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Vol.23 2009年1月14日
日中韓首脳会議~三国間協力の推進

2008年12月13日、日本の麻生総理は、中国の温家宝国務院総理、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領を招き、日中韓首脳会議を福岡において開催しました。「第1回日中韓サミット」とも称されるこの会合の意義について解説します。

日中韓:EU、米国に次ぐ経済力

日本と中国と韓国は、アジアの隣国同士であるとともに、世界における主要国でもあります。現在、日中韓3か国のGDPは世界の16.7%で、EU、米国に次ぐ規模になっています。また、三国間の貿易の割合は非常に高く、日本の輸入は中国からが第1位、同様に、中国の輸入は日本からが第1位、韓国では、輸出入の1位は中国、輸入の2位は日本からとなっています。このように三国は相互に深い関わりを持っています。(数字はすべて2007年現在)

世界のGDP(2007年) 世界の貿易額(2007年)
 
日中韓の貿易関係(2007年)
 
 

ASEAN+3を利用した首脳会合の積み重ね

日中韓3か国の首脳会議は、これまでにも例がなかったわけではありません。ASEAN+3の「3」である日中韓は、1999年以来、毎年ASEAN+3の機会を利用して首脳会議を開いています。そしてこの首脳会合が積み重ねられていくうちに、その首脳会議の成果をフォローしたり、具体化するために、財務大臣や経済産業大臣、環境大臣などによる閣僚級会合や、実務者レベルの専門家会合なども開催されるようになりました。現在では、様々な分野で定期的に三国間協力について議論を重ねています。

 
 

初の単独開催

こうして積み上げられた信頼と実績を背景に、ASEAN+3の機会を利用するのではなく、独立した首脳会合を開催しようという機運が高まってきました。そして2008年12月13日、麻生総理は、中国の温家宝国務院総理、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領を福岡県大宰府市の九州国立博物館に招き、ついに初の単独開催となる日中韓首脳会議が実現しました。

 

世界へのインパクト

麻生総理は、首脳会談終了後の共同記者会見の場で、この会合を「第1回日中韓サミット」と呼び、日中韓3か国の首脳が定期的に集まり、協力強化を図っていくことは「歴史の必然」であると述べました。また、この会合が、アジアのみならず世界の安定と繁栄につながる歴史的意義を持つものであり、経済力の大きさから見ても、この三国の協力体制が世界に与えるインパクトは大きく、その意味でも画期的な会合であると述べました。

 

パートナーシップに関する共同声明

日中韓首脳会議の成果は、4つの文書にまとめられましたが、その中で最も重要なのが、今後の日中韓関係の基礎となる考え方を示した「三国間パートナーシップに関する共同声明」です。この共同声明では「開放性、透明性、相互の信頼、共益及び多様な文化の尊重」という原則の下、未来志向で協力を進めていくという姿勢を示しています。3か国の首脳が合意し、会議終了後に署名を行いました。

日中韓首脳会議の成果文書
 

「未来志向」で協力の基盤を強化する

日中韓会合の様子「未来志向」とは、3か国が集まる場では未来の可能性を優先し、できるところから友好関係を増進していこうとする考え方です。この声明で、将来の三国間協力の促進のためには、日中韓の場では2か国間の個々の問題に捕らわれることなく、将来を見据えた前向きな姿勢で強固な基盤を築いていくという3か国の強い意志が現れています。そこにこの会合の最大の意義があります。

 
 

日中韓行動計画

この共同声明でうたわれた原則論に基づき、三国間協力を具体化するものが、「日中韓行動計画」(2つ目の文書)です。例えば環境分野では、気候変動問題に関する三国の協力の強化が確認された他、黄砂による大気汚染、漂流・漂着ゴミなどによる問題が指摘され、保健分野では鳥インフルエンザに加え、今後は食の安全についても議論していくことで一致しました。経済分野では「日中韓ビジネス環境改善アクション・アジェンダ」を公表、知的財産の保護等、諸対策を講じていくことが確認されました。これらの内容は2~3年おきに改訂し、各分野の進展状況を確認していく予定です。

 

国際金融・経済問題

また、金融の分野でも共同声明(3つ目の文書)を発出しました。現下の国際金融情勢に対し参加国が協力して取り組む姿勢を打ち出したことは、東アジアの繁栄と安定につながります。具体的には、「円と人民元」、「円とウォン」など、異なる通貨の間で資金を融通し合う「通貨スワップ」の増額を決定。さらに、東アジア地域における通貨のセーフティネットである「チェンマイ・イニシアティブ」の強化が重要である等の点で三首脳が合意しました。貿易関連では、経済縮小につながる保護主義と闘い、WTOドーハ・ラウンドの早期妥結を目指して努力するとともに、3か国が足並みを揃え、新たな貿易障壁や輸出制限を設けないようにする姿勢を示しています。

 

三国間の防災協力

さらに今回、三国間首脳会議の場で新たに取り上げられたのが、防災協力です。中国は日本と同じく地震の多い国ですが、風水害の被害は余りありません。韓国では反対に、地震による被害が少ない代わりに、台風を始めとする風水害の被害が深刻です。日本はどちらについても被災と復興の経験があるため、中韓両国は日本から多くを学びたいとして非常に熱心な姿勢を示しています。3か国はこの防災協力に関して共同発表(4つ目の文書)を行い、今後防災担当大臣の会議を毎年開催していくことで合意しました。

 

世界の関心を集める日中韓

また、北朝鮮を含む地域情勢と国際情勢についても意見交換を行い、六者会合の際に日中韓三国が緊密に連携していくことで一致しました。こうした一連の成果に対し、中国のメディアは、「日中韓は当該地域における重要な国」としつつ共同声明の全文を掲載、韓国のメディアも3か国が包括的協力の枠を公式に用意したことは「意味がある」等、大々的に報道しました。また、欧米主要紙は、いずれもこの会合を取り上げ、アジア地域の動きに対して異例の関心を示しました。

 

新しい三国間協力構築に向けて

麻生総理が「歴史の必然」と称したこの日中韓サミットは、日中韓協力を新たな次元に押し上げるとともに、三国間協力を強化していくとの力強いメッセージを世界に向けて発信したという点でも意義深いものです。今後日中韓サミットは、年1回定期的に開催していくことになり、次回は中国での開催となります。

 
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