報道発表

アフガニスタンに対する無償資金協力6案件に関する書簡の交換

平成24年3月10日
  1. 本10日(土曜日)(現地時間同日),アフガニスタン・イスラム共和国の首都カブールにおいて,我が方髙橋礼一郎駐アフガニスタン大使と先方ジャーヴェド・ルーディン アフガニスタン・イスラム共和国外務副大臣(Mr. Jaweed Ludin, Deputy Minister of Foreign Affairs of the Islamic Republic of Afghanistan)との間で,以下6案件(合計98億9,300万円)の無償資金協力に関する交換公文の署名式が行われました。
    (1)「カブール国際空港駐機場改修計画」(供与限度額:19億6,000万円)
    (2)「カブール市郊外小規模灌漑施設・農村道路整備計画」(供与額:6億9,600万円)
    (3)「カブール市東西幹線道路等整備計画」(供与額:25億900万円)
    (4)「バーミヤン空港改修計画」(供与額:12億6,000万円)
    (5)「カブール大学整備計画」(供与額:6億6,800万円)
    (6)ノン・プロジェクト無償資金協力(供与額:28億円)
  2. 案件概要
    (1)「カブール国際空港駐機場改修計画」(供与限度額:19億6,000万円)
     この協力は,アフガニスタン最大の空港として国内外の交通・物流の拠点となっているカブール国際空港の駐機場を舗装改修・拡張し,駐機場照明灯を設置するものです。カブール国際空港では,長年にわたる不十分な維持管理と近年の交通量増加により,駐機場の劣化が著しく,航空灯火や航空機機体及びエンジン等に損傷をもたらしており,また,航空機の駐機場不足のため,航空機の発着に遅延が発生したり,一部の航空機を誘導路に駐機せざるを得ず,安全で効率的な航空機の運航に支障を生じかねない状況にあります。このため,カブール国際空港の駐機場の舗装改修や拡張施設の改修が急務となっています。
     アフガニスタンにおいては,航空は道路と並ぶ運輸・交通の重要な手段となっており,カブール国際空港の利用旅客数は近年著しく増加しています。この協力により,航空機運航上の安全性及び効率性を向上させることが可能となります。また,カブール国際空港の発着便数の増加が可能となり,アフガニスタンの経済発展に寄与することも期待されます。
    (2)「カブール市郊外小規模灌漑施設・農村道路整備計画」(供与額:6億9,600万円)
     この協力は首都カブール及び周辺地域の用水路約27km及びため池21カ所を補修するとともに,農村道路約4kmの舗装を行うものです。カブール首都圏では,内戦終結後の2002年以降,国内外からの移住者・帰還避難民の流入により人口が急激に増加し,水供給の逼迫,衛生環境の悪化,交通渋滞等の問題を抱えています。この協力の対象地域であるカブール市郊外のデサブ地域は,住民の多くが農業に従事していますが,約30年に亘る内戦の影響による農業灌漑施設の破壊・老朽化及び近年の交通量増加による道路環境の悪化により,十分な農業生産活動ができない状態です。この協力により灌漑農地面積が増加し,農家約4万人が安定的な農業生産を行うことが可能となります。また農村道路の舗装により,周辺住民約20万人の畜産・農産物の都市への輸送,医療施設等社会基盤への移動が改善されることが期待されます。
    (3)「カブール市東西幹線道路等整備計画」(供与額:25億900万円)
     この協力は,[1]カブール市のバイパス機能を有する東西幹線道路計約15kmの拡幅・整備及び[2]カブール市北部第11区の主要生活道路計約5kmの改修を行うものです。カブール市では,近年の急激な人口増加に伴い,自動車交通量が増大しており,交通渋滞及び交通事故の増加が深刻化しています。カブール市北部の東西幹線道路は,市中心部を迂回する主要物流ルートですが,車線の不足や未舗装区間があることにより,車両の円滑な走行に支障をきたしています。また,カブール市北部第11区は,100万人以上が居住する人口密集エリアですが,未舗装区間が多く,住民の通学や買い物等の日常生活に支障をきたしています。
     この計画の実施により,カブール市の迂回路である幹線道路の交通事情が改善され,市中心部の交通量が減少し,市全体の交通渋滞の緩和や物流の円滑化が期待されます。
    (4)「バーミヤン空港改修計画」(供与額:12億6,000万円)
     この協力は,バーミヤン空港の滑走路の舗装,航空機駐機場の整備,旅客ターミナルビル等の建設,場周フェンス及び進入角指示灯等の整備を行い,中型プロペラ機による定期便就航に必要な環境整備を実施するものです。バーミヤン空港は,滑走路が未舗装であることに加え,旅客ターミナルビル,航空灯火や消防施設等を備えておらず,航空機の安全で効率的な運航に必要な環境が整っていません。このため,現状では小型プロペラ機とヘリコプター等が不定期に運航されているのみです。
     文化的景観と世界遺産を含む古代遺跡群を有するバーミヤンは観光開発の拠点としての役割が期待されています。バーミヤン空港は,アフガニスタンにおいて優先的に整備すべき7つの主要地方空港の一つとして位置づけられています。我が国はバーミヤンに地方復興チーム(PRT)を展開するニュージーランドと事前調査などで連携しました。この協力により,カブール・バーミヤン間の定期航空便が就航可能となることから,これまで陸路で8時間かかっていた同区間の移動が30分に短縮され,カブールとの往来の利便性及び安全性が向上することが期待されます。また,バーミヤン空港の改修により,国内移動が容易になることに加え,バーミヤンへの観光客の増加も見込まれるなど,地域経済の活性化の基盤の一つとなることも期待されます。
    (5)「カブール大学整備計画」(供与額:6億6,800万円)
     この協力は,カブール大学コンピューターサイエンス学部の校舎を建設し,同学部の運営に必要な機材を整備するとともに,同大学と実習・研究サイトの間の移動用バス10台の供与を行うものです。アフガニスタンにおいては,今後自らの手で復興・開発を進めていくために,より多くの高度な専門的知識を身につけた行政官,研究者,技術者等を養成することが不可欠となっています。カブール大学は,1932年に設立され,アフガニスタンにおいて最も歴史が深い最高学府です。コンピューターサイエンス学部は,IT分野の人材育成のため,2008年に設立されましたが,独自の校舎を確保できておらず,老朽化のため取り壊し予定であった建物を当面の校舎として使用しています。また,同大学ではキャンパス外の研究サイトを訪問するための交通手段がなく,支障をきたしています。
     本件協力により,高等教育の良質な環境を提供することが可能となり,将来のアフガニスタン国家を担う人材の育成が促進され,自立的な国づくりに貢献することが期待されます。
    (6)ノン・プロジェクト無償資金協力(供与額:28億円)
     国家の再建途上にあるアフガニスタンは,巨額の経常収支赤字や公的債務を抱え,開発事業を実施するための費用や行政経費を賄うための国内歳入が引き続き不足しており,国家運営のためにドナーからの支援が不可欠な状況です。本件は,アフガニスタンの厳しい経済状況を緩和するため,ディーゼル燃料等必要な物資を購入するための資金を供与するものであり,アフガニスタン国内の安定化や復興・開発に資することが期待されます。

(参考)アフガニスタン・イスラム共和国の人口は約3,000万人(推定)。面積は65.2万平方キロメートル(日本の約1.7倍)

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