1. |
ドーハ開発アジェンダの促進は、すべてのメンバーにとってより開かれた、障壁の少ない貿易を促進するために大変重要である。そして、WTOは、グローバリゼーションから取り残されている地域が、グローバリゼーションから利益を得て生活水準などを改善していくように、他の国際機関と緊密に協議しながら作業を進めていく。
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2. |
今回のラウンドを能率的で、成功したものにするためには、交渉の期限を守ることが重要である。そのため、無駄にしている時間はない。実質的な交渉を進めていかなければならない。
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3. |
私がWTOを運営していく上で重視している4つの分野に4人の事務局次長を任命する。それは、以下のとおりである。
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一つ目は、法律部門である。加盟国が、紛争を回避し、WTOのルールを遵守し、紛争を解決することができるように、ルールの解釈を考え、また、費用と時間のかかる紛争を阻止するため協議を行うといった活動を支援する。
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二つ目は、WTOの組織強化である。仕事の質を向上させ、加盟国により貢献するために、組織を強化し、必要であれば、再編することも考えている。
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(3) |
三つ目は、技術支援である。ドーハ開発アジェンダは、その作業計画に途上国が十分に参加する上で短期的な効果しか持たない。私は、ドーハ開発アジェンダ以降も貿易関連の開発計画をすすめていく必要があると考えている。
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四つ目は、他の国際機関との政策調整である。私は、持続可能な開発をすすめる上で貿易を有効に機能させるため、世銀やUNCTAD、IMF、UNDP、ILO、WHOといった国際機関と常に連絡をとり、ともに作業をしていきたいと考えている。
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4. |
3年という時間は決して長いものではなく、やるべき作業はたくさんある。そのため、私は、私が進めようとする方向性を明確にし、加盟国に貢献できるよう全力をつくしたい。また、許されれば、組織を改善するためのいくつかの提案も行いたいと考えている。ムーア前事務局長は、我々がやるべき仕事を軽減してくれており、私は、これを基礎に今後の作業を続けていきたいと考えている。
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なお、以下の発言部分に続いて行われた質疑応答での話題は、交渉期限の遵守可能性、ハービンソン官房長による農業委員会特別会合議長兼務、WTOの組織改革、事務局長による紛争調停・仲裁、WSSD、反グローバリゼーション運動、NGOとの関係、WTOでの中国と台湾の関係、民間企業との関係、ロシア加盟、WTOの意思決定方法(コンセンサス方式)、能力開発(キャパシティ・ビルディング)、開発途上国に対する配慮、WTOにおけるオブザーバー参加問題、紛争解決手段としての制裁賦課等に及んだ。