」ということになるのか。

(外務大臣)それはいろいろと議論をその時にしていくという話だと思いますね。今、私の口からそうすべきだとか、そのディテールに亘って申し上げるという段階ではないです。今のことは、拉致の家族の方にもお話をしましたけども。

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・在日米軍基地関係

(問)普天間の代替15年使用期限問題について、国防総省の担当者が、この問題については解決を求めないということで日本政府と合意しているという内容の話をしているのですけども、事実関係と、大臣のご所見をお伺いしたいのですけども。

(外務大臣)そういう事実は全くないと思います。私自身、この前もパウエル長官にも話しましたし、「2+2」でも話をしたと思います。

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・日中関係

(問)昨日、中国の武大偉大使が官邸を訪問して、福田官房長官と会談していますが、その内容について教えていただけますでしょうか。

(外務大臣)その内容について、私は聞いておりません。官房長官の記者会見でお聞きいただいた方が良いかと思います。

(問)今年は、日中友好条約の25周年の記念の年なんですけど、首相訪中の計画は立てられたんですか。中国の唐家セン外交部長も、武大使もやはり、首相訪中の条件がまだ整っていないと言われたんですけど、この条件について日本側はどのように理解していますか。一部のマスコミが、これは「内政干渉」だと指摘していますが、川口大臣自身はこ の「内政干渉」についてどのように認識していますか。

(外務大臣)今年はおっしゃるように、日中平和友好条約の25周年ですので、昨年の(国交正常化)30周年と並んで日本と中国との間で要人を含めていろいろな人の交流、交換があると私は思います。特に中国で新しい政権と言いましょうか、陣容が確立をするわけですから、日本としても中国と意見交換を密にして、また様々な問題が国際社会でありますから、連携をして事に当たるということは大変に大事なことだと思います。そういう意味で、いろいろな人の交流というのは、或いは相互訪問があると思いますけれども、今の時点で具体的に、いつ誰がということが決まっているということは無いと思います。それで、唐家セン部長の発言ですけれども、私もこれは報道で読みましたけれども、直接に伺ったわけではないので、ここでそれについてコメントをすることは差し控えさせていただきます。

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外務大臣会見記録 (平成15年3月11日(火)09:00~ 於:本省会見室)

・閣議

(外務大臣)閣議でテロ特措法でイタリア、オランダ、スペイン支援の書簡の交換について決定をされたということです。特に発言は閣議ではしていません。それでこの支援については、閣議で決定されましたので、それを受けて今日の午前中に各国の駐日大使との間で書簡交換を行って、その後、実際の支援開始に向けた運用面での調整を行うということです。
 その後の閣僚懇談会では、前回も行ったが先週の金曜日以降のイラクの関連の情勢について私から簡単にご報告を致しました。特に質問はありませんでした。

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・第3回世界水フォーラム

(外務大臣)水フォーラムが16日の日曜日から23日の日曜日までの一週間、京都府、滋賀県、大阪府の二府一県で第3回世界水フォーラムという名前ですが、それが開催されまして、その締めくくりに22日と23日に閣僚級の会談を行います。それで22日は扇国土交通大臣が議長をなさって、23日は私が議長をするということになっています。この閣僚会議で各国、或いは国際機関が実施をする貢献策をとりまとめて、水行動集として発表を致します。同時に参加国、機関の水問題への取り組みについての決意を表明をした閣僚宣言を採択する予定です。この閣僚宣言では、日本としては良いガバナンスが必要で、そのためにその国際社会が人材育成等の支援をやっていくことが必要だということ、そしてその際には、家庭とか近隣のコミュニティからの取り組みを強化するというようなことを強調をしているということです。水問題は多面的な広がりがありますので、ミレニアム開発目標でも、2015年までに清潔な水にアクセスできない人を半減するということがありまして、世界的に一致して行動をするということが非常に大事なことだと思っています。

