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第18回IEA閣僚理事会コミュニケ(仮訳)

平成13年5月16日採択

1. 我々閣僚はエネルギー安全保障及び持続可能な未来におけるエネルギーの位置づけについて議論するために参集した。エネルギー市場の発展とIEAの2020年に向けた世界エネルギー展望は我々が討議する上での背景を提供した。

 2000年版IEA世界エネルギー展望(WEO)のレファレンス・シナリオは、挑戦的な展望を描いている。それらは、

  • 過去の傾向を継続することは、2020年までに世界のエネルギー需要が60%増加し、そのうちの大半が途上国における増加であることを意味しうる。
  • 石油、石炭、天然ガス、原子力発電は、エネルギー構成を支配し続け、石油と天然ガスの供給源は数ヶ国に集中し続ける。
  • 世界人口の大部分は、基本的なエネルギー・サービスの利用を引き続き享受することが出来ない。
  • 温室効果ガス排出を抑制するための我々の共同の努力は、京都において設定された目標に達しないであろう。
 世界エネルギー展望は、電力分野におけるエネルギー源の多様化、排出権取引、運輸システムの改革を通じて、改善への幾つかの道筋を提示している。個別的及び共同の行動を通じて、結果は著しく改善しうる。

2. 我々の会合は、石油価格がより高く不安定で、世界的な石油需要が増加し続け、いくつかの形態のエネルギー供給問題が地域的に発生し、長期的な供給の安全保障への懸念が発生し、そしてエネルギー使用による環境への影響に対する関心が高まる中開催された。過去2年の経験は、入手可能なエネルギーの安定供給は過ぎ去った結論ではないということを強調している。

3. 我々は、エネルギーが人類の発展と繁栄にとって重要な要素であり続けることを強調する。経済発展は安定的で入手可能なエネルギーの利用を必要とする。地球上の何十億もの貧困な人々にとって、入手可能なエネルギーの利用は貧困からの脱却を加速するであろう。しかし、成長を確保する一方で、我々はエネルギーを使用することにより、地球社会のいかなる領域あるいは自然環境に対しても受け入れることの出来ない重荷を課すことは出来ない。

4. 我々は、昨年11月にリヤドで開催された第7回国際エネルギーフォーラムで明らかにされたような、生産国と消費国の間の建設的且つ発展した対話を歓迎し、この対話が2002年に日本で開催される次回フォーラムにおいて、更に促進されることを期待している。我々はまた、IEA、主要非加盟国、他の国際機関を結びつける最近のイニシアティブ並びに、特に中国、インド、ロシアとのエネルギー対話の発展を歓迎する。

5. 我々は、その他の前向きな発展を歓迎する。多くの国が市場・規制改革へのコミットメントを通じて、エネルギー関連政策や活動に関し、著しい発展を遂げている。この発展は、エネルギー使用における費用削減や更なる効率化に貢献しており、また、革新的なエネルギー問題解決のための新たな機会を創設することに役立っている。

6. 我々すべての国において、技術的開発は一層のエネルギー効率、よりクリーンな燃料技術のより広範囲の商業的応用、再生可能エネルギー、熱電併給システムへの展望を改善している。我々は、事務局によるこれらの改善を世界的に加速させるための努力を奨励する。

7. 以上の検討と状況に照らし、我々は、IEAの共通目標の指導的原則、つまり、エネルギー安全保障、環境保全、経済成長の重要性を確認する。これらの原則は、持続可能な開発にとって引き続き重要である。もしこれらの目標を達成させるためには、新しく且つ柔軟な対応が要求される。その一つとして、我々はまた、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の枠組みにおいて温室効果ガス排出における長期的傾向を修正するための行動をとる必要がある。

8. 我々は、我々自身の国内及びIEAの枠組み内において、一次エネルギーのすべての領域にわたるエネルギー安全保障を強化すること、エネルギー市場・規制改革を継続すること、エネルギー・サービスの利用を拡大すること、エネルギー効率を改善すること、エネルギー技術の開発と移転を支援すること、そして持続的なエネルギーの将来を促進することを約束する。我々は、幾つかの加盟国やヨーロッパ連合において、国内エネルギー供給の拡大や適切な形でのエネルギー需要の抑制のための努力を含め、エネルギー問題を改めて重視していることを歓迎する。

9. 我々は、世界経済の成長にとって、より不安定でない石油価格の必要性を認識する。我々は、ガス需要の急速な拡大が、しばしば多数の国境を越える遠隔地からの供給によって満たされていることに留意する。我々は、エネルギー市場の枠組みが政府の政策によって形成されていく一方で、通常の状況下において、市場は自由に運営することが可能となった場合に最もよく機能するとの見解を有する。

10. 世界石油市場が継続的に不安定であるが故に、IEA加盟国は、供給問題が生じた場合には即座に対応する用意がある。しかしながら、我々は、世界における石油の安全保障のニーズとの関係でその保証の水準が低下しているということを懸念を持って留意する。需要バランスがOECD加盟国から(非加盟国へ)移行する中で、すべての国々が供給途絶に効果的に対応するための適切なメカニズムを開発すべきである。我々は、十分な備蓄を積み上げ維持することの重要性を再確認する。

11. 我々は、世界のエネルギー市場、特に石油市場における透明性向上のための早急な行動を呼びかける。我々は、国家や国際機関によって提供されるデータの質、利用可能性、信頼性を改善するための事務局のイニシアティブを支持し、リヤド・フォーラムにおいて表明されたこの目的への支持を歓迎する。

12. 我々は、エネルギーの種類や供給源の双方の面で、我々のエネルギー・システムの継続的な多様化を支持する。国家の置かれた状況やその政策が、我々の集団的エネルギー安全保障、経済成長、及び持続可能な開発を達成する課題への取り組みに貢献するために必要な燃料ミックスを決定する。

13. 我々は、各国が、石油、天然ガス、石炭、原子力、あるいは再生可能エネルギーの、それぞれが最も適切と考える燃料ミックスを決定することを認識する。我々は、再生可能エネルギーがより一層の役割を演じることを意図し、欧州連合によるあらゆる形態のエネルギーの多様化及び効率化に向けて新しいはずみを与えるために一致した努力の下協力するという欧州連合の勧誘を受け入れる。

14. 我々の最も喫緊の地球環境上の課題が気候変動である一方で、燃料生産及び使用と関連する局所的及び地域的問題も重要である。排出権取引、共同実施、クリーン開発メカニズムといった新しい政策手段並びに新しい技術開発は、よりクリーンな環境を推進することが可能であると同時に、エネルギー効率を高めエネルギー安全保障を強化する。我々は、持続可能な開発に関するIEAの声明において表明されているように、持続可能な開発を達成するための最も効率的で可能性のある方法を開発し使用することを約束する。

15. 我々は、エネルギー安全保障、環境保全、経済成長を達成するためには、エネルギー研究・開発及び実演(RD&D)が重要であることを認識する。我々は、長期的RD&Dを支援し、産業界の参加を奨励するための政府の役割の必要性を認める。IEAは、先進技術の利用可能性を促進し、その費用を削減するための協力に向けた、独特なフォーラムや機構を提供する。

16. 我々は、世界的な規制改革の前進を、長期的利益をもたらすものとして温かく歓迎する。しかしながら、我々は、市場改革が十分な利益を享受するまでには困難な移行期を伴いうることを認識する。

17. エネルギーとの関係での効果的な行動は、多くの分野と、多くの閣僚の責任を伴う。我々は、我々の共通の目標を前進させるため、継続的に努力しつつ、同僚閣僚と緊密に協力していく。


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