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外務省員の声

北米総領事便り


人々の交流が日米関係を支える

在シアトル日本国総領事 野本佳夫

1999年7月

野本総領事  最近の米国ビジネス雑誌「フォーブス」誌で、シアトルは「全米でビジネス・キャリアーに最も適した都市」第1位に選ばれた。これまでも、各種ビジネス誌で色々のタイトルを獲得している。シアトル自体は米国北西部の端に位置する55万の中堅都市であるが、ボーイング、マイクロソフトの本社をその圏内にかかえていることもあり、ハイテクの一大拠点として全米の注目をあつめている。他方、シアトルの位置するワシントン州は、別名「エバーグリーン・ステート」と呼ばれることからもわかるとおり豊かな自然に恵まれ、林業、農業、水産業といった伝統産業の州でもある。太平洋に面し、天然の良港にめぐまれ、早くからアジア移民を受け入れ...といった理由で日本との関係が深い。

  • ワシントン州は貿易立州。全米で貿易依存度が最も高い。4人に1人が貿易関係の仕事に従事。
  • 日本はワシントン州最大の貿易相手国。同州の貿易総額1044億ドル。うち対日輸出入額281億ドル。日本からみるとワシントン州との貿易総額は、我が国第4位の貿易相手国ドイツと同程度である。(1998年)
  • 日本の進出企業、約150社......

 ということで、こちらの人の関心は貿易であり、そして日本及びアジアの経済である。

 しかしながら、私はここシアトルで仕事をして、日米関係はなかなか数字であらわしにくい人と人との交流によって支えられている感を強くしている。シアトルの友人と話をして、日本人と良き思い出があるが故に日本ファンになった人達が多い。又、多くの日本の若者がここワシントン州に留学し、ホームステイをし、アメリカの人々の世話になり、友人を沢山つくって帰る。
 そこで今日は、主にここワシントン州を舞台とする日米交流のいくつかを紹介してみたい。

姉妹都市

シアトルダウンタウン全景  ワシントン州の自治体と日本の自治体間の姉妹交流は、1957年にシアトル市、神戸市間で提携がなされ、又1963年にワシントン州と兵庫県が姉妹州・県となって以来、その輪が広がり、現在は33の自治体間で姉妹都市交流が活発に行われている。これはカリフォルニアに次ぐ数である。
 兵庫県はシアトルに兵庫経済文化センターを開き、当地での日米文化・人物交流の1つの拠点となっている。神戸市もシアトルに事務所をかまえ、市のPRに努めている。シアトルの隣町ベルビュー市は、八尾市と交流をすすめており、毎年、親善訪問団の相互派遣を行い、又、北九州市はタコマ市に生活体験ツアーを送りこんでいる。ワシントン州の東端に位置し、同州第2の都市であるスポケーンと西宮市の間では、留学生、中高校生、語学研修生相互派遣を活発に行っている。兵庫県からは毎年夏に中学生から社会人まで約300人がワシントン州内のそれぞれの姉妹都市を訪れ、又、200名近くが逆にワシントン州の各都市より兵庫県を訪れ交流を行うという。かかるプログラムの中で、人々が異口同音に言うのは、ホームステイでの楽しい思い出である。
 在シアトル総領事館は、ワシントン州の東の内陸州モンタナをも管轄している。モンタナ州は日本と同じ程の面積に人口80万人という過疎州である。日本との直接の交流はほとんどなかったのであるが、1982年同州出身のマンスフィールド駐日大使(当時)の労により、熊本県との姉妹提携が行われ、交流が始まった。以来、県・州間では職員や教師の交流、留学生の相互派遣、物産展の開催、文化の相互交流等、活発な交流事業が展開されている。92年には州都ヘレナにクマモト・プラザ(熊本県の事務所兼文化センター)が開設され、日本紹介の中心的役割を果たしている。私は冗談に「モンタナの人々は、日本は知らなくとも熊本は良く知っている」と言うが、モンタナに出先を持たない我が総領事館としては、熊本プラザの存在はありがたく、その活動に感謝している。又、熊本市ではモンタナの画家モンティ・ドラッグ氏の自然がいっぱいで楽しい絵を車体全体に描いた4台のバスが走り、市民にとりモンタナを身近なものにしている。