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・新安保理決議案に際する各国との電話会談

(問)昨日の夜、英国とかドイツの外相と電話会談をされましたが、雰囲気といいますか中身の方を詳しく教えて頂けないでしょうか。

(外務大臣)昨日の夜、私からドイツ、英国、それからアフリカのギニア、カメルーンと話をしました。アンゴラのミランダ外務大臣、この方は前にお会いをしていたのですが、(電話会談は)セットされていたのですが、時間がうまく合わなくなって、日本時間の夜中の12時なら良いというお話だったのですが、ちょっとそれは延ばすということで、今日恐らく(電話会談を)行うことになります。それから総理がブッシュ米国大統領とムシャラフ・パキスタン大統領、それからチリのラゴス大統領とお話になられました。こちら側から言ったのは、決議の修正案が出されて、今世界として一致団結してイラクに対応を迫るということが大事であると、そのためには意見が分かれている状態ではイラクを利するだけでありますので、そういった観点で一致団結をして対応をしてほしい、今が日本として本当に最後の努力をする状況だと考えている。我が国のポジション、そういう意味でこの決議案を支持しているということも伝えました。それで先方からは、国によって違いますが、基本的には一致して対応するということは非常に大事だということについてはみんなそう思っていると言っていた。アフリカのカメルーンとギニアについては、どっちの態度、どっちかにつくということは言いませんでした。いろいろ悩んでいる様子が伺えて、ギニアの外務大臣が今安保理の議長でもありますから、今ニューヨークにいて、ニューヨークで話をしたのですが、その後ワシントンに行って話をし、コナクリ(ギニアの首都)とまた話をする、いろいろあちらも考えているという感じでした。アフリカの国については、今フランスの外務大臣がアフリカの三カ国(ギニア、カメルーン、アンゴラ)を巡る訪問をやっていまして、その後に英国が行くということだと思いますが、各国から今電話がかかっている状態ということで、非常に態度をどうするかということについては、真剣に考え、悩んでいるということです。それから英国は、今国連の場で金曜日以降いろいろな強い外交努力をなされているということを聞きました。それからドイツは一生懸命に努力をしているけれども、非常に難しい事態であるということを、一致団結をして国連としての姿勢を示すということは難しいということを言っていました。

(問)カメルーンとギニアなんですが、これは(川口)大臣からあるいは先方の大臣から日本の経済協力についての言及はあったのでしょうか。

(外務大臣)特にしていません。向こうからもありません。

(問)カメルーンとギニアの外相からは、決議案の内容自体もしくは査察の延長だとか査察に関する内容について、意見の表明や言及はあったでしょうか。

(外務大臣)細かいそういうことは特にありませんでした。非常に一般的な話しでした。

(問)フィッシャー独外相とは査察の延長を巡って意見のやりとりがあったのでしょうか。その会談自体の雰囲気はどのようなものだったのでしょうか。

(外務大臣)非常にフレンドリーな会談をしました。フィッシャー外務大臣は当然ドイツの立場というのは査察を継続すべきだというものですから、その立場の表明がありました。それはよくこちらも分かっていることですから。私からはさっきも言いましたけれども、国際社会として大量破壊兵器の廃棄をすることが大事だというメッセージを一致して出すときに、問題がそこから焦点が移ってしまい安保理での意見の違いということが焦点になっているということは全く好ましいことではないと私は思っていますので、そういう主旨のことを言いました。

(問)昨日の(電話)会談を踏まえて、新しい決議案に9ヶ国の賛成が得られるかどうかについては、大臣はどのような感じをお持ちでしょうか。

(外務大臣)全く不透明ですね。それぞれの国が態度を昨日の時点では、独、英を別として、中間国は表明をしていない。国連の場で色々な水面下の駆け引きなり交渉が行われている状況ですから、それとの関連もあると思います。ですから、最後の最後までなかなか分からないということです。

(問)9ヶ国の賛成を獲得してそれでもなお拒否権が行使されるケースと、そもそも9ヶ国の賛成を得られず採択されなかった場合の、これら2つのケースについては国際的な正当性の面では違いがあるとお考えですか。

(外務大臣)正当性というのはどういう意味かですが、あの決議の意味は何か。あれはイラクが常に問題があるということは、安保理決議1441で決定されているわけですね。それから更なる報告書の省略とか虚偽の報告とか、そういったことについては、更なる重大な違反を構成するということも安保理決議1441で決まっているわけですね。ですから、そういったイラクが問題があるということを、基本的にあの決議は更に確認をするということであると思います。今後それを安保理でどのように位置づけるかについて議論されるので、現状でどういう票の分布だったらどうだということを言える段階ではないと思います。イラクが最後まで問題があるということを国際社会として一致してイラクに働きかけることができること、そういうことだと思います。

