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外務省員の声

北米総領事便り

在シアトル日本国総領事 野本佳夫

2000年5月

野本総領事  昨年12月初、ここシアトルが日本の茶の間に広く紹介された。ただし、残念ながら好ましい紹介ではなかった。今でも多くの日本の友人から「大変だったでしょう」と言われる。WTO(世界貿易機関)閣僚会議での騒然とした光景が伝えられたからである。でも、あれがシアトルの本当の姿ではないのでどうか誤解されないように───。

1.美しい街

 シアトルは近くに山あり、森あり、湖あり、そして海がある美しい都市である。地図をご覧いただくと分かりやすいが、シアトルから周囲を眺めると、西にはピュージェット湾を挟んで、オリンピック山脈が連なり、東はワシントン湖に面し、遠くにカスケード山脈の姿が続く。そして晴れた日には南に、昔、日本からの移住者が「タコマ富士」と呼んだレニエ山が見える。日本から飛行機で到着する人々は異口同音に「緑と水の多いきれいなところですね」と言う。
 シアトルは人口55万の中堅都市。大都市の抱える諸問題で悩むほどには大きくなく、かと言って寂しさを感ずるほど小さくもない。いや寂しさを感ずるどころか、生活を楽しむには事欠かない。
 豊かな自然を相手にキャンプ、ボート、スキーを楽しむ人が多い。ゴルフも盛んである。また、アメリカ人が心より楽しむプロスポーツのチームは野球(マリナーズ)、バスケットボール(ソニックス)、フットボール(シーホークス)、サッカー(サウンダーズ)とそろっている。世界レベルのシンフォニー・ホールも一昨年オープンし、シアトル交響楽団の拠点となっている。オペラ、バレー団をも擁している。
 ロック歌手のジミー・ヘンドリックス、俳優のブルース・リー、そして「ルーツ」の著者のアレックス・ヘイリーは当地の出身であり、グループ・サウンドのベンチャーズはシアトルで結成された。
 野球といえば、ハマの大魔神、佐々木主浩投手が本年マリナーズに入団し活躍している。日本からのマリナーズ見学ツアーもできたと聞いており、更に多くの日本人がシアトルに親しんでいただけるものと期待している。

2.進取の気性に富んだ街

巨大なボーイング社の工場  96年「フォーチュン」誌でシアトルは「仕事と家庭生活に最も適した都市」に選ばれ、又、昨年「フォーブス」誌で「ビジネス・キャリアに最も適した都市」として全米第1位に選ばれた。これまでも類似のタイトルを数多く獲得している。
 シアトルはピュージェット湾沿いに大シアトル圏を形作っているが、そこには皆さんご存知のボーイング社、マイクロソフト社が本拠を構えている。
 シアトルの北にあるエベレットにはボーイングの大型機であるB747、B777、B767の組立工場がある。自動車の工場とは違い、みるみるうちに組み立てられていくという訳にはいかないが、容積が世界で最大という建物の中で、組立途上の大型機が何機も並んでいる姿は壮観である。又、B777の胴体部分のほとんどは日本企業が設計・製造しているのである。
 マイクロソフト社はシアトル郊外に本社を構えている。大学のキャンパスというたたずまいで素人が見学してもおもしろみに欠けるが、ここから巨万の富がつくられているのかと思うと一つ一つの建物も立派に見えてくる。同社のビル・ゲイツ会長は、昨年6月の「フォーブス」誌の世界長者番付で1位になり、更に同社の共同創業者などが3位、4位を占めていると聞くと、人口で全米21位の中堅都市にすぎないこの地に世界的富豪のブルネイ国王以上の金持ちが3人もいるのかと驚いてしまう。
 昨年のタイム紙表紙のマン・オブ・ザ・イヤーにはシアトルに本拠を置くインターネット書籍販売のアマゾン・ドット・コム社のジェフリー・ベゾス会長が選ばれた。
 そのほか日本の皆さんがよくご存知のスターバックス(コーヒー)、エディ・バウアー(アパレル)、コスコ(大型卸売り)、REI(アウトドア用品)も本社はここにある。

3.ワシントン州-長く、太い日本との関係

 シアトルは米国大陸において、日本に最も近い都市である。東京からの飛行時間は8時間、帰りは10時間弱で東京に着く。
 シアトルが位置するワシントン州は全米でもっとも貿易依存度の高い州であり、4人に1人、そして最近では3人に1人が貿易関連の職業に就いているとされている。日本は貿易相手としては№1。従ってこちらの人々の大きな関心は日本の経済。最近では我が国の経済も上向きに転じて来ているので、当地関係者も期待を新たにしているといったところである。
ワシントン州東部の広大なリンゴ農園 ワシントン州東部の広大なリンゴ農園
 ワシントン州には3つの顔がある。1つ目はピュージェット湾沿いにシアトルを中心として、北はカナダ国境から南は州都オリンピア、更には南に下ってオレゴン州の州境までの平地。ワシントン州経済の中心で商業・産業ベルト地帯。2つ目はカスケード山脈の森林地帯。ワシントン州の愛称が「エバーグリーン・ステート」であることからも分かる通り、林業は老舗産業であり、当地で活躍している日本の商社も伝統的に林産物の取扱量は多い。そして3つ目としてカスケード山脈を東に越えるとピュージェット湾地域とはまったく異なる農業地帯が広がる。コロンビア川の大規模灌漑により栽培されるリンゴ、チェリー、西洋なし、ホップ、アスパラガスなどは、全米1位を誇り、ジャガイモは2位、小麦は3位を占める。よく雨の降るシアトルではあるが、2時間ほど東にドライブすると太陽を拝める確率はぐんと高くなる。
 地方自治体同士の交流も極めて盛んであり、ワシントン州-兵庫県、シアトル市-神戸市を軸に全州にわたって草の根交流が行われている。在留邦人1万人のうち約4割が留学生であることも、交流の裾野の広さを物語っている。
 そもそも歴史的に見て、シアトルそしてその南のタコマ(ワシントン州第3の都市)はアジアへの、そしてアジアからの玄関口であり、多くの移民をアジアから受け入れて来た。ワシントン州の人口で白人が9割近くを占めるが、その他の少数派の中ではアジア系が第一位。州知事(中国系)もシアトル市長もいつも強調するのが人種・文化の多様性で、その中で、日系の人々が地域社会で、そして日米関係で果たしている役割には大きなものがある。日系人の活躍振りについては前回の「総領事便り」を御覧いただきたい。


 春・夏がシアトルのベストシーズンで、気候もよく、日も長い季節となる。ひとりでも多くの方々にシアトルを訪れていただき、緑一杯の米国北西部の良さを満喫していただきたいと思う。

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