世界の医療事情

カンボジア(シェムリアップ)

平成30年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 カンボジア王国(シェムリアップ市)(国際電話国番号855)

2 公館の住所・電話番号

在シェムリアップ日本国領事事務所(毎週土日休館)
住所:Sokha Palace Siem Reap Hotel, Road 60, Phum Trang, Sangkat Slorkram, Siem Reap, Cambodia
電話番号:063-963801~3,ファックス:063-963804
ホームページ:https://www.kh.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000091.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内しています。

3 医務官駐在公館ではありません

 在カンボジア日本国大使館 医務官が担当

4 衛生・医療事情一般

  • 一般的な衛生事情は,日本と比較して劣悪です。
  • 医療事情:軽症から中等症については,特定の私立病院で日本と同程度の診療が可能です。重症の場合は,疾病によってはバンコクに移送となります。また,私立の医療機関では必ず支払保証の確認が行われますので,十分な補償額の海外旅行傷害保険にあらかじめ加入しておく必要があります。シェムリアップ市およびプノンペン以外の地域では,外国人向けの医療機関はありません。一般病院の医師は英語を解する場合が多いですが,他の職種では通常困難です。
  • 気候は大きく雨季(6月~11月)と乾季(12月~5月)にわかれ,気温は年間を通じて高い熱帯性気候です。雨季は1日に数時間雨が激しく降り,町のあちこちに水たまりができ,道路が冠水することもあります。乾季の12月から3月中旬は湿度が低く比較的過ごしやすくなりますが,3月後半から5月にかけては気温が高く非常に暑さが厳しくなります。

 

5 かかり易い病気・怪我

(1)急性胃腸炎

 細菌・ウイルスによるものが多く,腹痛・下痢(時により発熱や嘔吐)といった症状が起こります。原因となる細菌・ウイルスによっても,飲食後発症する時間や症状が異なります。脱水にならないように,飲料水・お茶・ココナッツジュース・スポーツドリンクなどで水分補給をすることが重要です。数日で快復することが多いですが,血便や発熱がある場合や,小児や体力のない人の場合は検査・治療が望ましいので,医療機関を受診してください。

(2)デング熱

 蚊(ネッタイシマカ;日中に活動する)に刺されることで感染します。市街地で多く発生しており,蚊が発生しやすい雨季には患者が増加します。日本人も毎年のようにかかっています。5~6年ごとに大きな流行がみられ,カンボジアは2018年が直近の流行年と思われます。通常,蚊に刺されて5日前後で高熱・頭痛(眼の奥が痛むことがある)・関節痛・筋肉痛・食欲の減退といった症状が突発します。特効薬・ワクチンがないため,網戸・長袖長ズボン・虫除けスプレー・蚊取り線香などを使い,蚊にさされないように予防することが最も重要です。治療法は安静と解熱といった対症療法です。時に重症のデング出血熱に移行し死亡することもあります。血液検査で診断できますので,急な高熱を来したときは医療機関を受診してください。

(3)寄生虫症

 アメーバ赤痢・ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)等が存在します。これら寄生虫が混入している飲食物を摂取することで感染します。発熱することは少なく,血便・下痢・腹痛・腹部の不快感が主な症状ですが,下痢・軟便だけが続く場合もあります。これらの症状が続く場合は便の検査で寄生虫の有無・種類を確認し,駆虫薬の内服が必要です。水・氷や生野菜には十分注意してください。

(4)マラリア

 蚊(ハマダラカ;夜間に活動する)に刺されることで感染します。主として森林地帯や国境周辺部で発生しており,プノンペンやシェムリアップ市内で感染することはほとんどありません。多発する地域に滞在しない限り,予防薬の服用は不要です。潜伏期間(感染しているが症状がまだ出ていない期間)が約1~2週間あり(ほとんどが1ヶ月以内に症状が出ます),突然の高熱を来します。血液検査で診断することができ,特効薬が存在します。治療せず放置しておくと命の危険性がありますので,流行地に滞在後高熱が出た時には必ず医療機関を受診してください。

(5)狂犬病

 カンボジアでは毎年800人が狂犬病で死亡していると推定され,狂犬病が多発している国といわれています。犬の頭数も周辺国に比べて多く,特に地方では犬がうろついているのをよく見かけます。犬にかまれる確率は低くても,いったん発症すると100%死亡する病気ですので,長期滞在される方は予防接種(暴露前接種)を受けておくとよいでしょう。当地では日本に比べ安価に接種可能です。また暴露前接種の有無にかかわらず,もし犬(その他哺乳動物全般)にかまれた場合は,その日のうちになるべく早く発病予防の予防接種(暴露後接種)を受ける必要があります。暴露前接種を受けていない場合は,同時に高価な血清も打たなければならないことがあります。プノンペン・シェムリアップ・バッタンバンには,ワクチンを常時在庫している医療機関があります。