(問)日本が支持している決議案が国連で可決採択された場合と、されなかった場合では、今後のイラク問題に対する日本の取組には差又は違いは出てきますか。

(外務大臣)決議案が可決されないという状態というものはイラクに対して国際社会が一致してはたらきかけるということについて、まとまれなかったという意味では非常に残念、その目的に照らしてイラクに迫って廃棄をさせるという意味では、そういう風にならなかった、ということでイラクに利用されるだけの結果であったという意味では残念だと思います。採択されるべきだと思います。他方、そうならなかった場合、その結果として、日本の取組がその後の姿勢が変わるだろうかということですけれども、決議案を支持するということは、そういう姿勢として支持をしているわけですから、その後国際社会がどういう行動をとるか、そして日本がそれになるということはまだ先の話ですね。それが、ギリギリまでイラクの対応に、あるいは大量破壊兵器の問題がいかに問題があるかという問題の本質に照らし、その時点で日本として判断する話ですから、そもそも今判断をしているわけではないので、今後どういう形で判断するか、今後の展開にもよると思います。

(問)日本時間の今日の朝に国連安保理の非公式会合があって、採決が週末に延期されるのではないかということが報道でも出ていますが、そのことについてどのように把握されて受け止めておられるか。

(外務大臣)非公式会合が今、今朝から行われているということはその通りです。採決が延期されるかどうかということについては、色々な水面下の動きがありますから、そういう可能性は大いにあるだろうと思っています。ギリギリの努力をみんな各国がやって、そして国際社会として一致した姿勢を見せると言うことにつながるための努力をしているわけですから、とことんその努力をして欲しいと思います。 

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外務大臣会見記録 (平成15年3月7日(金)8:55~ 於:院内控え室)

・イラク情勢

(大臣)閣僚懇談会の時に、簡単に最近のイラクを巡る情勢についてお話をしました。その時にお話したことでもありますが、総理の特使を、中山、高村元外務大臣と茂木、矢野両副大臣にお願いをして行っていただいて、日本として時間がなくなりつつある中で、平和的に解決をするための外交努力をしているというお話をしました。
 茂木副大臣、矢野副大臣それぞれお話になると思いますけれども、イラクに対しては、最後の翻意を促したということなんですけれども、必ずしもその面での成果は、残念ながら得られなかった訳ですが、日本としてどう考えているかはお話をし、イラクに大量破壊兵器の廃棄を強く求めたということです。他方で、他の方々、その他の国に行っていただいた中山、高村そして矢野副大臣との関係で言えば、イラクが査察に全面的に協力すべきであるということとして、その国際社会が一致して働きかけるということが大事だということについて、意見の一致を見たということです。

(問)これから7日、日本だと日付が変わってしまいますが、国連で査察の報告が週をまたいで行われますが、その報告をうけて国連安保理がどのような方向に動くか、大臣はどのような見通しを持っていますか。

(大臣)解れば仙人かなにかの類じゃないかと思いますけれども、日本としてはやはり是非国連が、意見が一致する形でイラクに迫るということが行われることが大事だと思います。
 総理も昨日、シラク仏大統領と電話でお話して頂いて、イラクの問題については総理から持ち出していただいて、これは総理が今日、閣僚懇談会の際におっしゃっていましたが、働きかけやそういうこともおっしゃっていただいて、それは日本として、強く望んでいるところです。色々なことが今後あり得ると思うので、どういう展開をするのか、今色々なことが言われていますが、英の修正案の話や、米のそれに対する対応とか、そして独仏露の考え方とか色々な要素があり、交渉を自分でやると、最後の段階は色々な動きがあって動いていくということですから、そういう状況が展開するのだと思います。

(問)閣僚懇談会でイラクの問題を報告をされたということですが、これを受けてどのような議論があったのか紹介頂ければありがたいのですが。

(大臣)特に、質問もありませんでした。総理からシラク仏大統領との電話会談の話がありました。これは官房長官がお話になることなので、私から本来言う話ではありませんが。

