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Vol.26 2009年2月12日
ペルー~今も昔も日本人を惹きつける国

日本人がペルーに移住してから110年。これまで日本は、遺跡の発掘や調査などを始めとする様々な協力を通じて、ペルーの人々との信頼関係を築いてきました。今後着実な経済発展が見込まれているペルーと日本の関わりについて解説します。

日本人の憧れの旅行先

南米大陸の太平洋側に位置するペルーは、マチュ・ピチュやナスカの地上絵に代表される古代文明の遺跡があることで有名です。日本から年間3~4万人がこの国を訪れており、日本人にとって憧れの旅行先でもあります。面積は日本の約3.4倍、エクアドルやブラジル等5か国と国境を接しており、雨のほとんど降らない海岸地帯や6,000m級の山が連なるアンデス高地、アマゾンの密林地帯など、多彩な自然にも恵まれています。

ペルーの名産
 

アンデスの高地に暮らす先住民とジャガイモ

ペルー人は、大きく分けて先住民(47%)、先住民と移民の混血(40%)、欧州系移民(12%)、東洋系移民(1%)といわれています。先住民は、シベリアを経由して渡ってきたと言われる褐色の肌と蒙古斑を持つ人々です。今でも先住民の多くは、アンデスの高地の山間の村々で伝統的で穏やかな暮らしをしています。この先住民が栽培し、今では世界中に広まったのがジャガイモです。ペルーはジャガイモの原産地としても有名です。ペルーでは3,000種くらいあり、料理によってジャガイモを使い分けています。

 
 

豊富な鉱物資源と農水産品

またペルーは鉱物資源も豊富で、産出量も、世界で銀が1位、銅2位、亜鉛2位(2007年)など、多くの鉱種で主要な生産国となっています。農産物では、グリーン・アスパラガスの輸出量が2003年に世界第1位になり、その他の農産物の輸出量も拡大傾向にあります。水産資源も量、種類共に豊富であり、漁獲量は中国に次いで世界第2位になっています。

 

中南米で最初に国交を結び、移住した国

ペルーは日本が中南米で最初に国交を結んだ国であり、南米で最初の日本人移民先でもあります。現在、ペルーに暮らす日系人はおよそ9万人。世界でもブラジル、米国に次ぐ第3位の規模の日系人社会が形成されています。2009年は日本人がペルーに移住してから110年に当たる記念の年であり、日本国内でもペルーとの文化交流等様々なイベントが予定されています。

 

遺跡は先祖から受け継いだ守るべきもの

両国間の関係で忘れてはならないのが遺跡です。東京大学アンデス調査団が初めてペルーを訪問して以来、50年にわたり多くの日本人研究者がペルーの遺跡発掘に携わってきました。最初は、遺跡から出土した埋蔵品の展覧会を行うため、国外に持ち出すことについて住民の理解を得ることさえ困難でした。しかし、調査団が粘り強く、丁寧に説得し、展示会で得られた資金が更なる発掘や博物館の建設につながることを示すと、漸く住民たちの理解と協力が得られるようになりました。

 

ペルー人のアイデンティティに配慮した遺跡発掘調査

調査団は、単に遺跡を掘り起こすのではなく、地元の人々の雇用の機会を増やしたり、現地に観光資源にもなる博物館を建設したりと、ペルー人のアイデンティティを尊重しながら地域開発につながる調査・発掘を心がけました。その結果、日本の調査団は現地で非常に信頼されるようになりました。特にペルー中部から北部にかけて、遺跡調査の許可を得た日本の調査団により多くの遺跡が発掘されています。

ペルー
 
 

ガルシア大統領による日ペルー関係再構築

2006年に就任したガルシア大統領は、当選後直ちにフジモリ元大統領を巡る問題により影響を受けた日本との関係を再構築する方針を打ち出しました。ガルシア大統領は、かつて公立の小中学校で日系人と机を並べて勉強した経験を持っていましたので、日系人が勤勉で、規律を守り、家庭ではしっかり躾を受け、ペルー社会に貢献しようとしていることを理解していました。これまでペルーの日系人が築いてきたペルーと日本の信頼関係、日本による経済協力、日本企業による投資などの日本との関係の重要性を改めて国民に説明し、日本との関係を再構築していく考えを示しました。

 

両首脳の往来と日ペルー投資協定署名

最初に関係の活性化が行われたのは経済団体でした。両国政府もそうした意欲に応え、2008年3月には、ガルシア大統領が公式に日本を訪問しました。一方で日本企業は、鉱山開発のため豊富な鉱物資源をもつペルーへ進出したいという希望を持っていたので、投資環境を整備するための投資協定を結ぶことになりました。11月にはペルーが議長国を務めたAPECの際に、麻生総理と中曽根外務大臣がペルーを訪問し、首脳間で投資協定に署名しました。また、同じ首脳会談で麻生総理は、ペルーから、日本と経済連携協定を結びたいという希望が度々表明されていたことを受けて、日・ペルー経済連携協定(EPA)の交渉開始に向けて、前向きに検討していく考えを伝えました。

 

経済成長が確実視されているが、格差是正が課題

70年代から80年代にかけて、軍事政権下にあったり、経済危機に見舞われたり、ペルーは困難な時代を過ごしてきましたが、現在は確実な経済成長が見込まれる国として注目を集めています。2002年以降は、内需の拡大と輸出向け鉱産物の価格上昇によって、年平均5%以上の成長率を記録しています。しかし、中産階級が増えてきている一方で、山岳部やアマゾン湿地帯などを始め貧困層の多い地域も残されており、貧困対策、格差是正が課題となっています。

 

「万人に水を」プロジェクト

このため、ガルシア大統領がもっとも力を入れている政策の1つに「万人に水を」と呼ばれる政策があります。貧困緩和と格差是正のためには、まず、誰もが安全な水を手に入れることができ、汚水で川が汚染されないように、上下水道を整備したいという大統領の強い意向があります。日本は2008年度のペルーに対する有償資金協力4件のうち、3件を上下水道の整備に関する計画に貢献するために供与。ペルーの人々に安全な水を供給するための協力を積極的に行っています。

日本のODAプロジェクト
 
 

遺跡発掘・保存と観光振興:「天野ルート」の開発

両国は、ペルーの遺跡発掘・保存においても、これまで幅広い分野で交流と協力を深めてきましたが、プレ・インカ文明の研究に多大な貢献のあった天野芳太郎氏の功績を讃えるため、ペルー北部で日本が発掘した遺跡や博物館をつないだ「天野ルート」と呼ばれる観光ルートを開発する計画がペルーより提案されています。

 

多様性を大切にしつつ発展する元気な国を応援

ペルーは現在、ブラジルを始めとする中南米の近隣諸国との関係を強化する一方、諸外国との自由貿易協定(FTA)の締結を積極的に進めています。2009年2月には、最大の貿易相手国である米国との間にFTAが発効。また、2008年はAPECの議長国を務め、国際社会の中で自信と発言力を増してきています。日本との間では、環境・気候変動分野でも、「クールアース・パートナーシップ」に基づき相互協力を一層進めていくこととなっています。また、我が国からペルーに対しては、森林保全や、鉱山開発に伴う鉱害対策など、ペルーの抱える課題の解決に向けて今後更に協力していく姿勢を示しています。

 
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