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Vol.73 2011年6月6日
世界が日本に差し伸べた支援の手~東日本大震災での各国・地域支援チームの活躍

東日本大震災直後より,世界各国・地域から日本に対して数え切れないほどの励ましのメッセージをいただき,支援の手が差し伸べられました。また,お見舞いのメッセージ,義援金の寄付や支援物資の提供に加え,各国・地域から支援チーム等派遣の申し出が多く寄せられ,すでに20を超える国・地域・国際機関の支援チームが被災地を訪れました。今回はあくまでもその一部となりますが,海外から派遣された支援チームの活躍について紹介します(日付は断りがない限り2011年です)。

震災直後から続々と届く世界中からの温かく力強い支援

諸外国・地域・国際機関からの救助チーム・専門家チーム等活動場所一覧(5/19現在)
※本地図は記事掲載後に改訂

震災後約2ヶ月間で,23の国と地域からの緊急援助隊や医療支援チームが日本を訪れ,被災地を中心に活動してきました。また,災害援助を調整する国連人道問題調整部(UNOCHA)国連食糧農業機関(FAO)国際原子力機関(IAEA)国連世界食糧計画(WFP)などの国連機関の専門家チームなども次々に来日しました。各国・地域が派遣した支援チームは,日本の警察や消防,自衛隊などと協力し,熱心に救助・捜索活動,がれき撤去作業,医療活動などに従事。また,隊員たちは言語の壁を越えて地元の人々との交流を図り,その存在と活動ぶりは各地の被災者の方々を大いに勇気付け,励ますものでした。

 
 

韓国をはじめとする諸外国からの迅速な支援

救助犬とともに行方不明者を捜索する韓国隊員

写真提供:韓国外交通商部 震災後3日間の間に,6つの国(韓国米国シンガポール中国スイスドイツ)が被災地に入りました。その中でも,震災翌日にいち早く消防防災庁職員などで構成されるレスキューチームを派遣したのは,お隣の韓国でした。3月12日に救助犬チーム(人員5名と救助犬2匹),さらに3月14日には追加支援隊員102名が派遣され,総勢107名という大規模な救助隊が宮城県仙台市などで活動。警察とともに,救助犬や機器類を利用して,被害が大きかった宮城野区蒲生地区などで行方不明者の救助・捜索活動を展開しました。また,中国は3月14日より岩手県大船渡市で,台湾は3月16日より,モンゴルは17日より, 宮城県名取市,岩沼市等でそれぞれ支援チームの活動を開始しました。

 

総勢150名以上のレスキュー隊員を派遣したロシア

現場で作業に関する打合せを行うロシアの隊員たちロシア政府は,国内外での豊富な経験を有する非常事態省のレスキューチームを日本に派遣しました。3月16日から第1隊(75名)が宮城県石巻市で活動を開始。翌17日には第2隊の79名も合流し,総勢150名以上の規模で主に行方不明者の救助・捜索活動に取り組みました。熟練した隊員たちは危険な倒壊家屋にも臆することなく入り,担当区域を越えて熱心に捜索活動を展開。石巻市での任務終了後,第1隊を率いた隊長は「日本人は偉大な民族だ。このような災害に遭っても,泣き叫ぶこともせず,略奪もせず,人を責めることもせず,黙々と(復旧)作業を行っている。日本人は,今回の災害も必ずや乗り越えるに違いない。」と述べ,日本国民に力強いエールを送りました。

 
 

首相が被災地を訪問した豪州

消防隊員と打ち合わせを行う豪州支援チーム

写真提供:在京豪州大使館 松本大臣と南三陸町を訪れたギラード豪州首相

豪州政府は72名の消防隊員と救助犬2頭からなる緊急援助チームを派遣しました。同チームは,3月16日~19日の日程で,巨大津波によって壊滅的被害を受けた宮城県南三陸町で捜索・救助活動を展開。撤退時には,同県登米市(キャンプ地)に医療品,テント,燃料,水・食料等を寄贈しました。
また,豪州軍が保有する輸送機C17全4機のうち, 3機が輸送支援のために投入されました。緊急援助チームを豪州から日本へ輸送した1機は,その後も約10日間にわたり自衛隊の要員・物資等の輸送支援で活躍。残りの2機は,福島第一原発の冷却に用いる特殊ポンプを豪州から輸送しました。
4月23日には松本外務大臣とともに,ギラード・オーストラリア首相が南三陸町を訪問し(外国首脳の被災地訪問は初),緊急援助チームのマクニール隊長も同行しました。被災者との交流の後,ギラード首相は「日本人は不屈で勇敢」と語り,支援物資のほか被災地の子どもたちにコアラとカンガルーのぬいぐるみをプレゼントしました。また,子どもたちからはお礼としてギラード首相に折り鶴が贈られました。

 
 