(問)先に話をしたのは小泉総理と大臣のどちらですか。

(大臣)私です。これは今までも時々、閣僚懇で、その時々の状況をお話をするということをやっておりまして、その一環としてということです。

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・北朝鮮関連

(問)北朝鮮の危機のエスカレーションについて、今後、再処理、弾道ミサイル発射ということが現実に起こるのではないかという見方が強まっていますが、そのようなことがあった場合には日本政府として、経済制裁等に踏み切るのでしょうか、どのような対応を取られるのでしょうか。

(大臣)まず北朝鮮の動きについて、色々な情報がありますけれども、今おっしゃったような、そのようなことについての情報は我々として持っていません。それから基本は平和的に解決をしていくことが大事で、そのための働きかけを引き続きやっていくということですね。それから頭の体操として、もちろん、政府は色々なことは考えなければいけないと思っていますけれども、そのようなことが仮にあったとしたら、それは国際社会が連携して対応するということで、今、国連安保理の場で例えば経済制裁を議論しましょうなどと行っている国は一つもないのですから。

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外務大臣会見記録 (平成15年3月4日(火)10:14~ 於:院内控室)

・閣議

(外務大臣)今日閣議で発言をしましたが、これは実は前回閣僚懇で言ったことであるんですが、2月24日に中国新疆ウイグル(自)地区で発生した地震の被災民支援のために、資金とテント、毛布、他の援助物資合わせて総額約3千万円相当の緊急援助を行うこととしました、ということを閣議で報告をしました。

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・茂木副大臣のイラク訪問

(外務大臣)茂木副大臣が今イラクに今行ってらっしゃいますけれども、アジズ副首相と2時間ほどお話になった。今日の朝の日本時間でいうと1時半頃で、現地時間の午後7時半です。それで、総理の親書を、これはフセイン大統領宛ですけれどもお渡しをして、そして、人的に或いは天然資源にイラクは非常に富んでる訳ですので、そういった国が日本と同様に大量破壊兵器から決別をして、日本と同様に繁栄をしていくということが可能であるということをお話をし、そして、イラクが大量破壊兵器のこれは国際的な疑念を持たれている訳で、それを積極的に査察に協力をして廃棄をするということが深刻な事態を招かない唯一の方法である、それはもうイラクの決断と行動にかかっているということを伝えました。
 それに対して、アジズ副首相は、大量破壊兵器は持っていない、査察への協力はしている、それからアメリカに対しての色々な批判ですね、これは従来からイラクが言っていることですけれども、それを繰り返し述べて、日本は客観的に状況を判断して、米国支持が利益となるかどうか熟考すべきであるということを言ったということです。
 それに対しては、茂木副大臣の方から日本の認識を再度説明をした。それに対して副首相は、事態が切迫していること、査察結果を左右するのはイラクの態度如何であるということについては理解を示したと聞いています。

(問)このアジズさん(副首相)のですねこの言い振りというか対応については、評価っていうんですか、つまり大臣御自身は、これでそのイラク側にいわゆる最後の外交努力とうふうに大臣仰っていた訳ですが、その目的が達成されたというふうにお考えですか。

(外務大臣)日本としては、言うべき事をイラクが知っていなければいけないことをきちっと伝えることが出来たと思います。私、朝、茂木副大臣と電話で話をしたんですけれども、私の印象は、やはり今安保理が二つに分かれているとイラクが思っていることが、イラクの行動に対して非常に甘い判断をさせているということではないかなという印象がありました。時間がまだあるだろうとイラクは思っちゃっている。これは一番いけないことで、私は昨日またアナン(国連)事務総長と夜遅くお話を電話でしましたけれども、その時に、私はアナン事務総長にそういうことを言いました。これは、茂木副大臣とお話をする前ですけれども、それが一番、イラクに間違ったメッセージを送るという意味では問題だと思うということを言いましたら、アナン事務総長は、安保理が結束をしている時に一番有効に国連が機能できるだということを言っていましたけれども。

