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持続可能な開発に関するOECDの活動

平成14年7月10日

 OECDは、持続可能な開発について、2002年8~9月の持続可能な開発世界首脳会議(WSSD)への貢献とすることを念頭に、主に以下の作業を進めています。

I.WSSDへの報告書の作成

 1. 持続可能な開発に向けた取組と課題を取りまとめたOECDの報告文書が5~6月のWSSD第4回準備会合(於:バリ)において、公表されました("Working Together Towards Sustainable Development / The OECD Experience")。

 2. 報告書の概要

(1) 地球環境サミット(1992年)以降のOECD加盟国による取組と課題
地球環境サミット以降、多くのOECD加盟国では、環境への負荷を軽減しつつ安定的な経済成長・社会環境の改善を達成。但し、残された課題は多い。

(2)
(イ) OECD加盟国が抱える問題
 気候変動、天然資源管理、大都市における大気汚染、農業等による水質・土壌汚染、廃棄物管理等の問題や失業、教育へのアクセス、高齢化社会における年金制度等持続可能な開発の社会的側面の問題に一層取り組む必要がある。

(ロ) 問題解決を阻む障害
 費用対効果の良い解決策があるにもかかわらず、その政策を実施することを阻む障害がある。障害を克服するためには以下が必要。
持続可能な開発に向けた政府の意思決定プロセスの統合
市場ベースの手法(環境税・排出権取引等)の一層の活用
科学技術の活用
貿易、投資、環境、社会政策の統合
政治改革により社会に摩擦が生じないよう改革のペース等への配慮
 持続可能な開発に向けた政策の一貫性を高め、政策の透明性を向上させるためには、指標を用いる等により各国の取組をモニタリングすることが重要。


(3) パートナーシップの重要性
 持続可能な開発の実現のためには、非加盟国及び利害関係省(ステークホルダー)との協力、パートナーシップが重要。OECD加盟国が行うべき具体的な取組として、市場アクセスの改善(途上国の潜在的利益は年間430億ドル)、ODAの効率性向上、開発途上国への技術協力、開発途上国におけるキャパシティー・ビルディング及び透明性・予測可能性の高い政治的フレームワークの構築等も必要。

(4) OECDによる貢献
 OECDは、持続可能な開発の進捗を測る指標の開発、市場ベースの手法の開発や環境に有害な補助金の除去を阻む障害の克服、持続可能な開発の社会的側面の研究、経済・社会・環境の3側面の政策一貫性の向上へ取り組み、これらの知見を活かして世界各国及び地球規模での持続可能な開発の実現に貢献していく。


II.デカップリング指標の開発

 1. (1) ここでいうデカップリング(decoupling)とは、環境圧力をかけない形で経済成長が行われていること(換言すれば、経済が成長しても環境が悪化しないこと)です。より厳格には、一定期間において(環境圧力(environmental pressure)増加率)<(経済推進力(drving force)伸び率)が成り立つとき(注)、デカップリングが実現されていると定義されます。ここではデカップリングが絶対的(経済推進力が伸びているにもかかわらず環境圧力が減少している)か否かまでは問われていません。

(注)例えば、(90~99年の温室効果ガス排出量の増加率)<(同期間のGDP成長率)が成り立つとき

(2) また、デカップリング指標は、環境圧力と経済推進力の変化率を比較するものであり、両者の絶対的なレベルを考慮するものではないことから、デカップリング指標のみに焦点を当てて各国の比較をすることは適切ではない(注)ことを念頭に置く必要があります。

(注)例えば、国の規模が同じだとして、もともとの温室効果ガス排出量の多いA国の方がそれが少ないB国よりも容易に排出量の増加率を落とすことができ、デカップリング指標の成績が良くなり得ますが、環境に与える圧力の絶対値はA国の方が大きいのです。


 2. (1) 2002年4月、デカップリング指標に関する報告書が完成し、5月、事務総長の責任において公表されました。

(2) デカップリング指標の概要

 以下(イ)~(ヌ)の分野での指標が掲載されています。

(イ) 気候変動 温室効果ガス排出量増加率/GDP成長率
温室効果ガス排出量増加率/人口増加率
二酸化炭素排出量増加率/GDP成長率
二酸化炭素排出量増加率/人口増加率
(ロ) 大気汚染 窒素酸化物排出量増加率/GDP成長率
硫黄酸化物排出量増加率/GDP成長率
(ハ) 水質 下水道にアクセスのない人口増加率/人口増加率
家庭排水による栄養物排出量増加率/人口増加率
(ニ) 廃棄物管理 リサイクルされないビン類量増加率/最終個人消費成長率
(ホ) 物質利用 Direct Materials Input伸び率/GDP成長率
(ヘ) 天然資源 (水資源)水の蒸留量増加率/GDP成長率
(森林資源)リサイクルされない紙類増加率/GDP成長率
(漁業資源)漁獲生産高増加率/食品消費成長率
(ト) エネルギー エネルギー生産及び使用によって生じる二酸化炭素・硫黄酸化物・窒素酸化物排出量伸び率/GDP成長率
(チ) 交通 車両からの二酸化炭素・窒素酸化物・揮発性有機化合物排出量増加率/GDP成長率
(リ) 農業 土壌表面の余剰窒素増加率/農業生産成長率
(ヌ) 製造業 窒素酸化物排出量増加率/製造業における付加価値増加率


III.持続可能な開発に関するピア・レビュー用の指標及びこれに基づく国別審査

 1. OECDでは、持続可能な開発の実現に向けた各国の取組の進捗状況を3つの分野(経済成長、社会開発、環境保全)について計測するための指標を開発中です。
 下記の7つの政策目標を特定し、各目標達成に向けた進捗を測る指標の検討を進めています。また、今後、社会分野の指標開発及び政策指標の開発に力を入れていくべきこととされています。

(1) 温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)排出量削減
(2) 大気汚染物質の削減
(3) 水質汚濁の改善
(4) 天然資源の持続可能な使用
(5) 廃棄物管理
(6) 開発途上国の生活水準向上
(7) 持続可能な退職後所得政策


 2. 2002年9月より、OECD経済開発検討委員会(EDRC)で行なわれてきた国別審査(ピア・レビュー)において、これらの指標を用い始める予定です。


目次


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