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Vol.154 2017年5月23日
タイという国 - 日タイ修好130周年

美味しいタイ料理に,温かい国民性,そしてバンコクやプーケットをはじめとする魅力的な観光地…。日本人にとってタイは,大変身近にあり,かつ人気の高い国のひとつです。その独自の文化と歴史は,日本との共通点も多く,両国はこれまで様々な場面で親交を深めてきました。日本とタイは,1887年に国交を結んでから今年で130年目を迎えます。今回は,改めてタイという国の魅力と,日本との友好関係について解説します。

タイとは

タイ王国タイは,西と北をミャンマー,北東をラオス,東をカンボジア,南をマレーシアと国境を接する,東南アジアの中央に位置する国家です。面積は約51万4000平方キロメートルと日本の約1.4倍,フランスとほぼ同じ大きさに当たります。人口は約6,593万人(2010年タイ国勢調査)で,国民の9割以上が仏教を信仰しています。タイは東南アジアでは唯一植民地支配を受けずに,長い王朝の歴史を紡いできました。現在もタイ王室は国民の篤い信頼と尊敬を集めており,2016年10月に,70年間にわたって敬愛の対象であったプミポン・アドゥンヤデート国王陛下(ラーマ9世)が崩御された際には,国中が喪に服し,深い悲しみに包まれました。

 

知っているようで知らないタイ (1) タイ料理の特徴

古来より東西交易の拠点として発展してきたタイは,インドや中国などから影響を受けつつ,独自の文化を育んできました。中でも有名なのが食文化,いわゆる「タイ料理」です。タイ料理と言えば一般に「辛い・酸っぱい」というイメージがあるかもしれませんが,実は地方によって異なる特色があることをご存じでしょうか。ここでは大きく4つの地方のタイ料理の特徴について紹介します。

北タイ料理 東北(イサーン)料理

山に囲まれ小さな盆地に,豊富な水源を利用した米の栽培が盛ん。白米ではなく主にもち米(カーオ・ニャオ)を食べる。料理は脂が多めながらもマイルドな味。ハーブを多用し,もち米に合う料理が多い。

代表的な都市:チェンマイ
代表的な料理:カオソーイ(カレーヌードル),サイウア(ハーブソーセージ),丸いお膳に色々な料理を載せて取り分ける「カントーク」

東北地方には広大なコーラート高原が広がっており,農家や動物を飼う家庭が多く,加えて川魚などもよく獲れる。珍しい食材(赤アリやバッタ等)も食する。味つけは一般に濃いめで,辛いと酸っぱいのバランスが取れている。北タイ同様,主にもち米を食べる。

代表的な都市:ウドンタニー,コラート
代表的な料理:ソムタム(青パパイヤのサラダ),ラープ(ひき肉サラダ),ガイヤーン(鶏炭火焼き)

カオソーイ ソムタム
   
中部料理 南タイ料理

代々都が置かれてきた地域のため,宮廷料理が発達したほか国内各地方や外国の食文化の影響を大きく受けているとされる。(油で揚げたり炒めるのは中国からの技法等)。私たちがよく知るタイ料理は,ほぼこの中部料理に当てはまる。酸っぱい,しょっぱい,甘い,辛いのバランスが良いのが特徴。

代表的な都市:バンコク
代表的な料理:グリーンカレー,空芯菜炒め,トムヤムクン

海に囲まれているため,海の幸が豊富。ガピという小エビを塩漬けして発酵させた調味料が主に使われているので味が濃く,かつ辛く,酸味があり,甘さ控えめなのが特徴。一年を通して高温で雨が多く,生臭さを消し体の不調を直すスパイス(ターメリック等)を使った料理も多い。

代表的な都市:プーケット
代表的な料理:マッサマンカレー(スパイシーなイエローカレー),カオヤム(ライスサラダ)

グリーンカレー マッサマンカレー(「世界で最も美味しい料理50選」(CNN)にも選ばれた,世界的人気のタイ料理)

また,タイ国商務省では,タイ料理の魅力をさらに知ってもらうため,世界にあるタイ料理レストランに対して「タイ・セレクト」「タイセレクト・プレミアム」という認定基準を設定。本場のタイ料理をきちんと再現している質の高いタイ料理店に対して認定書を付与することで,タイ・ブランドを振興する取り組みをしています。

 

知っているようで知らないタイ (2) マンゴーの食べ方

年間の平均気温が約28℃という温暖な気候のタイでは,南国フルーツが豊富に採れます。中でもタイのマンゴーの美味しさは格別で,1年を通して食べられますが,甘みが強まる暑季の4~5月が旬と言われています。そんなマンゴー王国のタイでは,マンゴーの食べ方も多種多様。日本でマンゴーと言えば,ほとんどが黄色く熟して甘みが強いもののことを指しますが,タイで栽培されているマンゴーの種類は,なんと60以上。甘みの強いものから,熟す前の酸っぱい状態で食べるもの,熟す前でも甘くコリコリとした食感のものなど様々あり,生で食べる以外にも,もち米と一緒に食べる(「カオニャオ・マムアン」),塩水に漬けて漬物のように食べる,青いパパイヤのように細く切ってサラダに入れる,スライスして甘辛いディップソース(「ナムプラー・ワーン」)に漬けながら食べる等,様々な食べ方があります。