(問)イラクに対して、時間はまだあると思っているとの印象を持っているようですが、更にこれから先、働き掛けをおこなっていく予定はあるのでしょうか。

(外務大臣)これは、副大臣がお帰りになりますので、またその時の感触も伺ってということだと思います。できることは何でもやるべきだと思っていますけれども、ちょっと今すぐに、これをやりますということを申し上げられる具体的なことは今の時点ではありません。

(問)先程、茂木副大臣と電話をされて、イラク側が安保理が二つに割れていることで、ちょっと甘い考えを・・・・・・。

(外務大臣)それは私の印象です。

(問)安保理の説明が茂木副大臣からあった訳じゃないんですか。アジス副首相の(見解について)。

(外務大臣)さっきもお話しましたけれども、茂木副大臣からは先方に対して、この機会、切迫をしているということを伝えて、イラクが行動をすることが深刻な事態を招かない唯一の方法だということを伝えた訳ですね。それに対してのアジズ副首相のやりとりを聞いて、それで再度茂木さん(副大臣)から切迫をしているということを伝えたということですけれども、その経過からいきましてね。時間がまだあると思っているとの印象を私が受けたということです。或いはそういうことですかという質問を茂木さん(副大臣)に言ったかもしれません。ちょっと今もうよく覚えていませんけれども。いずれにしても、そういう印象を私が持つような会話をしたということです。

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・矢野副大臣のアンゴラ訪問

(外務大臣)もう一点お話をお伝えしておかなければいけないのは、今、矢野副大臣がエチオピアとケニアを訪問をしていらっしゃいますけれども、これもアンゴラが安保理の理事国ですので、働きかけをして頂くために、アンゴラにも総理の特使として行って頂くということになっています。ドス・サントス大統領、この方は私も前に去年アンゴラでお会いしましたけれども、お会いをするという方向で今日程は調整しています。安保理結束をしてイラクの問題に対応することが大事であるということをお伝えを頂く。そしてイラクに働き掛ける。やるべきことをやるということが大事なんだということを。今になっては「大事」以上ですね、「必須」だということを言って頂くということだと思います。

(問)矢野副大臣がアンゴラで働き掛けをされるんでしょうけれども、安保理結束をしてイラクに働きかけることが必要だということは、それはイコール新決議案に賛成してくれという意味なんですか。

(外務大臣)これは、安保理自体がどのように今後議論をしていくか、イラクがその前提としてどういうふうにやるかということですけれども、我が方が今言っているのは、今仰った、さっき私が言ったそういうことで、働き掛け、イラクに対して国際社会として毅然とした態度を取っていくことが大事であるということを伝えるということです。再三再四言っているように、時間がそう残っているとは我が方は思っていない。イラクが今のような態度を、査察について、もう何ヶ月も何年も前にやっていかなればいけないことを今やっているというような協力の態度については、査察の有効性に疑念無しとはしないということはもうずっと言っている訳でして、我が方としては、そういう危惧を持っているという日本の立場を伝えて、国際社会が一致団結して毅然としてイラクに査察に対して対応するということが重要である、ということを伝える、そういうふうにアンゴラも行動して欲しいというこを伝える(ということです)。

(問)矢野副大臣は何時頃行かれるんでしょうか。

(外務大臣)今の日程は5日にルワンダに、アンゴラの首都に着いて頂くという予定です。

(問)会談されるのは5日(でしょうか)。

(外務大臣)そうですね。5日乃至6日。6日にもうルワンダを発ちますので、5日についてから6日に発つ。5日よりは6日の可能性があるかもしれませんね。ルワンダ発が14時、ルワンダ着が17時20分。どこに入るかわかりません。

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・在イラク邦人の保護

(問)イラクに人間の盾として残っている日本人の方が十数人いるそうですが、今後仮に戦争となった場合に、政府としては御本人の意思を尊重するのか、それとも何らかの対応を邦人保護という観点から(するのでしょうか)。

