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Vol.135 2015年12月3日
スウェーデンという国 - さらなる友好関係の構築に向けて

2015年10月,日本人研究者2名がノーベル賞を受賞し,12月にはスウェーデンで授賞式が行われます。これまで日本とスウェーデンは,緊密な王室・皇室関係や活発な要人往来をはじめ,伝統的に友好関係を築いてきました。今回はスウェーデンという国について,改めて紹介をします。

スウェーデンとは

スウェーデン王国スウェーデンは,スカンジナビア半島に位置する,社会保障や環境問題で世界をリードしてきた欧州の大国です。人口は神奈川県よりやや多い約975万人,面積は日本の1.2倍の約45万平方キロメートル。気候は沿岸を流れるメキシコ湾流の影響もあり,緯度のわりには穏やかで,四季も比較的はっきりと分かれています。ただし北極圏以北では夏には太陽の沈まない白夜になり,冬には太陽がまったく昇らない時期もあります。経済面においては,GDP(国内総生産)は5,701億ドル(一人当たり58,491ドル,日本の1.6倍)と北欧最大,ODA(政府開発援助)は,一人当たりの予算額で世界トップレベルに位置しています。また,ノーベル賞ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)などを通じた国際的発信力を有しており,特に自動車や通信機器,家具,ファッション等の分野で,技術・産業力に秀でた国際企業を多数有しています。

首都ストックホルムとスウェーデン北部で見られるオーロラ
 

私たちの身近にある「スウェーデン」

スウェーデンの人々は,一般に日本人に近い気質であると言われています。例えば,シンプルを美となすことや,自然を愛し,共生していこうという姿勢,グループ内の和を尊重し,謙譲の美徳があるところなど,数々の共通点があります。日常生活の面では,スウェーデンでも日本のように,室内では靴を脱いで過ごします。スウェーデンを代表する食べ物には,ミートボール,マッシュポテト,シュールストレミング(独特の風味を有するニシンの塩漬け)などがあり,シナモンロールなどの甘いお菓子を食べながらコーヒーや紅茶を楽しむ「フィーカ」という時間があることも知られています。

スウェーデン発祥と言われるシナモンロールとスウェーデン料理の代表・ミートボール
 

世界的に有名な「メイド・イン・スウェーデン」

その他にも,私たちのまわりには,スウェーデンに由来があるものがたくさんあります。例えば,「長くつ下のピッピ」(アストリッド・リンドグレーン),「小さなバイキング」(ルーネル・ヨンソン),「ニルスのふしぎな旅」(セルマ・ラーゲルレーフ)など,日本でも有名なこれらの児童文学の作家はスウェーデン出身です。ポップ音楽の分野では,1970年代のABBA,1980年代のEurope,1990年代のAce of Base やThe Cardigansなど,人気アーティストを多数輩出しています。ファッション・インテリアの分野でも,北欧デザインの人気は高く,数多くのスウェーデンのメーカーが世界に進出しています。またスウェーデンを代表するスポーツとしては,アイスホッケー,スキー,スケートなどのウィンタースポーツが特に有名であり,1912年のストックホルム・オリンピックは,日本が初めて参加したオリンピックとして私たちの記憶に刻まれています。

「長くつ下のピッピ」とストックホルムのスキー場
 

ノーベル賞の誕生

アルフレッド・ノーベルの肖像スウェーデン由来のものとして,世界中で広く知られているのが「ノーベル賞」です。ノーベル賞は,ダイナマイトの発明者であるスウェーデンの化学者,アルフレッド・ノーベルの遺言により創設された賞であり,平和賞以外は毎年スウェーデンで選考,授賞式が行われています(平和賞の選考,授賞式はノルウェーで実施)。日本人はこれまでに24名が受賞(元日本国籍の受賞者を含む)。2012年には山中伸弥氏が生理学・医学賞,2014年には赤﨑勇氏,天野浩氏,中村修二氏が物理学賞を受賞し,2015年には梶田隆章氏が物理学賞,大村智氏が生理学・医学賞を受賞したというニュースが,日本国中を沸かせました。

 

スウェーデンという国の独自性

スウェーデンは,19世紀初めのナポレオン戦争以来,200年にわたり戦争に参加していません。2014年には,平和維持200周年を迎えました。第二次世界大戦以降も中立政策ないし軍事非同盟政策を維持しており,NATOにも非加盟です。また1995年にはEUに加盟しましたが,ユーロは導入していないなど,独自性を保持しています。一方で,例えばアフガニスタンにおいてはマザリシャリフ地域のPRT(地域復興支援チーム)を担当するなど,テロ対策や欧州の安全保障に関しては積極的に役割を果たしています。

 

平等な社会を目指して

スウェーデンは社会保障制度が充実していることでも知られており,社会保障給付と国民負担の水準は,いずれも世界最高水準に達しています。日本の基礎年金制度や認知症高齢者ケアにおけるグループホームの導入なども,スウェーデンの仕組みを参考にしたと言われています。また,スウェーデンでは女性の社会進出が目覚ましく,専業主婦は女性の労働人口のわずか2%。2014年の総選挙では,議員数349人のうち,女性国会議員は152名(全体の43.5%)にも上り,閣僚では24人中12名が女性という構成になっています。さらにスウェーデンは早くから環境問題に取り組んでおり,1972年には第一回国連人間環境会議(ストックホルム会議)を主催しました。現在は気候変動対策に国を挙げて取り組んでいます。

 

日本の皇室とスウェーデン王室

日本とスウェーデンは,1868年に「大日本国瑞典国条約書」が締結されたことにより,外交関係を開始。1873年には,岩倉遣欧使節団がスウェーデンに滞在。以来両国は良好な関係を築いてきました。外交関係において特徴的なのが,スウェーデン王室と日本の皇室の緊密な関係です。スウェーデン王宮現在のカール16世グスタフ国王は,これまでに計16回訪日されています(2015年11月現在)。日本からも,天皇皇后両陛下が1985年(当時は皇太子同妃両殿下),2000年及び2007年にスウェーデンを御訪問され,2010年6月には,ヴィクトリア皇太子殿下御成婚式への御出席のため,皇太子殿下がスウェーデンを御訪問されました。

 

日本・スウェーデン関係

政務レベルでは,ラインフェルト首相(2008),小泉総理(2006)の両首脳(いずれも当時)の往来の他,現ロヴェーン政権のもとではアリーン国会議長ヴァルストローム外務大臣など,複数の閣僚が相次いで訪日しています。また,2013年5月までスウェーデンが議長国を務めた北極評議会では,同年日本の常任オブザーバー資格が承認され,北極圏に係る共通の課題に関し緊密に連携しました。今後,日本が北欧・バルト地域全体を俯瞰する外交を進める上でも,スウェーデンとの関係は重要です。2018年に,日本とスウェーデンは,外交関係樹立150周年を迎えます。その記念すべき節目に向けて,両国は二国間関係をさらに深化させ,発展させていきます。

「アリーン・スウェーデン国会議長の表敬を受ける安倍総理大臣(2015年9月)(写真提供:内閣広報室)
 
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