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Vol.91 2012年9月12日
リオ+20~持続可能な未来を創るために

2012年6月,ブラジル・リオデジャネイロで「国連持続可能な開発会議」(「リオ+20」)が開催されました。次の世代が住みやすい世界を残すために,世界中から各国の代表や民間の人々が集まり,環境や貧困,災害など多くのテーマについて話し合いました。今回は「リオ+20」の意義と会議で話し合われたこと,そしてこの会議における日本の役割などについて解説します。

「リオ+20」とは?

2012年6月に開催された「国連持続可能な開発会議」(「リオ+20」)は,1992年開催の「国連環境開発会議」(「地球サミット」)」から20年後に,同じブラジル・リオデジャネイロで改めて私たちが望む世界について議論したフォローアップ会議です。「地球サミット」では,「環境と開発に関するリオ宣言」とそれを実現するための行動計画「アジェンダ21」が採択され,さらに気候変動枠組条約や生物多様性条約の署名が開始されるなど大きな成果を上げ,現在に至る地球環境保全や持続可能な開発の考え方のベースが作られました。それから20年後,エネルギーや資源の有限性など「地球の限界」が明確化し,国際社会では環境保全と経済成長の両立を目指す「グリーン経済」への移行がますます喫緊の課題になっています。BRICsなど新興国の著しい経済成長も過去20年間の大きな変化です。またスマトラ沖大地震及びインド洋津波東日本大震災などの経験を通じて,様々な大災害が持続可能な成長の大きな阻害要因となるとの認識も深まってきました。

リオ+20とはなにか?
 
 

民間も含め約3万人が参加

「リオ+20」は, 6月20~22日の3日間にわたって全体会議が開催され,最終日に成果文書「我々の求める未来」(PDF)が採択されました。全体会議には国連加盟の188か国と3オブザーバー(EUパレスチナバチカン)から97名の首脳・閣僚級が参加。各国政府代表団の他に地方自治体,国際機関,企業や市民社会から合わせて約3万人もの人々が会場となるリオデジャネイロに集結し,国連の会議としては最大級の規模となりました。日本からは玄葉外務大臣,長浜官房副長官ら政府代表団130名が参加し,玄葉大臣が政府代表演説を行いました。会議は完全ペーパーレス化で行われ,各国代表団をはじめ参加者は電子ツールを駆使して成果文書交渉や情報共有を行いました。なお,全体会議開催に先駆けて6月13~15日には準備委員会,続く16~19日にはNGOなどの市民が参加した「持続可能な開発対話」(ブラジル政府主催)が行われました。

「リオ+20」に集結した各国の首脳,閣僚級の参加者たち
 

「リオ+20」会議のテーマ1~「グリーン経済」

スピーチを行う玄葉外務大臣経済・社会のあり方を抜本的に見直す「グリーン経済」への移行は,持続可能な開発と貧困の撲滅のために国際社会全体で取り組むべきテーマで,G8/G20サミットでも主要な課題となっています。しかし多くの途上国は「グリーン経済」が経済成長の制約になることを懸念しており,先進国と新興国・途上国の対立が続いてきたテーマでした。しかし,会議を通して途上国が「グリーン経済」への理解を深め,成果文書では国際社会全体として「グリーン経済」を推進することについて前向きなメッセージを発出することができました。同時に「グリーン経済」への移行に欠かせない環境技術やイノベーションの重要性も確認され,各国の取組が促されました。

「リオ+20」会議のテーマ2~「制度的枠組み」

「リオ+20」のもう一つの主要テーマは「持続可能な開発」のための新たな枠組みづくりでした。国際目標の達成のために,従来の国連を中心とした環境ガバナンスをはじめとする制度を強化することについて議論が展開されました。その結果,[1]従来の「持続可能な開発委員会」(CSD)に代わるハイレベル政治フォーラムの設立(2013年の国連総会まで),及び[2]国連環境計画(UNEP)の強化・格上げ(具体的には9月の国連総会で決議を採択)などの案が採択され,成果文書に記されました。

 

持続可能な開発の実現に向けて

「リオ+20」では,「持続可能な開発目標(SDGs)」についての活発な議論がスタートしたことも特筆すべき点です。会議では,SDGsについて,政府間交渉のプロセスを立ち上げることに合意が得られました。また,持続可能な開発に関するSDGsが,2000年から2015年までの国際開発目標として定められたミレニアム開発目標(MDGs)に統合されることに合意されましたが,これは将来の開発課題の在り方の方向性を明確にしたものとして評価されます。

 
 