(外務大臣)政府としては、非常に懸念をしています。これは、もちろん武力行使をするということが決まった訳ではありませんけれども、やっぱり非常に危険な状況に、仮に武力行使にならないとしても、現地が非常に騒然となるという状況を考えれば、いろいろな事に巻き込まれかねない。それから、その前回の湾岸戦争の時の例を見れば、実際にイラクは人間の盾を使った訳ですね。行ってらっしゃる方の気持ちは、これはそれぞれ非常に強いお気持ちを持って、平和が大事だと思って行ってらっしゃるということだと思いますけれども、やっぱり危険であるということは政府としては申し上げざるを得ないんで、御本人それぞれ大人の方なので、説得をするということ以上のことをすることはできないですけれども、湾岸戦争の時のお話も十年以上経っている訳なので、その時に何が起こったか、その他のことをよくきちんとそれぞれ知って行って頂いているんだろうと思いますけれども、非常に心配をしています。

(問)例えば、開戦になったら、米軍(アメリカ軍)に(邦人が)どこにいるかとか、そういう情報を伝えるということはあり得るんですか。

(外務大臣)それは、何ができるか、日本としてはもちろん邦人保護、政府としては大事ですから、できることは全部やりたいと思います。ただ、そういうことにならないように、やはりその自分で、やってらっしゃる行動が招き得る結果についてもきちんと、やっぱり一番御本人の命、身体の安全ということが、これは御本人にとっても御家族にとっても大事だと思いますので、色々な可能性を十分に考えて頂きたいと思います。なかなか説得は今までもかなりしていますけれども、そこは心情の問題でもありましょうから、直ちに分かりましたということではないだろうと。

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・イラクに関する国連安保理新決議案

(問)今、英、米、スペインが出している新決議案について、日本は圧力をかけるんだという意味においては精神において支持するという言い方をしているですけれども、7日にも国連査察団の報告が出る見通しですけれども、その報告を聞いて政府として新決議案についての態度をお決めになる、そういうつもりはあるんでしょうか。

(外務大臣)ぎりぎり、茂木副大臣にも一所懸命イラクに説得をしてもらった訳でして、そういったことを受けて、イラクがどう目に見える形で変わって行くかということが一つの大きな要素ですよね。それから、それが、本当にイラクが真面目に取り合うつもりがあるのかどうか、私は、一国の大統領が或いは一国のリーダーが、自分達の国民を危険に晒したくないと思ったら、(問題を)平和的に解決をするための手段は当然取るべきであると思うんですね。しかも、これは何年も前にやらなければいけなかったことで、やること自体は難しくなくって、科学者を(査察団に)どんどん会わせればいいんですよね。思うように会ってもらって何もありませんと言うことは何ら難しいことではないですよね。それを、どうしてそういう行動を今取らないのかなあ、というふうに思いますけれども、是非イラクに対してはそういうことをやって欲しい。だから、そういう色んなイラクの態度ですとか、そういったその時でのぎりぎりの情勢をみて判断をすることになると思います。非常に厳しい判断になると思いますけれど。

(問)ブリックス(委員長)の報告自体はその契機になるんじゃないんですか。

(外務大臣)それは、判断の一つのもちろん材料であります。ただ、何時判断をするかということについては、それがあった時点で判断をするとか、そういうことではない。ぎりぎり、とにかく情勢は変化(しているので)、最後の最後まで見極めて総合的に、まあどういうことで判断するかということは今まで国会なんかで色々申し上げていますけれども、大量破壊兵器が日本にとっての問題だとか、平和的に出来るだけ解決をしたいけれどイラクの態度はどうかとか、日本として国際社会の一員としてどのような考え方をするのが適切なのかとかいろいろありますよね。そういうことを考えて、そういうことを踏まえて、総合的に考えるという訳です。

(問)報告から裁決までそんなに時間があるんですか。

(外務大臣)それはないかもしれんませんね。それから、あるかもしれません。それは安保理がその時に決めることであります。ない可能性もあると思います。

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・北朝鮮情勢

(問)北朝鮮の関係なんですけれども、一部報道で、北朝鮮の使用済み燃料棒の再処理の動きに関する情報がアメリカ政府から日本政府に伝えらているという話が報じられていますけれども、これは数日前にも、アメリカの新聞で報じられていますけれども、その情報について日本政府は(把握されているのでしょうか)。

(外務大臣)そういう報道があるってことは知っています。だけど、そういうふうにアメリカ政府として考えていますと、そういうようなことでは聞いていません。

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