(左から)タイのグリーンマンゴー,もち米と食べる「カオニャオ・マムアン」,「ナムプラー・ワーン」とスライスしたマンゴー
 

知っているようで知らないタイ (3) 日本にゆかりの深いタイ文学

タイでは近年,現代作家の活躍が著しく,小説をはじめとする多くの作品が発表されています。中には日本を舞台とした作品もあり,例えば,日本に留学している青年と王族の女性との悲恋を描いた「絵の裏(カンランパープ)」(1937年)は,タイ近代小説の原点とも言われる有名な作品です。また,日本人将校が主人公の「メナムの残照(クーカム)」(1969年)(トムヤンティー著)は,タイの人々の間で非常に人気が高く,これまで幾度もドラマ化,映画化され,タイの親日ブームを牽引したと言われています。映画では,日本人ケンジとタイ人ノイの孤独なふたりを描いたラブストーリー「地球で最後のふたり(ルアンラック・ノーイニット・マハーサーン)」(2003年)や,「残り香を秘めた京都(キョウト・ソーン・クリン)」(2014年)などがあります。最近では,日本をロケ地とした映画やドラマも多く作られており,佐賀を舞台にしたドラマ「きもの秘伝(ゴン・キモノ)」は,タイのヒットドラマとなり,このドラマの影響で佐賀を訪れるタイ人が急増する要因の一つとなりました。

 

日本とタイの交流史

文献によると,日本とタイの交流は,600年前にさかのぼると言われています。当時は,御朱印船による対タイ交易を通じて,首都アユタヤに日本人町が形成されていました。18世紀に入り,欧米列強によりアジアの独立国が次々と植民地化されていく中,日本は明治維新により近代国家建設を開始。それとほぼ時を同じくして,アユタヤ朝,トンブリー朝を経て,ラッタナコーシン朝となったタイ王国は,ラーマ5世の下で国家の近代化を図りつつ独立を維持しました。まさにこの時期,日本とタイは正式な国交を開始します。すなわちこれが,今から130年前の1887年9月に署名された「日暹修好と通商に関する宣言」という条約の締結です。この宣言は,両国が国交を結び,通商・航海を奨励し,将来の条約をもって詳細を規定するという簡単で抽象的な内容のものでしたが,これが明治の日本政府が東南アジア諸国と外交関係を結んだ,最初の条約となりました。

 

日本皇室とタイ王室の緊密な関係

日本とタイとの交流で大きな役割を果たしているのが,親密な皇室・王室交流です。日タイ両国の関係は,それぞれの国民から敬愛を集める皇室と王室の親密な関係を基礎にしていると言っても,過言ではありません。天皇皇后両陛下は,御即位後初の外国訪問として1991年9月にタイを御訪問。今年3月には,天皇皇后両陛下がタイへお立ち寄りになり,前年に崩御されたプミポン国王陛下が,日本とタイの友好親善の増進のため,非常に大きな役割を果たされたことに敬意を表し,御弔問されました。タイの人々は,タイ王室に対するのと同様に,日本の皇室に対しても尊敬の念と関心を抱いています。例えば,淡水魚の「プラー・ニン(ティラピア)」が,天皇陛下が皇太子時代に,食生活におけるタンパク質不足を補うためにタイ国民へ贈られた魚であることを,タイの人々は今もしっかりと覚えているのです。

 

日本とタイの“今”

代々木公園で行われる「タイ・フェスティバル」の様子日本とタイの関係は,ここ数年でさらに大きく発展しています。現在タイは,海外進出をする日系企業の一大活動拠点となっており,日本からタイへの訪問者数は年間およそ140万人(2016年),世界有数の在留邦人社会を有していることからも,タイという国は日本と日本人にとって,非常に身近で欠かすことの出来ない存在になってきています。また,代々木公園で5月初旬に行われる「タイ・フェスティバル」には,毎年多くの日本人が足を運んでおり,日本における“各国フェア”の先駆けとして,すっかり定着しました。他方,タイ人にとっても日本に対する親近感は年々高まっており,日本国内に居住するタイ人の数は,約4万7千人に達しています。タイから日本への訪問者数についても,2013年にタイ人の査証の免除を開始してから急増し,2016年には約90万人に上るようになりました。

 

日タイ修好130年を迎えて

日タイ修好130周年の公式ロゴ・マーク(左)と,ゆるキャラ「ムエタイシ」(右)2017年は,日本とタイが国交を結んでから130年目にあたる節目の年です。これを記念し,本年を「日タイ修好130周年」とし,両国で様々な記念事業を行う予定です。公式ロゴ・マークは,日タイ両国で公募した結果,東京都在住の高橋正広さんの作品に決定。井の頭恩賜公園の近くに暮らし,園内で飼育されていたタイから贈られた象の「花子」に親しみを感じていた高橋さんは,「来日した時の2才ほどの可愛い小象が,日本の桜の下で遊ぶ様子を思い浮かべ,さらに両国のシンボル的なイメージを,無限大記号の形でつなぎました」とコメントを発表。このマークにより,両国の良好な関係が,これからも末永く続くことを表現したとのことです。またこの130周年の機会に,これから目に触れる機会が増えそうなのが,昨年のゆるキャラグランプリで海外部門1位を獲得した「ムエタイシ」です。彼は,日タイ友好関係促進のため,在タイ日本大使館を中心に発案されたご当地ゆるキャラですが,今年はさらに活躍の場を広げ,一緒に130周年を盛り上げていってくれることでしょう。このように,日タイ修好130周年に関する様々な機会を通じて,両国のこれまでの友好関係がさらに深まっていくことが期待されています。

 
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