(参考1)国連代表部発国連事務局宛の口上書の概要
(1) 中国が大陸棚延長申請を行った海域は,日中それぞれの領海基線の間の距離が400海里未満の海域である。かかる海域における大陸棚は,国連海洋法条約の関連規定に従って,日中間の合意により境界を画定する必要がある。したがって,中国は,かかる海域において,一方的に大陸棚の限界を設定することはできない。
(2) 上記の立場について,我が国は,2009年7月,中国による暫定申請を受けて発出した国連代表部発国連事務局宛の口上書により既に表明している。
(3) 大陸棚限界委員会手続規則の関連規定によれば,同委員会は,大陸棚の延長申請について,海洋等に関する紛争が存在する場合,大陸棚の延長申請は,全ての関係国の事前の同意がなければ検討できないことになっている。我が国は,そのような事前の同意を与えておらず,大陸棚限界委員会に対して,中国による大陸棚延長申請を検討しないよう要請する。
(4) なお,尖閣諸島が,我が国固有の領土であることは,歴史的にも国際法上も疑いはない。中国が大陸棚延長申請のために提出した文書に記載されている尖閣諸島への言及(中国が主張する尖閣諸島周辺の基線を含む。)は,国際法上根拠がないものであり,我が国として全く受け入れられない。
(参考2)大陸棚延長申請とは
国連海洋法条約は,沿岸国の大陸棚を領海基線から200海里(約370km)と定める一方,海底地形等の条件を満たせば,200海里を超える大陸棚を設定できることを定めている。200海里を超える大陸棚を設定するためには,海底地形等のデータを大陸棚限界委員会に提出し(大陸棚延長申請),その勧告を得る必要がある。国連海洋法条約上,沿岸国には,大陸棚の探査,天然資源の開発等の主権的権利が認められている。
(参考3)中国による大陸棚延長申請の概要
中国が申請した大陸棚の限界は,沖縄トラフのうち,屋久島から奄美大島までの西部の海域の部分。東シナ海の大陸棚は,中国の領土の自然の延長であり,沖縄トラフが大陸棚延長の終点。