外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 外交政策 経済
経済


世界食糧サミット5年後会合
(概要と評価)


2002年6月14日


1.概要

(1) 日 時: 6月10日~13日

(2) 場 所: 国連食糧農業機関(FAO)本部(イタリア、ローマ)

(3) 出席者: 世界181カ国以上の首脳・閣僚(イタリア・ベルルスコーニ首相が司会。スペイン・アルスナール首相、インドネシア・メガワティ大統領、多数のアフリカ諸国の首脳。アナン国連事務総長。欧州委員会プロディ委員長、米、加等から農業大臣)が出席。
 日本政府から武部勤農林水産大臣、水野賢一外務大臣政務官が、また代表団顧問として谷津義男衆議院議員(前農林水産大臣)が参加した。

(4) 今次会合の目的:1996年に開催された世界食糧サミットで採択された「世界食糧安全保障に関するローマ宣言」(全世界で8億人にのぼる栄養不足人口を2015年までに半減させるとの目標)に関して、世界の首脳が再度会合し、実施状況を振り返り、今後の確実な取り組みに向けた政治的意思を再確認すること。
:栄養不足人口は、過去数年で、東アジアでは減少しているが、アフリカ、南アジアではむしろ増えている面もあり、世界的な減少率は低い。このままで推移すれば、2015年迄に半減するとの目標の達成は困難と見られている。)

(5) 政治的合意文書の採択

 初日に、「飢餓撲滅のための国際的連帯(「International Alliance against Hunger」)」と題する政治文書を採択した。

(6) 各国の発言

 本会合とラウンドテーブル(「サミット行動計画ー達成結果、実行上の障害、克服手段」)が開催され、前者には13日武部農水大臣が、後者には11日水野政務官が出席して発言した。
 各国からの発言は以下の通り。

(イ) 途上国からの主張
先進国からのODAを増やすべき。
先進国が市場開放することで、途上国の農産品輸出を受け入れて欲しい。
先進国の農業補助金は、途上国の農産品生産・輸出の障害であり、撤廃すべき。
:農業補助金に対する批判に対しては、米、EUとして、対応が求められている事が改めて明らかになった。)
知的財産権保護により、途上国が最新の技術を利用できないことは避けるべき。
債務削減をして欲しい(インドネシア、アフリカ諸国)。


(ロ) 先進国側からの主張

(a)欧州委員会プロディ委員長
EUのODA増額計画を改めて説明(今後、GDP比0.39%に増やす)。
LDCからの輸入への無税・無枠供与(Everything but arms)政策を改めて説明。
米の最近の農業法への強い懸念を表明。
途上国での良い統治(good governance)、法の支配の重要性を指摘。


(b)米ヴェネマン農務長官
米のODA増額計画を改めて説明(今後3年間で50%増。2006年に50億ドル増)。
バイオテクノロジーの有用性を主張(注:米はバイオテクノロジーの有用性に関する会議を同時期にローマ市内で開催した。)
途上国での良い統治(good governance)、法の支配の重要性を指摘。


(c)カナダ
LDCからの輸入への無税無枠実施に向けたカナダの努力を説明。
米の最近の農業法への強い懸念を表明。


(7) その他

 本会合と並行して、列国議会同盟(IPU)及びイタリア議会の共催による議会人会合が開催され、谷津義男衆議院議員が参加した。
 また谷津議員と水野政務官は、デュフFAO事務局長から少人数朝食会に招かれ(6月12日)、日本とFAOとの協力強化等について意見交換した。
 更に、NGOフォーラム、利害関係者(ステークホールダー)会合等、数多くの並行行事が開催され、様々な出席者により食糧安全保障の達成に向けた議論が行われた。


2.評価

(1) アフリカ諸国などから数十名の首脳が、また先進国からも多数の農業大臣、援助関係者等が参加し、栄養不足人口削減に向けての各国の政治的意志を改めて確認したことは、当初の目的に沿った会合を開催できたと評価できる。  今後とも引き続き、アフリカ地域(特にサブ・サハラ以南)等における飢餓や食糧不足に対する対策を講じ、2015年目標(栄養不足人口の半減)の達成に向けての努力を強化する必要がある。(4年後の2006年には、1996年から10年後のレビューを実施予定。)

(2) 日本からも、途上国の自助努力を奨励しつつ、ODAの有効活用、ネリカ米(アフリカに適したコメ)開発での協力、アフリカ支援(TICADプロセス)、途上国からの輸入促進策等を説明し、評価を得た。日本としても、今後とも、有効な協力策を講じていくことが必要がある。

(3) 政治宣言の交渉(6月9日迄に事務レベルで実施)では、農産物貿易、飢餓撲滅、開発のための資金源、食糧の権利等を巡り、様々な主張が交錯し、取りまとめが難航した。最終的には、我が国の主張が概ね反映され、穏当な表現となり、我が国としても評価できる内容となった。同宣言には、「食糧の権利」に関する任意ガイドラインの策定が含まれたが、同「権利」に対する各国の考え方には隔たりがあるので、今後FAOにおいて、ガイドライン策定のために、同隔たりを埋める作業が行っていく必要がある。

(4) FAOは、途上国の食糧事情改善のため、政治的意思の動員、調査分析活動、プロジェクト形成等の具体的活動を行ってきている。今回の政治的レベルでの会合が、更にFAO活動に刺激を与え、今後ともFAOが有益な活動を実施していくことが期待される。


・ 政府代表演説(和文英文


目次


外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省