WTO・アンチダンピング(AD)交渉
(ADフレンズによるコンセプト・ペーパーの提出)
平成14年12月5日
11月25日に行われたWTOルール交渉会合において、ADフレンズ(日本の他、ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、香港、イスラエル、韓国、ノルウェー、台湾、シンガポール、スイス、トルコ、タイ、メキシコの15か国・地域)は、これまでの問題提起ペーパー(AD協定関連23項目に今回提出されたペーパー記載の8項目を加えた合計31項目)の基礎となる考えをまとめて提示する目的でコンセプトペーパーを提出し説明を行ったところ、右ペーパーの概要以下のとおり。
なお、10月の同ルール交渉会合では、米国よりコンセプトペーパーの提出があった。右ペーパーの中で米国は、ドーハの決定に従い、ルール交渉は、貿易救済関係法令の強さと効果が維持されるように交渉されるべきであること、また、貿易歪曲的な慣行に効果的に対応する必要があること等を主張した。本件ペーパーは、米国の主張に反論する目的も有している。
- ウルグアイ・ラウンド交渉の成果にも拘わらず、多くのAD措置は、ダンピングを相殺する以上に国内産業への過剰な保護を提供してきた。AD措置が濫用されれば、これまでの貿易自由化の努力が無効化されることを懸念。このような濫用を招いているのは、AD協定に曖昧な点があることが主たる原因であるので、AD措置に対する規律をより明確化し改善することが必要であり、これが本件交渉の中心的目的である。このような目的はドーハ閣僚宣言から当然に導かれるものである。
- この中心的な目的を達成するためにより具体的な3つの目的があることを指摘している。第一の目的は、発動当局がAD措置を濫用しないようにルールを明確化することである。
- 第二の目的は、AD措置のための調査が、通常のビジネス活動を制限し、被提訴者にとって過度に負担となることがないようにすることである。調査に必要な事項とビジネスの現実とのバランスをとることが重要である。
- 第三の目的としては、AD調査に係るシステムの透明性、予測可能性、公平性を高めることである。
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