(6)その他の感染症

ジカウイルス感染症(ジカ熱)

 蚊(ネッタイシマカ;日中に活動する)が媒介する感染症です。症状は,発熱・発疹・関節痛・結膜炎などですが,多くの場合,無症状か軽症にとどまります。妊婦がジカウイルスに感染すると,胎児が小頭症になるリスクが高くなります(10人に1人)。世界保健機関 (WHO) によると,カンボジアも流行地とされており,妊婦は流行地を訪れるべきではありません。妊娠中に滞在する場合は,あらかじめ産科医と対策をよく相談してください。滞在後の妊娠は,流行地から離れたのち,女性は2ヶ月,男性は6ヶ月以上経ってからが望ましいです。

鳥インフルエンザ(H5N1)

 2005年から2014年にかけて,カンボジアでもH5N1鳥インフルエンザ患者が56人発生し,うち37人が死亡しました。近年,患者は発生していませんが,依然としてカンボジア国内の家禽類では鳥インフルエンザが散発的に発生しており,これが突然変異して人への感染が起こる可能性は十分ありえます。当地での感染予防として,生きた鳥が売られている市場や養鶏場での鳥との接触を避けてください。

6 健康上心がける事

(1)水・飲食について

 水道水(水源の多くは井戸水)を含め生水は飲まない,加熱した料理を食べる,といった基本的なことを守ってください。飲料水は,ペットボトル入りの水が容易に購入できますので,これを利用してください。外食する際は清潔そうな店を選び,必ず火の通ったものを食べるようにしてください。屋台もよく見かけますが,食材・食器・調理後の管理・調理人の衛生意識に問題があります。また氷は,工場で製氷されたもの(円筒形で穴が開いている)が多く使われており,これ自体は比較的安心して使用できますが,それを取り扱う店員の衛生状態までは保証できません。魚介類は寄生虫感染の危険もあり,生で食べるのは避けましょう。表通りでも生ゴミが積まれているのを見かけ,ネズミ・ゴキブリ等の害虫も数多く発生しています。すなわち,たとえ飲食物そのものは安全でも,それを扱う人や調理・提供する環境の改善が不十分なため,外食には多かれ少なかれ食中毒のリスクが伴うことを自覚しておいてください。

(2)熱中症

 気温が高く日差しも強いため,熱中症や脱水症になりやすいです。こまめに十分な水分補給に努めてください。また発汗とともに電解質も失われるため,あわせて塩分やスポーツドリンクなどもとったほうがよいでしょう。ココナッツジュースがよく売られているので,これを飲むこともよいでしょう。

(3)蚊に刺されない

 デング熱・マラリアなど多くの熱帯病は蚊に刺されることで感染します。長袖長ズボンの着用や虫除けスプレーを使用するなどの注意が必要です。

(4)無理のない行動計画を

 短期旅行の場合は,休憩時間を入れ,予定を詰めすぎないことが大切です。アンコールワットなどの遺跡を観光する際,敷地が広大で木陰も少ないので,熱中症・脱水症になる人が多く出ています。また足場が悪くて転倒する方も多くなっています。特に高齢者の方は無理をせず,日中はホテルで昼寝をしたり,こまめに休憩をとるなどして注意してください。

(5)必要な薬は持参

 日本製の薬は入手できません。慢性疾患や常用している薬のある人は,十分な量の薬を日本から持参してください。薬局で欧米ブランドの薬の購入は可能ですが,保管状態が悪い場合や偽薬もあるといわれており,信用のある店を利用してください。

(6)海外旅行傷害保険の加入

 設備の整った私立医療機関では,支払い能力のない人は診察してくれません。治療費は高額(外来診察:1回約100米ドル~,入院:1日約1,000米ドル~)ですので,十分な補償額の海外旅行傷害保険に加入しておくよう強くお勧めします。クレジットカード付帯の旅行保険では,疾病治療や緊急移送の費用まで十分カバーできていない場合がありますので,事前に確認が必要です。

(7)妊娠・出産について

 妊娠の経過が順調であっても,分娩時に緊急対応が必要な事態になることもあります。そのような場合には私立病院でも十分対応できない可能性があり,当地での出産は積極的にはお勧めしません。また,妊娠中はジカウイルス感染に注意してください(5.(6)参照)。なお,妊娠後期(臨月期)は旅客機搭乗に制限がありますので,里帰り出産を考えている場合はご利用予定の航空会社に前もって確認してください。

(8)帰国後の注意

 帰国後に発熱・下痢等の症状があり医療機関を受診する際は,必ずカンボジアへの渡航歴を伝えてください。デング熱・マラリア・寄生虫症などの病気は日本で見かけることがほとんどありませんので,渡航歴を伝えることで早期診断・治療につながります。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種~成人・小児~

 入国に際して必要とされる予防接種はありません。

推奨の度合い: ◎:強く,○:できれば,△:長期滞在者・医療過疎地旅行時

成人:

