わかる!国際情勢 トップページへ

Vol.77 2011年9月13日
「2+2」会合~日米同盟の“次の50年”へ

2011年6月21日,米国国務省(ワシントンD.C.)に日本の外務大臣と防衛大臣,米国の国務長官と国防長官が集まり,日米の安全保障・防衛協力に関わる幅広いテーマについて話し合われました。今回は,通称「2+2(ツー・プラス・ツー)」と呼ばれるこの閣僚会合の概要と意義,そして今回の会合での成果について紹介します。

「2+2(ツー・プラス・ツー)」会合とは?

日米防衛協力のメカニズムにおける「2+2」会合

「2+2」閣僚会合とは,日米両国の外交担当と防衛担当の2人の閣僚がメンバーであることから付けられた通称で,正式名称は日米安全保障協議委員会(SCC: Security Consultative Committee)と言います。現在の日米安全保障条約(安保条約)が署名された1960年1月19日に設置が決定され,同年9月に第1回会合が開催されて以来,日米安保条約に基づく協議や安全保障分野における日米協力に関わる多様な問題を検討するための重要な協議機関として機能してきました。開催時期,頻度については特に取り決めはなく,今回は,前回2007年5月以来,約4年ぶりの開催となりました。

 
 

日米同盟の役割と意義「2+2」会合

日米安全保障条約と「2+2」会合歴史

当初,日米「2+2」会合の米国側メンバーは,外交担当として駐日米国大使,防衛担当として太平洋軍司令官が参加していました。全世界に多くの同盟国を持つ米国が,すべての国と安全保障に関わる閣僚級会合を持つことは困難だからです。しかし日米安保条約締結30周年の1990年に,米国のベーカー国務長官(当時)の提案により,米国のメンバーが国務長官と国防長官に格上げされました。これによって日米の外務・防衛に対して責任を持つ4閣僚が直接話し合えるようになり,安全保障分野における日米間の協力の発展を担う「2+2」閣僚会合の意義はさらに高まりました。

 

2011年6月,約4年ぶりに「2+2」会合開催

4つの成果文書東日本大震災とそれに伴う福島第一原発事故に対して行われた「トモダチ作戦」をはじめとする米国の多大な支援と,被災者救済や復興支援における日米両国の協力が,半世紀にわたる両国の同盟関係と友情をあらためて深めました。一方,北朝鮮情勢をはじめアジア太平洋地域の安全保障環境は厳しさを増しており,日米両国間では「2+2」会合開催への機運は高まっていました。そして震災からおよそ3カ月が経過した6月21日,米国国務省でおよそ4年ぶりとなる「2+2」会合が開催されました。しかし,その4年の間に日米間の安全保障分野の協議が停滞していたわけではありません。たとえば2009年11月の日米首脳会談では日米安保条約締結50周年である2010年に,日米同盟の深化の協議を始めることで一致。2010年5月には会合こそ行われませんでしたが,「2+2」共同発表として在日米軍再編の着実な実施が日米4閣僚より表明されました。今回の「2+2」会合では,そうした協議プロセスや東日本大震災への対応における協力などを踏まえ,「共通戦略目標」,今後の日米安保・防衛協力,在日米軍の再編等が協議され,4つの成果文書が発出されました。

 

「2+2」会合の成果①~安全保障分野における日米同盟の深化

「2+2」会合風景

1960年の日米安保条約締結以来,日本と米国は民主主義の理想,人権の尊重,法の支配,そして共通の利益を基礎とした強固な同盟関係を築いてきました。現在,地域における軍事能力及び活動の拡大,北朝鮮の核・ミサイル計画やそれを背景にした挑発的行動,テロなど非伝統的な安全保障上の懸念の顕在化などにより,日米が緊密に協力する必要性がますます高まっています。そのような中,今回の「2+2」会合では,日米同盟がアジア太平洋地域の平和と安定にとって引き続き不可欠であることが確認されるとともに,日米安保条約50周年を契機に進めてきた同盟深化のための協議プロセスの安全保障・防衛面で の成果が示されました。

