(1) |
WTO協定では、少なくとも2年に1回、閣僚会議を開催することを規定。右とは別に、今次非公式閣僚会合のように、関心国が非公式に閣僚レベルで集まり、その時点で重要なイシューを中心に議論し、交渉を側面から促進していくことを図っている。第4回閣僚会議(昨年11月ドーハにて開催)に向けたプロセスにおいても、メキシコ、シンガポールと2回の非公式閣僚会合が開催され、ドーハに向けたモメンタムを形成した。
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(2) |
今次会合では、ドーハ宣言等で2002年末までに決着することに合意した以下の2つが主たる議題であった。
(i) |
TRIPS協定と医薬品アクセス:エイズ等に対する治療薬を途上国が安価に入手できない状況を改善するため、TRIPS協定による特許の強制実施権に関する例外を検討。 |
(ii) |
特別かつ異なる待遇(S&D):途上国を多角的貿易体制に統合していくために必要な措置の検討。 |
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(3) |
TRIPS協定と医薬品アクセスについては、(i)特許の強制実施権設定の対象となる医薬品等の範囲、(ii)安価な医薬品を提供できる輸出国資格、(iii)そのような特別の制度の受益国資格、(iv)安価な医薬品が対象国以外に横流しされないようなセーフガード、(v)法的枠組みといったサブ・イシューがある中、事務レベル会合を踏まえて、このタイミングで閣僚レベルで議論することが望ましいと了解されていた(ii)~(iv)について、妥協の方向性が出た。
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(4) |
S&Dについては、途上国、アフリカ諸国等から上がってきている80以上の提案に先進国側がどのように応じていくかが主たる論点であったところ、先進国側からも前向きの発言がなされ、今後の寿府での具体的な議題の収斂に一定の貢献があった。なお、実施については途上国側から積極的に発言が行われなかった。
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(5) |
市場アクセス(農業、非農産品市場アクセス、サービス)、「その他」(ルール、シンガポール・イシュー、環境、地理的表示等)及び第5回閣僚会議に向けた取組みについても議論された。川口大臣、高市副大臣より日本の立場につき然るべく発言し、交渉を予定どおり進めていくためカンクンに向けて引き続き閣僚の関与が重要であることが確認された。なお、議題5の「カンクンへの道」は、時間がなくなったため、議題4の終わりにデルベス墨経済大臣よりカンクンに向けての発言がなされたのみで、改めて議論はせず。
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