1.今般,国際連合から我が国に対し,アフリカ地域で実施される「アフリカにおける人間の安全保障:持続可能な平和と開発の促進のための評価と能力強化」事業に対して,国連人間の安全保障基金から約32万ドル(約2千6百万円)の支援を行うことが決定された旨通報がありました。本基金は,人間の安全保障の推進を目的として,1999年に我が国が主導して国連に設置されたものです。
2.この事業は,国連地域開発センター(UNCRD)が,アフリカ4か国(ケニア,リベリア,ルワンダ,南スーダン)において,持続可能な平和と開発を実現するため,アフリカ諸国において人間の安全保障の概念に対する理解と受容を深めるべく,人間の安全保障の概念や規範,実践を促進し普及することを目的として実施するものです。また,この事業は,地域機関の果たす役割に着目し,アフリカ連合(AU)や国連開発計画(UNDP)の各4か国の事務所と連携して実施されます。主な内容は以下のとおりです。
(1)対象国において,貧困,環境悪化,紛争,政治,保健,(紛争後の)望まない再定住及びグローバル化等から生じる,人間の安全保障に関する課題を特定し,人間の安全保障の評価報告書を作成。
(2)ワークショップの開催を通じて政策立案者の人間の安全保障概念への理解を高めることにより,経済,社会,政治及び環境等の,人間の安全保障に対する脅威に晒された個人とコミュニティの強じん性を強化。
(3)セミナーや会議の開催により人間の安全保障概念を普及し,政策立案者や地域機関の代表の人間の安全保障に対する理解を深化。
3.この事業への支援が実施されることにより,アフリカ地域における人間の安全保障の推進が期待されます。
(参考)人間の安全保障基金とは,人間の安全保障の実践のため,我が国のイニシアティブにより1999年に国連に設置された信託基金。人間の安全保障基金に対し,我が国は現在までに総額約421億円(約3億8,020万ドル)を拠出している。これまでも,この基金を通じ人間の生存,生活,尊厳に対する多様な脅威に対して人間の安全保障の視点から取り組む国連関係国際機関の約210のプロジェクトを支援してきている。