 
 

「2+2」会合の成果②~共通の戦略目標の見直しと再確認

2005年と2007年に定められた日米同盟の共通の戦略目標の再確認と見直しも今回の「2+2」閣僚会合での重要なテーマでした。北朝鮮による挑発の抑止と非核化への努力及び拉致問題を含む人道上の懸念の解決,中国,ロシアなどとの信頼関係の構築,また豪州,韓国と日米の3か国間の安全保障・防衛協力の強化などは,アジア太平洋地域の平和と安定のために日米両国が引き続き取り組むべき重要な課題です。さらに,テロ防止・根絶やテロの温床となりがちな脆弱国家への支援,核兵器や大量破壊兵器の不拡散及び削減,原子力安全,そして海賊問題を含む海洋上の安全保障,宇宙やサイバー空間における安全保障など,グローバルかつ新しい問題・課題についても日米両国が協力して積極的に取り組むよう共通の戦略目標が定められました。

 

「2+2」会合の成果③~安全保障・防衛協力を深化・拡大

「トモダチ作戦」では自衛隊と米軍が緊密に連携(U.S. Army Photo)日米協力の大きな戦略目標と同時に,今回の「2+2」会合では安全保障・防衛協力分野における具体的な方策に関するさまざまな決定が行われました。たとえば自衛隊と米軍の共同訓練,施設の共同使用,情報共有や共同での情報収集・警戒監視・偵察活動などの拡大により協力を促進することを決定しました。また,日米両国で共同開発を行っている弾道ミサイル防衛のための「SM-3ブロックⅡA」(迎撃ミサイル)の第三国移転にむけた条件整理がなされました。そのほか,前項で触れた宇宙空間やサイバー空間における安全保障,人道支援・災害救援に関する日米協力の枠組みなどについても話し合われました。

 

「2+2」会合の成果④~「ロードマップ」の補完と着実な実施を再確認

日米両国は,2006年の「再編実施のための日米のロードマップ」によって沖縄・普天間飛行場の代替施設への移設と沖縄に駐留する米海兵隊第3海兵機動展開部隊の要員約8,000人及び家族約9,000人のグアムへの移転を決定しています。しかし,その後日米双方の事情により,2014年までに完了するという当初の目標が困難となりました。今回の「2+2」会合では,4閣僚が「ロードマップ」の目的を実現する決意を表明し,2014年より後の出来る限り早い時期に普天間飛行場の移設,海兵隊のグアム移転を完了させることを確認しました。同時に,事件・事故や騒音の問題など,沖縄を含む地元への負担軽減を推進していくことが合意されました。また,在日米軍横田飛行場での日米の共同統合運用調整所(BJOCC)の運用開始,航空自衛隊航空総隊司令部の横田飛行場への移転,陸上自衛隊中央即応集団司令部の在日米陸軍キャンプ座間への移転など,米軍と自衛隊のさらなる協力に向けた取組についても確認されました。

 

「2+2」会合の成果⑤~東日本大震災での協力を活かして次の50年へ!

「2+2」会合後の4閣僚による共同記者会見

今回の「2+2」会合において,日本は東日本大震災に対する米国による迅速かつ多大な支援への心からの謝意を表明し,これに対して米国は引き続き日本の復興のために支援を継続することを約束しました。東日本大震災後の自衛隊と米軍による災害救援,復興支援など共同対処,そして東京電力福島第一原子力発電所事故への対応(日米両国の政府,民間の専門家,複数の省庁が関与)は,今後の安全保障・防衛協力分野での日米連携にとって大きな財産になります。そうした経験を踏まえ,今回の「2+2」会合では幅広い分野における今後の日米安保協力の多様な可能性が示されました。日米同盟の「次の50年」に向けて,日本と米国はアジア太平洋地域はもちろん,世界の平和と安定のために,これまで以上に強固な同盟関係を築いていきます。

 
メルマガ登録希望の方はこちらからお申込みください。
ご意見ご感想もお待ちしています。 (外務省国内広報課)
このページのトップへ戻る
目次へ戻る