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平成14年10月4日
(要約) 2002年10月4日 本ペーパーは、WTO新ラウンド交渉における日本の基本的戦略と、そのための交渉の進め方についての問題意識を明らかにしたもの。 1.新ラウンドとは何か 世界貿易の伸びが世界経済拡大の牽引力。ラウンド(様々な交渉項目間の取引を可能とする集中交渉)形式により、世界貿易の拡大を目指す。 2.なぜ新ラウンドが立ち上がったのか 同時多発テロの発生に象徴されるグローバル化の負の側面(先進国と途上国の格差拡大等)に対処し、世界経済の安定的発展のためのWTO制度の強化と、途上国を世界貿易体制に取り込んでいくことの緊急性が認識。 ⇒「ドーハ開発課題」と名付けられた。 3.今次ラウンドで何を目指すべきか
4.具体的な戦略内容
5.今後の主要日程 10月のロス・カボスAPEC閣僚会合。11月14-15日のシドニーWTOミニ閣僚会合。その後もミニ閣僚会合を数回開催。2003年9月10-14日のカンクンWTO第5回閣僚会議(MC5)での中間レビューはラウンド交渉の成否を左右。 6.個別の論点・概観 (以下本文) このペーパーは、2002年はじめから開始されたWTO新ラウンド交渉(2005年1月1日までに終了予定)における、日本の基本的戦略と、そのための交渉の進め方についての問題意識を明らかにしたものである。 1.新ラウンドとは何か 過去50年あまり、世界貿易は、世界全体のGDPの合計を上回る速度で拡大することで(WTOの統計によると、世界貿易の額は1948年の3040億ドルから2000年の6兆6270億ドルへ年平均6.1%の伸びがあったのに対し、世界全体のGDPは1948年の3兆9350億ドルから2000年の28兆1150億ドルへ年平均3.9%の伸び)、世界経済の拡大の牽引力となってきた。WTOの前身で1947年に発足したガットは、世界貿易の自由化とルールを策定することにより、その拡大に貢献してきた。そのガットにおいて、貿易の拡大を目指した累次交渉は、「ラウンド」と呼ばれる集中的な交渉形式で行われてきた。その主な理由は、様々な交渉項目の間の取引を可能にする「ラウンド」形式によってはじめて、利害の異なる国々の立場の調整が可能となるからである。WTOとなった現在においても、この基本的状況は変わっていない。 2.なぜ新ラウンドが立ち上がったのか グローバル化が急速に進む今日の世界経済においては、1994年に妥結した前回のウルグァイ・ラウンドの結果を反映して成立した現在のWTO体制を、今日的状況に適応させ、変革していくことが不可欠である。このように、多角的貿易体制の機能を維持、強化していくことは、これまでガット・WTO体制の下で自由貿易による恩恵を享受し経済発展を遂げてきた日本にとり、重要な外交課題である。 2001年11月、ドーハで各国が立場の違いを越えて、新ラウンドの立ち上げに合意した背景には、同年9月の同時テロ発生がある。同時テロに象徴されたグローバル化の負の側面が世界経済の安定的発展を阻害しかねない、という危機感を各国閣僚が共有した。そして、新たなラウンドを立ち上げ、世界貿易の安定した且つ秩序ある発展のためにWTOの強化を目指す必要性が強く認識された。この負の側面は、途上国が世界貿易においてその比重を増しながらも(WTOの統計によると、世界貿易の中で途上国貿易が占める割合は、輸出で1991年の25.68%から2001年の32.3%へ、輸入で1991年の24.5%から2001年の28.73%へ)、貿易を含めた世界経済の制度の中で不利に扱われて、その繁栄の外に置かれてきたとの不満を感じているという問題でもある。各国閣僚は、そのような多くの途上国を多角的貿易体制の中に取り込み、持続的発展を図っていくことが、長期的には同時テロのような行動の芽を摘むことに貢献すると考えた。このような経緯から、今回の新ラウンドは「ドーハ開発課題(Doha Development Agenda)」と名付けられた。 3.今次ラウンドで何を目指すべきか 日本は貿易、投資にその経済の多くを依存する国であり、マルチの体制強化は死活的に重要であり、ラウンドの成功は切実な問題である。
4.具体的な戦略内容 具体的戦略を考えるに当たり、まず以下の二点を基礎とする必要がある。 もっぱら鉱工業品の関税引き下げを対象としたケネディ・ラウンドを別として、交渉が多様な分野に亘りはじめ複雑化した東京ラウンド、ウルグァイ・ラウンドはそれぞれ妥結まで6年、8年かかっている。今回のドーハでの合意では交渉期間は2005年1月1日までと、わずか3年である。3年で交渉をまとめることは容易な作業ではないが、世界経済の変化の速度が増した今日、過去のラウンドのように長期間を交渉に費やすことはできない。交渉を予定通り妥結させるためには、交渉期限のほぼ一年前の2003年9月に開催される次回WTO閣僚会議(第五回。メキシコ、カンクン)の結果は重要な意味を持つ。当面の課題は、上記3.の日本の目指すところを達成するため、この第五回閣僚会議に向けて、どのように交渉を進めるかである。 もう一つの重要な要素は、今次ラウンドの最大の焦点の一つが農業にあるということである。その理由は、農業がこれまでその特殊性故に他の産業分野とは違う貿易ルールの下に置かれてきたことを見直すべきであると主張する国が多数あることであり、また、農産物の輸出拡大を自国の経済発展の重要な手段と位置付け、そのための先進国の市場拡大と補助金撤廃を要求する数多くの途上国が存在することである。これらの国々は、農業交渉の成否がラウンド全体の成否を左右すると主張している。さらに、農業交渉の趨勢は自由化であり、ジュネーブでその流れに反するような提案をすることには非常に抵抗が強いことにも留意する必要がある。日本にとっては、ラウンドの成功に向けて努力すると同時に、世界最大の食料純輸入国として、最低限の食料自給率を維持し、また農業そのものの存続を確保していく必要のある大きな課題である。
5.今後の主要日程
6.個別の論点・概観
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目次 |
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