成果文書「我々の求める未来」に盛り込まれたこと

ぺーパーレスで行われた会議ではノートパソコンやタブレットが活躍

「リオ+20」の成果文書「我々の求める未来」では,日本が提起した持続可能な都市づくりの重要性や防災の主流化をはじめとする26の分野別取組についての合意も得られました。さらにこうした取組を支える資金面においては「持続可能な開発ファイナンシング戦略」に関する報告書を2014年までに作成することなどが決まっています。また,総論の中では,GDP(国内総生産)を補完する新たな社会的指標に関する作業計画の立ち上げを国連に要請することが触れられています。これは日本やブータンなどが提案した「幸福度」に関係してくるもので,引き続き国際社会で議論していくことになります。

 

日本が発表した「緑の未来」イニシアティブ

6月20日の全体会議初日に,玄葉外務大臣は東日本大震災を経験した日本の「持続可能な社会とは何か」という問題に対するスタンスを述べるとともに,「環境未来都市の世界への普及」「世界のグリーン経済移行への貢献」「強靱な社会づくり」を3本柱とする「緑の未来」イニシアティブ(PDF)を発表しました。具体的な提案としては[1]2013年に国際会議を開催するなど「環境未来都市」の成功事例を発信,[2]日本の技術を活用して各国のグリーン経済への移行を支援するため「緑の未来協力隊(仮称)」(今後3年で1万人規模)の編成や3年間で30億ドルの支援,[3]世界中の防災に関する関心を高め,強靱な社会づくりに役立てるため「世界防災閣僚会議 in 東北」(2012年7月)の開催と防災分野で3年で30億ドルの支援などを表明。「リオ+20」の趣旨に即したこれらの提案は多くの参加国から高く評価され,特に今回の会議で日本が環境未来都市構想を一貫してアピールしたことは,震災復興に取り組む日本に対する各国からの関心をさらに高めることになりました。

「緑の未来」イニシアティブ
 
 

大盛況だった「日本パビリオン」

「リオ+20」の開催期間中,各国のパビリオンが設置され,また多彩な公式サイドイベントが開催されました。日本パビリオンでは,官民協力のもと,震災からの復興と強靱な社会づくり,日本の優れた環境技術や省エネ技術,自然資本の持続的利用による農林漁業等の恵み,グリーンイノベーションなどについて紹介する展示が行われました。外務省は, 東北3県知事からのメッセージパネルと東北の復興写真の展示,復興や日本の環境・防災技術等についての映像上映等を行いました。東北への応援メッセージを七夕の短冊に書いてもらうコーナーも設置し,世界各国の多くの方々から東北への応援メッセージをいただきました。12日間の開催期間中,日本パビリオンにはのべ18,127名が来場し,盛況を博しました。

日本パビリオンの開館式の様子 日本パビリオンの展示スペース
「TOHOKU FORWARD」を掲げた外務省展示ブース
 
 

「ジャパンデー」の実施

セミナー(写真は在福島県郡山市日本大学工学部柿崎教授による講演)
ジャパンイブニング(玄葉大臣, 東北3県代表者, 現地日本人学校等の生徒達)

6月20日には, 日本パビリオンにおいて,「ジャパンデー」(英語版動画はこちら)として,東北地方の復興と日本の多面的魅力をアピールするセミナー及び「ジャパンイブニング」を実施しました。セミナーでは「東日本大震災からの復興・教訓~持続可能な開発の観点から」をテーマに, 東北関係者, 環境関係者による講演・ディスカッションを行い, 環境に配慮しながら大震災からの復興を進めていく我が国の姿勢を発信しました。ジャパンイブニングでは,「TOHOKU FORWARD(東北,前へ,未来へ)」をコンセプトに,岩手県,宮城県,福島県や,在伯日系コミュニティ等と連携し,現地日本人学校等の生徒達による東北への応援メッセージ贈呈, 東北3県代表者による各県の復興計画・魅力などの紹介, 東北の郷土料理や日本酒の試飲食, 文化芸能披露等を行ったほか,会場には東北3県のPRブース等を設置し,東北の復興と魅力をアピールしました。

 

「持続可能な開発と貧困の撲滅」へ,日本への高い期待

サイドイベント会場内の様子
会場外に「未来のまち」について書いてもらった子供の絵を展示している様子

翌6月21日には,日本政府主催の公式サイドイベント「Future Cities We Want」が実施され,日本の考える「環境未来都市」構想の取組を紹介。冒頭に玄葉外務大臣がスピーチし,関係機関や自治体も参加して,地球にも人間にもやさしいまちづくりや日本の環境技術などを世界に向けてアピールしました。このイベントにはミャンマーカザフスタンマラウイの閣僚級なども参加し,玄葉大臣は日本の優れた省エネ技術や防災技術を世界と共有していく考えを表明しました。今後,「リオ+20」の成果を活かしながら,日本は「持続可能な開発と貧困の撲滅」に大きな役割を果たしていくことが期待されており,「緑の未来」イニシアティブの実行などを通して,ポストMDGsに向けた国際的な取組に積極的に貢献していきます。

 
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