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WTOシドニー非公式閣僚会合(概要と評価)

平成14年11月15日

1.日時・場所
日時:11月14日、15日
場所:豪シドニー
14日(金)    
 20:00~22:30 ワーキング・ディナー(閣僚のみ)
15日(土)  
 08:00~09:30 議題1:TRIPS及び公衆衛生
 09:30~11:00 議題2:「実施」問題、特別のかつ異なる待遇(S&D)、貿易関連キャパシティ・ビルディング
(13:00~15:00 ハワード豪首相主催昼食会(閣僚のみ))
(15:00~15:30 (議長(ヴェイル豪貿易大臣)による記者会見)
 15:00~16:30 議題4:その他
 16:30~18:00 議題5:カンクン(第5回閣僚会議)への道
 20:00~22:30 ワーキング・ディナー(閣僚のみ)

*公式プログラムによるもので実際の議事は若干の変更あり。

 また、川口大臣は、デルベス墨経済大臣(第5回閣僚会議議長)、ヴェイル豪貿易大臣、スパチャイWTO事務局長、ブトロス・ガーリ埃対外貿易大臣、ラミーEU貿易担当委員とバイ会談を行うと共に、会議場においては、ゼーリック米通商代表はじめ各国閣僚と積極的に意見交換を行った。なお、いずれの会談相手からも二国間問題は提起されなかった。


2.出席者
日本  川口外務大臣、高市経済産業副大臣、大島寿府代大使、山崎国際貿易・経済担当大使、竹中農林水産審議官、佐野経済産業審議官、浦西財務省関税局審議官
豪州  ヴェイル貿易大臣(議長)
米国  ゼーリックUSTR
EU  ラミー貿易担当委員
中国  石広生対外貿易経済合作部長
WTO  スパチャイ事務局長

その他、全体で26の国、地域、機関から閣僚級の出席があった。

出席国・地域・機関:オーストラリア(議長国)、日、米、EU、カナダ、ブラジル、中国、香港、コロンビア、エジプト、インド、インドネシア、ケニア、韓国、レソト、マレーシア、メキシコ,NZ、ナイジェリア、セネガル、シンガポール、南アフリカ、スイス、タイ、トリニダッド・トバゴ、WTO事務局


3.概要
(1) WTO協定では、少なくとも2年に1回、閣僚会議を開催することを規定。右とは別に、今次非公式閣僚会合のように、関心国が非公式に閣僚レベルで集まり、その時点で重要なイシューを中心に議論し、交渉を側面から促進していくことを図っている。第4回閣僚会議(昨年11月ドーハにて開催)に向けたプロセスにおいても、メキシコ、シンガポールと2回の非公式閣僚会合が開催され、ドーハに向けたモメンタムを形成した。

(2) 今次会合では、ドーハ宣言等で2002年末までに決着することに合意した以下の2つが主たる議題であった。
(i) TRIPS協定と医薬品アクセス:エイズ等に対する治療薬を途上国が安価に入手できない状況を改善するため、TRIPS協定による特許の強制実施権に関する例外を検討。
(ii) 特別かつ異なる待遇(S&D):途上国を多角的貿易体制に統合していくために必要な措置の検討。
(3) TRIPS協定と医薬品アクセスについては、(i)特許の強制実施権設定の対象となる医薬品等の範囲、(ii)安価な医薬品を提供できる輸出国資格、(iii)そのような特別の制度の受益国資格、(iv)安価な医薬品が対象国以外に横流しされないようなセーフガード、(v)法的枠組みといったサブ・イシューがある中、事務レベル会合を踏まえて、このタイミングで閣僚レベルで議論することが望ましいと了解されていた(ii)~(iv)について、妥協の方向性が出た。

(4) S&Dについては、途上国、アフリカ諸国等から上がってきている80以上の提案に先進国側がどのように応じていくかが主たる論点であったところ、先進国側からも前向きの発言がなされ、今後の寿府での具体的な議題の収斂に一定の貢献があった。なお、実施については途上国側から積極的に発言が行われなかった。

(5) 市場アクセス(農業、非農産品市場アクセス、サービス)、「その他」(ルール、シンガポール・イシュー、環境、地理的表示等)及び第5回閣僚会議に向けた取組みについても議論された。川口大臣、高市副大臣より日本の立場につき然るべく発言し、交渉を予定どおり進めていくためカンクンに向けて引き続き閣僚の関与が重要であることが確認された。なお、議題5の「カンクンへの道」は、時間がなくなったため、議題4の終わりにデルベス墨経済大臣よりカンクンに向けての発言がなされたのみで、改めて議論はせず。



4.評価

(1) 会議後の共同記者会見でヴェイル豪貿易大臣が述べたように、新ラウンドを推進していく上で、主要国の閣僚が個人的な信頼関係を確立し率直に意見交換することは重要。ドーハ閣僚会議等これまで外務大臣が欠席。川口大臣は今回出席したことにより、この関係の輪の中に入った。今後の交渉において日本にとって大きな財産。

(2) 今次会合の焦点は、TRIPS医薬品アクセス。この問題は、TRIPS協定が特許権の保護を規定しており、そのため、協定に違反しない形でエイズ等の困難に直面しているサブ・サハラ・アフリカ等貧しい途上国に医薬品を安価に提供していくことは、人道上の大きな課題であると途上国が主張しているもの。特許権を損なわない範囲でそのような提供のためどこまで例外を認めるかが焦点。年内解決との政治的意思を確認し、主要なサブ・イシューについて解決の方向性を確認できたことは大きな成果。途上国は、この問題の解決を新ラウンド交渉に積極的に参画するための前提としていたため、新ラウンド推進を目指す日本にとっては大きな成果。

(3) もう一つの焦点であったS&Dについても議論を深めることができ、今後の寿府での具体的な議論の収斂に一定の貢献があったと評価できる。

(4) 他の問題については、特に農業交渉におけるモダリティ(注)の期限を来年3月末に控え、農業についての突っ込んだ議論をしたいとの意見もあったが、この時点でそのような議論は時期尚早との理由により、日本から豪州(議長)及び星(この議題のリード・オフ国)に対し働きかけたこともあり、突っ込んだ議論にはならなかった。しかしながら、日本は、日本の農業交渉における基本的主張を行い、また、共通の考え方がないまま過早に数字を議論すべしとする米、ケアンズ諸国等に対し、そのような議論はかえって合意形成を困難にするとの点を改めて指摘した。
(注:モダリティ:関税引き下げ、補助金削減等の具体的な提案をカンクンで出すことができるための大枠)



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