◎破傷風,◎A型肝炎,◎B型肝炎,○日本脳炎,○腸チフス,○MR(麻疹・風疹;30~40歳代で免疫の低下した人が多いため),△狂犬病

小児:

日本の定期接種

◎4種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ),◎MR(麻疹・風疹),◎日本脳炎,◎BCG,◎B型肝炎,◎肺炎球菌,◎Hib,◎水痘

日本の任意接種:

◎A型肝炎,◎おたふくかぜ,◎ロタウイルス,○腸チフス,○季節性インフルエンザ,△狂犬病

(2) 現地の小児定期予防接種一覧

初回 2回目 3回目
BCG 出生時
B型肝炎 出生時    
ポリオ(経口) 生後6週 生後10週 生後14週
ポリオ(不活化) 生後14週    
DPT-Hib-B型肝炎 生後6週 生後10週 生後14週
肺炎球菌 生後6週 生後10週 生後14週
麻疹・風疹 9か月 18ヶ月
日本脳炎 9ヶ月    

(注)DPT:ジフテリア・百日咳・破傷風,Hib:インフルエンザ菌b型

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 特に必要とされる予防接種はありません。

 インターナショナルスクールでは,親が記載する予防接種記録の提出が必要です。未実施のものがあった場合には接種を勧められます。

8 乳児検診

 日本で行われているような乳幼児検診のシステムはありませんが,産後検診が生後6週までに4回推奨されています。

9 病気になった場合(医療機関等)

シェムリアップ

(1)Royal Angkor International Hospital
所在地:National Route #6, Phum Kasekam, Khum Sra Ngea(国道6号線を空港へ向かう途中右手)
電話:063-761-888, 012-235-888(救急)
ウェブサイト:http://www.royalangkorhospital.com別ウィンドウで開く(英語)
http://rahcustomerrelatio.wixsite.com/royal-angkor/別ウィンドウで開く(日本語)
Email:rahcustomerrelation@bgh.co.th
概要:タイにあるバンコク病院系列の私立総合病院。24時間救急対応。総合内科・総合外科・整形外科・小児内科・耳鼻咽喉科・婦人科・産科・予防接種・健康診断。医師はタイ人とカンボジア人。日本人通訳1名が常勤。海外旅行保険(キャッシュレス)対応。
(2)Angkor-Japan Friendship International Hospital
所在地:St. Bun Rany Hun Sen, Phum Chanlong, Sangkat Srange(空港から国道6号線を越えて南下)
電話:076-6777-879(日本語),087-789-150(救急)
ウェブサイト: http://ajfih.org別ウィンドウで開く
Email: angkorjapanhospital@gmail.com
概要:日本の医療法人が設立運営支援する私立総合病院。24時間救急対応。内科・外科・救急科・産婦人科・小児科・歯科・健康診断。日本の医師免許を持つ中国人外科医および日本人歯科医が常勤。通訳による日本語対応が可能。海外旅行保険(キャッシュレス)対応。
(3)Un Sovanthan Clinic (ホテルドクターサービス)
所在地:#0486 Banteatchah Village, Slakram Commune
電話:017-713-690(日本語)
ウェブサイト: http://www.hotel-doctor-service.com別ウィンドウで開く
Email: info@hotel-doctor-service.com
概要:カンボジア人医師と日本人看護師が,ホテル等へ往診する日本人向けサービス。24時間救急対応。簡単な血液検査・投薬・点滴も可能。海外旅行保険(キャッシュレス)対応。

10 その他の詳細情報入手先

(1)在カンボジア日本国大使館 ホームページ: https://www.kh.emb-japan.go.jp/別ウィンドウで開く

(2)世界保健機関 (WHO): http://www.who.int/countries/khm/en/別ウィンドウで開く

11 現地語・一口メモ

注:以下の発音のカタカナ標記は便宜上のものであり,実際の発音とは異なることがあります。

  • 医師:ロッ・クルー・ペーッ(男性)、ネアッ・クルー・ペーッ(女性)
  • 薬:タァナム
  • 注射:チャッ・タァナム
  • 頭痛:チュー・クバール
  • 胸痛:チュー・トゥルン(ク)゙
  • 腹痛:チュー・プオッ
  • 下痢:リアッ
  • 発熱:クダウ・クルォン
  • 吐き気:ミエン・アロム・チョン・ク・ウオッ(ト)
  • 傷:ロブオッ
  • マラリア:クロン・チャン
  • デング熱:クロン・チ-ム
  • 具合が悪い。:オッ・スルオル・クルォン
  • ここが痛い。:チュー・ニィ(痛む場所を指で指す)
  • 病院へ連れて行ってください。:ソーム・チューン・クニョム・タウ・ムンティーペーッ
  • 日本大使館に連絡してください。:ソーム・テアットーン・サターントゥ・チャポン

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