
日バチカン外相会談について
平成21年3月17日
17日(火曜日)、ドミニク・マンベルティ法王庁外務長官は、中曽根外務大臣との間で、日バチカン外相会談(18時30分から約30分間)を行うとともに、中曽根大臣主催夕食会(19時から約2時間)に出席したところ、その概要は以下の通りです。
- 冒頭、中曽根大臣より、1942年に外交関係が樹立されて以来、初めての法王庁外務長官の訪日を歓迎し、昨年11月、日本で初めてとなる列福式が長崎で成功裏に開催されたことに祝意を申し上げる、歴史的にキリスト教文化と縁の深い長崎を中心に、バチカンへの関心が改めて高まったことは喜ばしい旨述べました。これに対し、マンベルティ外務長官より、訪日の御招待に感謝申し上げる、日本と法王庁との関係は歴史的には数百年に及ぶものであり、今次訪日により、日バチカン関係がより一層強化されることを期待する旨述べました。
- 世界経済・金融危機に関し、中曽根大臣より、世界的に実体経済への影響が深刻しつつある中、国際社会が保護主義に対抗し、貿易・投資の自由化を維持・推進していくことが重要である旨述べました。これに対し、マンベルティ外務長官より、今次金融危機は、道徳的な観点からは、金融機関が利益を追求し過ぎたことが中心となり生じたものであると見ている、当該危機により最も大きな影響を被るのは最貧国とその国民であるので、今後は、アフリカ諸国を中心とする最貧国に対して教育や保健衛生の面で支援の手を差し伸べることが重要であり、法王庁としては連帯意識を重視している旨述べました。さらに長官は、若い世代が現下の状況により萎縮することなく、将来に向けた希望を持てるよう法王庁として努力したい旨述べました。
- このほか、中曽根大臣とマンベルティ外務長官は、北朝鮮、中国、中東和平といった地域情勢について意見交換を行いました。特に、北朝鮮について、中曽根大臣より、北東アジアの平和と安全のためには、核兵器を含めた北朝鮮の非核化及びミサイル問題の解決が必要であり、また、拉致問題を含む諸懸案の解決を通じた日朝国交正常化も不可欠である旨述べるとともに、北朝鮮が準備を進めている発射は国連安保理決議違反であり、我が国は、米国及び韓国と連携しつつ、北朝鮮が発射を行わないよう懸命に努力を続けているところである旨述べました。これを受けて、マンベルティ外務長官より、当該発射についての日本の懸念はよく理解できる、北朝鮮と周辺国との緊張関係が緩和され北東アジアが平和な地域となることを願っており、これに向けた関係各国の努力を賞賛する、また、拉致された方々の一部が帰国されたことを喜ぶとともに、まだ帰国されていない方々が早期に帰国されることを願っている旨の発言がありました。