12月9日、訪日中のナルィシュキン・ロシア大統領府長官は、麻生総理大臣に表敬し(約30分)、また、中曽根外務大臣と会談を行った(約35分)ところ、その結果概要は以下のとおりです。
(1)位置づけ
今回の表敬は、11月22日にペルーにおいて行われたAPEC首脳会議の際の日露首脳会談のフォローアップと、来年初めに行うことで一致しているプーチン首相訪日の準備という位置づけで行われました。
(2)やりとりの概要
(イ)冒頭、麻生総理より、ロシア正教のアレクシーⅡ世総主教聖下が御逝去されたことにつき、お悔やみの意を表明しました。
(ロ)また、麻生総理より、ペルーでの日露首脳会談において確認した日露双方の関心事項(我が方においては、ロシアと領土問題を解決し、平和条約を締結すること)について、来年、プーチン首相の訪日の際、また、次回以降の首脳会談において具体化していきたいと述べました。その関連で、麻生総理より、今後は、貴長官に日露関係全体を統括していただきたいと述べ、ナルィシュキン長官もこれを了承しました。
(ハ)またナルィシュキン長官より以下を述べました。
(a)アジア太平洋地域における協力の拡大はロシア外交の戦略的優先事項である。この地域における重要な問題についての日露両国の立場は一致していることが多い。
(b)平和条約問題の解決は二国間関係の発展に追加的な刺激を与えることになる。双方が極端な立場から離れ、受入れ可能な解決策を探ることが重要である。メドヴェージェフ大統領は、ペルーでの首脳会談において、並々ならぬ考えが必要であると述べたが、同首脳会談後、ロシア外務省を始めとする事務方に対し、並々ならぬアプローチで解決を模索するよう指示を出した。
(c)プーチン首相訪日に向け、これまで交渉が行われてきている原子力協力をはじめ、種々の二国間文書に関する作業を加速したい。
おおむね、麻生総理とナルィシュキン長官との会談と同様の内容のやりとりがありました。
なお、ナルィシュキン長官から中曽根外務大臣に対し、来年モスクワを訪問いただきたいとのラヴロフ外務大臣からのメッセージが伝達されました。