南アフリカの「Rescue South Africa」

3月24日,石巻市で活動中のRSA隊員たち 南アフリカ政府が派遣した総勢45名の「Rescue South Africa(RSA)」は,2010年1月のハイチ地震でも活躍した実績があるNGO団体です。車両,放射能防護服,瓦礫を持ち上げる機械や特殊カメラ等の装備も充実し,隊員は共に活動した日本の警察が感心するほど規律正しく,他国チームにも快く保有機材を使用させるなど協調性も高いプロフェッショナル集団でした。RSAは宮城県岩沼市,名取市,石巻市,多賀城市において,救助・捜索および瓦礫の撤去作業などに従事。外国救助隊で唯一,持ち込んだゴムボートで水上と水中での捜索活動も行いました。帰国直前には,最初の活動地である岩沼市の市民会館に市長と避難している住民を慰問し,励ましのメッセージ入りの2010年ワールドカップ公式球を市に贈呈しました。RSA隊員達の真摯で誠実な姿勢は,一緒に活動する日本の警察や消防,他国の支援チーム,さらに被災地の人々にも深い感謝の気持ちを呼び起こすものでした。

南アフリカ「Rescue South Africa(RSA)」。日本へ出発する直前に空港にて
 

親日国トルコの海外支援チーム

被災地入りしたトルコ隊員たち南アフリカのRSAと前後して同じ宮城県利府町を拠点に活動していたのが,トルコの支援チームでした。先に現地入りしていた南アフリカチームが到着直後のトルコチームに熱湯を差し入れたところ,トルコの隊員が翌日にお茶のお返しをするなど,ベースキャンプでは両国隊員の心温まる交流も見られました。トルコの支援チームは22名の救助隊員と5名の医療関係者など合計32名から構成され,貨物専用機で機材(作業用車両3台含)を日本へ運び込み,3月20日に現地入りし,4月8日に撤収するまで宮城県多賀城市,石巻市雄勝町および七ヶ浜町にて,主に行方不明者の捜索活動に従事し,約3週間もの長期にわたり活動を行いました。ちなみにトルコは伝統的な親日国として知られており,1999年のトルコ北西部地震で最も迅速的かつ包括的に支援を行った国の1つが日本であり,トルコはその際の恩返しという気持ちで活動してくれました。

 
 

初めて海外に支援隊を派遣したインド

電信柱撤去作業を行うインド隊員たち インド政府は国家災害対応部隊(NDRF)46名を派遣しました。NDRFはスマトラ沖大地震・インド洋津波被害を受けて2005年に創設された組織で,今回の日本での活動が初の海外派遣となりました。NDRFは,3月29日から4月5日まで津波被害で町の中心部が壊滅した宮城県女川町で主に行方不明者の捜索活動に従事しました。被災者の要望によく耳を傾け,粘り強く捜索活動に取り組むNDRF隊員の働きぶりに,多くの被災者から賛辞と感謝の声が聞かれました。なお, 5月12日には,同じくスマトラ沖地震で多大な被害を蒙ったスリランカの復旧支援チーム(15名)が来日しました。

 

最初に医療支援チームを派遣したイスラエル

最新の医療機器について菊田政務官に説明する隊員たち 今回の震災で外国政府として初めて医療支援チームを派遣したのがイスラエルでした。3月27日に来日したイスラエル医療支援チームは,医師14名(内科,小児科,産婦人科など),看護師7名,その他技師,通訳など53名から構成され,多大な津波被害を受けた宮城県南三陸町に充実した検査機器を持ち込んでクリニックを開設。3月29日より,日本人医師,看護師とも緊密に連携しながら被災者の診療や血液検査,エックス線検査等を行いました。クリニックでの診療以外にも,妊婦や赤ちゃんの往診,周辺の避難所の巡回なども行い,隊員たちは医療活動を通して子どもを含む被災者とも積極的に交流しました。また,4月4日には菊田外務大臣政務官が現地調査に訪れ,意見交換を行いました。活動最終日には,被災者から感謝の気持ちを込めて医療支援チームの一人ひとりに折り鶴が贈られました。また,イスラエルから持ちこんだ医療機材は,南三陸町の医療復興のために寄贈されました。なお,イスラエルの医療支援チームの帰国後,ヨルダンタイが福島県に医療支援チームを派遣しました。

 

日本再生が国際社会への責務

これまで政府開発援助(ODA)などを通して世界の発展を支援してきた日本は,東日本大震災以後,世界から支援される国になりました。先進国だけでなく,多くの途上国からも惜しみない日本支援の手が差し伸べられています。松本外務大臣は,インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙への寄稿(4月30日~5月1日付)で,「世界各国の皆様からいただいた連帯・支援を糧に,より魅力的な国に生まれ変わることを約束する」と述べました。国際社会からの温かい激励と支援は,世界が日本を必要とし,その復興・再生への期待の証し。国際社会に感謝しつつ,今後,日本は一日も早く復旧・復興し,あらためて世界のリーダー国の一つとして,いろいろな形で国際貢献をつうじて「恩返し」ができるようにならなくてはなりません。

 
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