15.少数者集団に属する児童及び非嫡出子に対する差別を防止し、またこれと闘うため最近何らかの手段が取られたか否かにつき示されたい。
(回答)我が国では、1997年7月、「人権教育のための国連10年」国内行動計画を公表した。同計画では、人権という普遍的文化を構築することを目的に、あらゆる場を通じて訓練・研修、広報、情報提供努力を積極的に行うことを目標とし、人権教育が人権思想の普及高揚の観点から非常に重要であるとの認識に立った人権啓発活動をより一層積極的に推進していくこととしている。特に、同計画では、アイヌの人々の人権の尊重や偏見・差別の除去を重要課題の中に含め、人権教育の推進に取り組んでいくこととしている。
人権啓発活動の中心的存在である法務省の人権擁護機関では、児童を含めたアイヌの人々、在日韓国・朝鮮人及び非嫡出子に対する偏見・差別をなくすため、日常的な啓発活動のほか、人権週間(毎年12月10日の「人権デー」を最終日とする1週間を「人権週間」と名付け、大規模な啓発活動を行っている)、人権擁護委員の日(6月1日)などに街頭啓発、講演会などを通じて全国的な啓発活動を実施している。 特に、アイヌの人々の多くが住む北海道内の法務局・地方法務局において「アイヌの人々に対する差別をなくそう」を重点目標に定めて講演会を開催するなどの啓発活動を行っている。
なお、政府は、1997年5月に「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」を制定した。同法の下で、その目的をを達成するための各種施策が推進されることになっており、これらを通じてアイヌの人々に対する理解が一層促進されることが期待される。