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Vol.24 2009年1月28日
中国災害復興視察団の訪日~日本の経験と知識から学べ!

四川省大地震の後、中国政府は震災復興に関する日本の豊富な経験とノウハウを学ぶため、合計3回、総勢200名以上の視察団を日本に派遣しました。復興支援のみならず、日中間の人的交流の裾野を広げることにも役立っている中国視察団の訪日と日本の復興支援について解説します。

中国四川省における大地震

四川大地震被災地 日本から供与された緊急援助物資中国は日本と同様に地震の多い国です。過去においてもM7.0以上を記録する大規模な地震を何度か経験してきました。2008年5月12日、中国西部の四川省を震源とする大地震では、被災した面積が北海道の約1.2倍にあたる10万平方キロを超え、これまでの死者は6万人以上、被害者数は累計で4,600万人以上に上るという深刻な被害が出ています(2008年9月現在)。

 
 

日本による緊急援助

この中国の震災被害に対し、各国は様々な支援の手を差し伸べました。日本政府は、緊急援助として総額5億円相当の無償資金協力と緊急援助物資の供与を決定(のちに、さらに5億円を上限とする追加支援を発表)。テントや毛布、人工透析器等の医療器材、浄水器、飲料水等を輸送しました。また日本が派遣した国際緊急援助隊は、中国政府が受け入れた初めての外国の緊急援助隊でした。そして、この日本の援助隊による献身的な活動の様子や、遺体に対して敬意を表する姿がTVや新聞等を通じて中国全土に報じられると、中国国民に温かい感動と大きな反響を呼び、日本に対する親近感が中国国民の間に広がりました。

緊急援助隊の中国新聞記事
 

中国側のニーズに沿った復興支援を

災害直後の緊急支援に引き続いて日本が取り組んだのが復興支援です。日本は、阪神・淡路大震災や、新潟県中越地震などを始めとする震災復興の経験から得たノウハウ、技術等が、中国の復興に役立つと考え、ソフト面を中心とする具体的なプロジェクトの可能性を検討した上で6月末に、国内の関係省庁からなる政府調査団を中国に派遣して現地事情を調査するとともに、中国中央政府や四川省人民政府と協議を行い、中国側が求めるニーズを探りました。

 

中国からの要請メニューの提示

その結果、日本の震災復興計画を参考にして、1つの全体計画と5つの柱( (1)健康・福祉 (2)社会・文化 (3)産業・雇用 (4)防災 (5)まちづくり)からなる協力案を作成。これに対し中国側からは、被災者の「心のケア」支援や二次災害対策、学校・病院等の復旧、防災教育、水道等のライフライン復旧支援、建築物や道路の耐震化、瓦礫等の災害廃棄物対策など、約50項目について協力の要請がありました。

 
 

中国視察団の訪日

復興に向け作業が進む中、中国側から新たに、日本の経験を学ぶ機会が欲しい、実際に復興に携わる中央政府の幹部や被災地の地方幹部などを日本に派遣して、日本のノウハウを吸収したいとの要請がありました。日本側はこれを快諾。7月27日から1週間、仇保興(きゅうほこう)・住宅都市農村建設部副部長(副大臣クラス)を団長とする計44名の視察団が訪日し、東京、新潟、兵庫を訪れました。

 

具体的な対応策や技術の共有

中国視察団との意見交換会(長岡市)視察団は、まず外務省で、各分野の復興を所管している関係省庁の専門家から、震災時の各省庁の役割や、防災施設の機能、瓦礫等のリサイクル方法、土砂崩れの後の植林方法、今後の地震に備えた防災対策などの多岐にわたる分野について、具体的な対応策や技術・ノウハウの説明を受け、専門的かつ実践的な質疑応答を行いました。新潟では、中越地震の被災地である山古志村を訪れ、山河地域での震災の復興事例を視察するとともに、地元の被災者、自治体担当者などとの意見交換を行いました。兵庫・神戸では、産業の復興やインフラの整備、コミュニティレベルの取組など、都市部での震災に対する復興策について学びました。また、いずれの地域でも、地元住民から視察団に対し、温かい励ましの声が寄せられました。

 

中国指導者層も評価した視察団報告書

具体的な対応策や技術に関する説明(兵庫)この視察団が作成した報告書は、中国政府指導者にも届けられ、政府指導層から、大変高く評価されました。中国政府は日本に対し、改めて感謝の意を表するとともに、さらに追加で160名を2回に分けて送りたいとの申し入れがありました。そして第2陣の視察団が12月、第3陣が1月に訪日し、同様に、東京と、新潟・兵庫の被災地を視察・意見交換しました。

 

逼迫した課題を共有し、連帯感と相互理解が進む

また、この復興視察団の派遣は、「日中中堅幹部交流」の一環として位置づけられました。2008年5月に胡錦濤主席が訪日した際に行った「日中両政府の交流と協力の強化に関する共同プレス発表」の中で、日中両国の関係強化のため、両国の将来を支える中堅幹部の交流を進めることについて一致していました。その直後に四川省の大地震が起こったために、図らずも、実際に復興事業に携わる中国の中堅幹部たちがノウハウを学びに来るこの視察団を日中両国は「日中中堅幹部交流」の第1弾と位置づけました。神戸や新潟などの人々と四川省の人々の地域レベルの交流が生まれる傍らで、震災復興という逼迫した現実の課題を共有することにより、両国中堅幹部の相互理解が大きく促進しています。

 

東アジアの防災協力体制づくり

四川省の大地震のような大規模災害は、今後も東アジアにおいて起こりえるものです。被害を最低限に食い止めるためには、各国それぞれが防災対策を強化するとともに、近隣諸国間の協力が不可欠になると考えられています。このため、ここ数年、防災協力は首脳レベルの会合でもしばしば取り上げられる議題になっています。2008年12月に開催された日中韓首脳会議では「三国間防災協力に関する共同発表」が行われました。いま、東アジア各国は、近隣諸国が同じ意識を持ち、災害に対して速やかに対応するための仕組みを作っていくことによって被害を最小限に食い止める努力をしています。

 
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