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Vol.173 2018年8月27日
さらに深まる絆 ― 日・スペイン外交関係樹立150周年

2018年は,日本スペイン修好通商航海条約締結150周年に当たる節目の年です。外交関係が樹立してから150年,現在の日本とスペインの絆は,より強固で深いものになっています。この機会に,スペインという国と,両国間の交流・友好関係について紹介します。

スペインとは

スペインスペインは,イベリア半島に位置しており,西はポルトガル,北東はフランスと国境を接しています。面積は日本の約1.3倍の50.6万平方キロメートル,人口は約4,646万人(2016年7月)。スペインとアフリカ大陸の間に横たわるジブラルタル海峡は,両岸の最短距離がおよそ14kmと大変近く,古来ヨーロッパとアフリカを結ぶ最短ルートとして活用されてきました。かつ,地中海と大西洋を結ぶ要所であり,スペインは,ヨーロッパ,アフリカ,アジアなど,様々な地域の文化と人々が混じり合う地として発展してきた歴史があります。
わかる!国際情勢 Vol.105 スペイン~フラメンコの国から,先端技術を有する欧州の大国へ

 

世界の中の「スペイン」

海洋国家・スペインは,16世紀には世界で初めて,地球を一周する貿易路を開拓・支配しました。そのときに各地に伝わったスペイン語は,今でも世界に大きな影響力を示しています。現在,世界におけるスペイン語圏の人口は約5億人と言われており,スペインのみならず,中南米18ヵ国,アフリカの赤道ギニアの他,米国のヒスパニック系アメリカ人の人々の間でも日常的に使われています。そのためスペインは,特に中南米地域への関わりが深く,ビジネス面でも中南米へのゲートウェイとしてその存在感を示しています。またスペインは,世界屈指の「観光大国」としても知られています。ユネスコ世界遺産登録数は,イタリア,中国に次いで世界第3位の47件(2018年7月現在)であり,「アントニ・ガウディの作品群」や「グラナダのアルハンブラ,ヘネラリーフェ,アルバイシン地区」,「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」など,人気の観光地を多く有しています。スペインの歴史的遺産や文化,自然,食などを求めて訪れる外国人観光客の数は,年間およそ8200万人(2017年)に上り,スペインの人口(4650万人)を上回る規模になっています。

アルハンブラ宮殿から見るアルバイシン地区の景観(左)と,サグラダ・ファミリア(右)
 

先端産業・技術を有する国

スペインの高速鉄道AVE現代におけるスペインは,先端産業や科学技術分野において,高い国際的競争力を有しています。スペインの発電構成における再生可能エネルギー比率は約40%(2016年)と,主要先進国の中でも非常に高い水準にあります。中でも風力発電は全電力の20%以上をまかなっており,かのドン・キホーテが突撃した「風車」は,今やスペイン人の生活にとって不可欠な「エネルギー供給装置」となっているのです。さらに,集光型太陽熱発電容量でもスペインは世界第1位であり,まさに「再生可能エネルギー先進国」として世界をリードしています。また,高速鉄道に関する高い技術力を持ち,1992年のセビリア万博に合わせて開業した高速鉄道AVEは,総延長距離が2800kmと,中国(9900km),日本(3300km)に次いで第3位,ヨーロッパではフランスを抜いて1位,人口当たりの路線距離では,世界第1位となっています。

 

日本皇室とスペイン王室の交流

スペインは長い王政の歴史を持つ,議会君主制国家です。スペイン王室と日本皇室は,長年にわたり交流を深めており,現在の両国の友好関係の大きな礎となっています。天皇陛下は4回,皇太子殿下は6回,スペインを御訪問,2014年に生前退位をされたフアン・カルロス1世は7回,フェリペ国王陛下は皇太子時代に3回,そして国王即位後の2017年4月に日本を御訪問になりました。2017年の訪日時には,天皇皇后両陛下がフェリペ6世スペイン国王陛下とレティシア同王妃陛下と御会見になり,宮中晩餐を開催。また安倍総理夫妻も両陛下と懇談し,夕食会を開催するなど,日本とスペイン王室の絆をより深める機会となりました。

