H.養子縁組(第21条)
(a)養子縁組の際、児童の利益について最大限の考慮が払われていることの確保
192.パラグラフ109.参照。
普通養子縁組については、協議による離縁(民法第811条)、裁判による離縁(同法第814条)及び親権喪失の宣告(同法第834条)により、特別養子縁組については、親権喪失の宣告(民法第834条)及び審判による離縁(同法第817条の10)により、それぞれ事後救済が可能となっているが、特別養子縁組の審判による離縁は、養親による虐待その他養子の利益を著しく害する事由があり、かつ、実父母が相当の監護をすることができる場合で、養子の利益のために特に必要があると認めるときのみ認められることとされている。
193.児童相談所長は、養子縁組希望者に児童を少なくとも6ヶ月間以上里親として養育することを勧めている。
(b)国際養子縁組
(出身国での監護等ができない場合の代替手段として国際養子縁組)
194.我が国においては、日本人が外国人を養子とすること及び外国人が日本人を養子とすることのいずれについても認められている。
(1)日本人が外国人を養子とする場合
養子縁組の実質的成立要件については、我が国の法律(民法)が準拠法となり、外国人養子の本国法が養子を保護するための要件(養子若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公の機関の許可その他の処分)を定めているときは、その要件も満たす必要がある(法例第20条第1項)。
したがって、普通養子縁組の場合には、家庭裁判所が、縁組の許可をするに当たり、養子となるべき外国人の未成年者の出身国における監護状況等を考慮することによって、子の福祉を図ることとなる。特別養子縁組の場合には、実父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であること等の事情があって、子の利益のために特に必要があると認められることが審判の要件となることから、出身国での監護等の状況が考慮されることとなる。
以上により、国際養子縁組において外国人が養子となる場合には、国内における養子縁組と同等又はそれ以上の保護が図られているといえる。
(2)外国人が日本人を養子とする場合
養子縁組の実質的成立要件については、外国人の養親の本国法が準拠法になるが、我が国の民法の規定する養子保護のための要件をも満たす必要がある(法例第20条第1項)。したがって、普通養子縁組及び特別養子縁組のいずれについても、(1) と同様に、養子となるべき者の我が国における監護等の状況が考慮され、国内における養子縁組と同等の保護が図られることとなる。
(不当な金銭の上の利得)
195.国際養子縁組の場合において、児童の権利が十分に保護されることを確保するための措置については、児童福祉法(第34条)により営利目的で養子縁組を斡旋する行為を禁止しており、これに違反して行っている団体があった場合には、法に則って対処されることになっている。
(他国へ養子縁組が権限のある当局又は組織により行われることを確保するためにとられた措置)
(資料)国際養子縁組に関係した児童に関する統計
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年度 |
新受合計 |
養子縁組 |
特別養子縁組 |
全家裁総数 |
1996年 |
412 |
382 |
30 |
1997年 |
426 |
403 |
23 |
1998年 |
479 |
450 |
29 |
1999年 |
472 |
446 |
26 |
2000年 |
534 |
500 |
34 |
*国際養子縁組とは、申立人、相手方、事件本人、参加人などの全部又は一部が外国人 である養子縁組事件をいう。
*数値は、各年の1月から12月までの新受件数であり、申立ての趣旨に応じて、養子 縁組と特別養子縁組とに区分して計上している。
*2001年以降の数値については把握していない。
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