ペルー共和国の「タララ漁港拡張・近代化計画」に対する無償資金協力について
平成18年4月4日
- わが国政府は、ペルー政府に対し、「タララ漁港拡張・近代化計画(Proyecto de Ampliacion y Modernizacion del Desembarcadero Pesquero Artesanal de Talara)」の実施に資することを目的として、総額2億9,800万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が4月4日(火曜日)、リマにおいて、わが方石田仁宏駐ペルー国大使と先方オスカル・マウルトゥア・デ・ロマーニャ外務大臣(Mr. Oscar Maurtua de Romana, Ministro de Relaciones Exteriores)との間で行われた。
- ペルーの漁業は、従来魚粉製造の原料であるアジ等の浮魚を中心に漁獲してきたが、漁業資源の開発を進めた結果、1990年よりオオアカイカの水揚げ量が急増した。これらは食用として国内で消費される他、近年は海外にも輸出されている。タララ漁港は、同国北部に位置する零細漁民用漁港であるが、オオアカイカ漁場の近くに位置していること、近隣に消費地が存在し、また漁港と都市を繋ぐ道路が整備されていること等を背景にイカ漁業の拠点港として発展し、現在は年間3万4千トン(2004年)と同国最大の水揚港となっている。
他方、タララ漁港を利用する漁船が増加した結果、港湾内は混雑しており、それに伴い漁獲物の鮮度低下や水揚げ作業の安全性低下といった問題が生じている。また、同漁港は出漁準備港の役割も果たしているが、利用隻数に対し給油等の施設が不足しており、給油待ちの漁船が同漁港の混雑化の一因となっている。さらに、1978年に建設された同漁港の水揚げ処理施設は老朽化が進み、また、取り扱い量の増加と魚類より鮮度低下が激しいイカへの取扱種の転換に対してその処理能力が不足している。このため、自国民に対する安全な動物性タンパク質供給の面で問題があるほか、処理過程で発生する排水や残渣(イカの内蔵)により海域の汚染が進行しており、その改善が急務とされている。
このような背景のもと、ペルー政府は、上記問題に対処するために「タララ漁港拡張・近代化計画」を策定し、わが国に無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、1)港湾内の混雑の解消によって、水揚げ作業の効率化とそれに伴う漁獲物の品質向上、および安全性が向上すること、2)漁港排水中のBOD値(生物化学的酸素要求量)が、現状の1リットルあたり約300ミリグラムから1リットルあたり約160ミリグラムに低減すること、3)水産物水揚・一次処理にかかる衛生状況が改善され、出荷される水産物の品質が向上することにより、ペルー国民に対し新鮮かつ良質な動物性タンパク質が供給されること、が期待される。