フェリペ6世スペイン国王陛下及びレティシア同王妃陛下と懇談する安倍総理夫妻
 

「家康公の時計」が刻む友好の歴史

久能山東照宮博物館に保管されている「家康公の時計」この訪日の際に,天皇皇后両陛下は,フェリペ6世スペイン国王陛下・レティシア同王妃陛下とともに静岡を日帰りで御訪問になりました。そこでご覧になったのが,両国にゆかりのある「家康公の時計」です。今からおよそ400年前,1609年に,スペインのガレオン船が房総半島で座礁した際,村民に救助された当時の前フィリピン総督であったビベロ一行は,駿府の徳川家康公と面会し,その後の航行のための船の貸与など,手厚い待遇を受けました。その返礼として,スペイン国王フェリペ3世は,当時国王からの敬意を示す最高の贈り物であった機械式時計を贈呈しました。その時計が現在,静岡県久能山東照宮博物館に保管されています。国指定重要文化財であるこの「家康公の時計」は,400年の時を越えて,スペイン国王との“再会”を果たしたのです。

 

スペインの中の「日本」,日本の中の「スペイン」

両国の絆は,私たちの身近なところにも数多く存在します。両国の伝統文化における交流も盛んで,例えばスペインの“国技”である闘牛では,これまで3名の日本人闘牛士が活躍しています。一方日本の武道である空手は,スペイン全土で約8万人の愛好家がおり,ファン・カルロス前国王陛下も若いころ空手を学んでいました。現在マドリードに,国際空手連盟の本部があります。また,2010年にユネスコ無形文化遺産に登録されたフラメンコについても,日本はスペインに次いでフラメンコが盛んな国と言われており,フラメンコ教室は日本全国に650以上,学習者は8万人に上ります。

 

2つの「3月11日」

偶然がもたらした両国の絆もあります。2004年3月11日は,アルカイーダによるマドリード列車爆破事故の日として,スペイン国民の記憶に深く刻まれている特別な日です。2011年3月11日は,東日本大震災が発生した日であることから,スペインでは「3月11日」は,同事故と東日本大震災をともに追悼する日となっています。東日本大震災に際しては,スペイン各地からたくさんの温かい支援の表明がありました。当時皇太子であったフェリペ国王陛下は,福島第一原発事故後の対応に従事した警察,消防,自衛隊の隊員に対して,スペインで権威ある「アストゥリアス皇太子賞」を授与し,「フクシマの英雄」としてその行動を称賛しました。

 

外交関係樹立150周年に向けて

日本とスペインは,1868年に修好通商航海条約を締結し,外交関係を樹立。以降,友好的な関係を築いてきました。近年では,2013-14年の日本スペイン交流400年を通じて関係を強化。さらに本年2018年は,外交関係樹立から150年という節目の年を迎え,この機会を通じて両国では,さまざまな記念事業が行われています。日本では記念行事として「プラド美術展 ベラスケスと絵画の栄光(東京:2月24日~5月27日,兵庫:6月13日~10月14日)」を開催。国立西洋美術館で行われた開会式には,フェルナンド・ガルシア・カサス・スペイン外務・協力省長官やミゲル・ファロミール・プラド美術館長が出席し,挨拶を行いました。スペインでは,マドリード市カナル劇場にて「平成中村座スペイン公演(6月27日~7月1日)」が連日満員御礼の大盛況で行われ,歌舞伎という日本の伝統文化をスペイン国民が広く知るきっかけとなりました。両国は,政治,経済,学術,文化など,多くの分野で友好を深めるとともに協力関係を培ってきました。日本とスペイン両国は,この150周年という機会を通じて,両国の間のつながりが今まで以上に深まるよう,尽力していく方針です。

日スペイン外交関係樹立150周年公式ロゴ(左),「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」開会式(中),同内覧会における,ガルシア・カサス・スペイン外務・協力省長官と堀井学政務官(右)
 
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