学術交流

 ワシントン州には約一万人の日本人が在住しているが、学生の多いのが特徴であり、その4割を占める。そしてワシントン大学をはじめ全ての州立大学及び多くの私立大学は日本の大学と交換プログラムを展開している。たとえば、ワシントン大学は大学全体として日本の青山学院大学、慶応大学、東北大学、神戸大学、九州大学、東京工大と交流プログラムをもち、更にそれぞれの学部が多くの日本の大学と交流している。昨年学長訪日の際に東京で同大学同窓会が開催され、約300人が集まったと聞いている(フォーリー駐日大使も同大卒業生である)。
 スポケーンには兵庫県の武庫川女子大学が分校を開いている。春と秋に学生が200名ほどやってきて、3~4ヶ月英語を学ぶわけであるが、地元との交流もさかんに行われる。ウィークエンド・ホームステイもあり、幾度となくこの学生を引き受けている市民もある。その分校には立派な日本文化センターが付設され、地元の小学生達が授業の一環として参観に来る。又、分校のホールは、日本との交流の中心となっており、春に行われるスポケーン日本週間、JACL(日系米国人市民協会)スポケーン支部の年次総会、スポケーン産業会とシアトル日本企業との交流会、そして私の講演会などもすべてこのキャンパスで行われる。私は何度もスポケーンをたずねているが、このキャンパスのおかげでスポケーン市内の他の場所をあまり知らない。このキャンパスはスポケーンと日本の交流になくてはならないものになっている。

働きながら

 JETプログラムをすでに御存知の方も多いと思う。世界各国の青年が日本の各地方自治体で、中学高校の語学教師助手や自治体の国際交流員をつとめる。本年は全米から2600人以上が日本に赴くが、うち80名を当シアトル総領事館管内から送り出す。彼らは日本各地に1年から長い人で3年滞在する。地方では大切にされる様で、皆すばらしい思い出を胸に帰国する。帰国後は、各地で良き日本紹介の担い手となる。シアトル総領事館管内でも300人近くのJET経験者が同窓会を組織しており、当館の文化交流事業でも協力をあおいでいる。
 ユニークなプログラムとしては社団法人国際農業者交流協会が行っている、米国への農業研修生派遣事業がある。ワシントン州の真中にあるモーゼス・レイクで語学等の基礎訓練を受けた後、アメリカの各地の農場で実修をする。研修生ではあるが、各自が働いて得たお金で生活し、学校へも通う。昭和27年より続いているプログラムで今までに約11500名が修了している。アメリカでの武者修行を終え、心身共にたくましくなると共に国際感覚を身につけた彼らは、日本で新しい農業の担い手となっている。アメリカの農場主家族との友情も彼らにとっての貴重な財産である。

日系人

 シアトル、そしてワシントン州は歴史的にアジアからの玄関口として移民を受け入れてきた。現在では日系人は35000人以上とカリフォルニア、ハワイ、ニューヨークに次いで多い。1880年の米国国勢調査でワシントン州における最初の日系人が記録されているが、以来、移民は大幅に増加した。戦前の差別、戦争中の強制収容などの苦難を経ながらも、戦後は良きアメリカ人として成功してゆく。アメリカの社会で尊敬を勝ち得た日系人の存在がアメリカ人の対日感情にどれほど積極的な影響を与えたことか。日米友好関係を支えた日系人の貢献は長く記憶にとどめられるべきものである。
 戦後は一時期良きアメリカ人になるべく、日本色を出さないよう気をつけた時期があったと聞くが、内には日本文化を秘めていた。今やこのような日系人の存在もあり、ここシアトルではあらゆる日本文化の団体があり、アメリカ人、日本人が一緒になって楽しんでいる。生花、茶道、囲碁、日本舞踊、詩吟、琴、三味線、尺八、空手、柔道、川柳、盆栽...と枚挙にいとまがない。私も立場上色々な集まりに声をかけていただくが、ほとんどが門外漢のものばかりで、この地で日本文化を学んでいるあり様である。
 なお、シアトルに日本館という劇場がある。これは1909年にたてられ、戦前は当地の日本人、日系人の社交場として心のよりどころであった。1980年代初頭に修復・復元され、今でも日本文化を紹介する場として活躍している。

お祭り

太鼓の初体験  全米各地で日本文化紹介のイベントが~祭、~日本週間等と銘うって行われている。交流は平素よりといっても、やはりイベントは格別である。
 ここシアトルでも毎年4月に「桜祭り、日本文化祭」としてすでに24回を数えている。700人以上のボランティアの手によって日本文化40部門以上にわたり紹介されている。一つ屋根の下に紹介するマイノリティー主催のこの種のイベントとしては当地方最大である。日本人、そして日系人を含むアメリカ人の良き交流の場を提供している。
 この外にワシントン州では、イーストサイド日本祭(シアトルの東側に位置するワシントン湖を挟んだ対岸の町ベルビューが中心)、スポケーン日本週間、ベリングハム日本週間が毎年さまざまな企画で行われる。又、内陸州モンタナでも、ミズーラという学術都市でモンタナ日本友好会主催でジャパン・クラブ・フェスティバルが行われている。

多くの人達がさまざまな分野で日米関係を支えている。以上は、日米交流のほんの一部分である。日米相互理解の増進は総領事館の重要な任務の1つであるが、多くの人達と手を携えて努めていきたいと思う。



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