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Vol.132 2015年10月9日
ラオスという国「日ラオス外交関係樹立60周年」

2015年,日本とラオス外交関係樹立60周年を迎えました。近年著しい経済成長を遂げているラオスは,メコン地域の安定と平和の鍵を握る国として,国際社会からの注目を集めています。今回は伝統的な親日国であるラオスという国と,日本とラオスがこれまでに築いてきた友好関係について解説します。

ラオスとは

ラオス人民民主共和国ラオスはインドシナ半島に位置するメコン地域諸国のひとつであり,ASEAN唯一の内陸国です。面積は,日本の本州と同じくらいの約24万平方キロメートル。国土のほとんどが山岳地帯であり,首都ビエンチャン周辺とメコン川流域を中心に平地が広がっています。正式名称は,ラオス人民民主共和国で,人口は約664万人(2013年,ラオス統計局)。タイやカンボジアと同様仏教国であり,国民の多くが南方上座部仏教を信仰しています。ラオスは,かつて「100万頭の象」という意味を持つ「ランサーン王国(※)」と呼ばれていました。また,ランサーン王国のかつての王都ルアンパバーンは,ユネスコの世界遺産として,世界中から多くの旅行者が訪れています。
(※)ラオス初の統一国家。

ルアンパバーンの街並み
 

著しい経済成長

ラオスは,豊かな自然と資源に恵まれた国です。一人当たりGDPは1,628ドルと,ASEAN諸国の中では下位層にありますが,経済成長率は8.0%という高い成長率を維持しています(2013年,ラオス統計局)。ラオスは別名「メコン地域のバッテリー」と呼ばれるほど,メコン川を利用した水力発電が発達しており,近隣国のタイ等に売電して得た外貨収入が,ラオスの経済基盤のひとつとなっています。また金や銅,ボーキサイトなどの鉱物資源の探鉱の他,ダムや発電所などの大型インフラ建設プロジェクトが各種進行しており,それらが一体となってラオスの経済成長を牽引しています。

日本も支援したナムグムダム
 

ラオスの現代史

かつてラオスは「仏領インドシナ」の一部として,フランスの支配下におかれていました。1953年の仏・ラオス条約によりフランスから完全独立を果たした後,内戦が繰り返されましたが,1973年に「ラオスにおける平和の回復及び民族和解に関する協定」が成立。その後インドシナ情勢急変に伴い,1975年にラオス人民民主共和国 が成立しました。政治的にはベトナム中国と同じく社会主義国ですが,1986年以降は「新思考政策」を実施し,経済開放化と市場経済原理を導入。国営企業の民営化や銀行制度や税制の改革,法整備などを推進し,外国企業の誘致などに積極的に取り組んできました。その結果が,現在の著しい経済成長につながったと考えられています。

 

日本とラオスの共通点

ラオスは,文化的にはタイとの類似点が多く見られます。特にラオス語とタイ語は,発音や文法などが近い関係にあるため,両言語のコミュニケーションは容易だと言われています。また日本とラオスも,仏教や稲作などの文化・習慣面で共通点を有しています。江戸時代の朱印船制度の頃には,既に象牙,毛皮,香料などの交易を行っていたと言われており,キセルの吸い口と火皿を接続する竹管を「羅宇(ラオ)」と称するのは,江戸時代にラオスから渡来した竹を用いたからだという説もあります。ラオスの主食は日本同様に米ですが,日本が「うるち米」を食するのに対し,ラオスは「もち米」を食します。酒造りも盛んで,もち米から「ラオ・ラーオ」という蒸留酒を造っている他,ラオスの黒ビール「ビアラオ・ダーク」は日本地ビール協会主催「インターナショナル・ビアコンペティション」(2007年)において金賞を受賞しています。またラオスで親しまれているお話で,「シエンミエン物語」というものがあり,内容は,主人公が時の権力者を巧みな言葉の解釈によって一泡吹かせるというもので,ラオス版「一休さん」のような物語です。さらに日本の盆踊りのような「ラムボン」踊りがあり,ラオスには日本人にとって親しみやすい文化がたくさんあります。

(Cap左)ラオス料理は,ハーブと山と川の幸を使った素朴な料理が多い(Cap右)ラオスのビール「ビアラオ」
 

日・ラオス外交

日本がODAで建設したラオス南部パクセーのメコン河架橋。ラオス国内で流通している1万キープ札の絵柄にもなっている。ラオスは伝統的な親日国です。その背景には,日本によるラオスへの継続的な支援があります。日本はダムや橋をはじめとする大型インフラの建設だけではなく,教育環境の整備や人材育成,保健医療サービスの改善など,様々な分野においてODAを展開してきました。特に本年50周年を迎える青年海外協力隊が初めて派遣された国がラオスです。ラオスでは日本への謝意を込め,ODA案件をデザインした切手や紙幣が発行されています。またハイレベルでの人物交流も盛んに行われており,皇太子殿下(12年)や秋篠宮殿下(99年,01年,10年)の他,小渕総理(00年),小泉総理(04年),野田総理(12年),安倍総理(13年)など,歴代の多くの総理がラオスを訪れています。またラオスからも,国家主席や首相など,トップレベルの要人が訪日しています。

対ラオス援助
 

日本企業の進出が急増中

政治的にも経済的にも安定しているラオスは,タイ,ベトナム,中国への資源や労働力の提供地であるだけではなく,近年では各国からの投資も増えてきています。日本にとっても,2009年にビエンチャン日本人商工会議所が発足,2014年にJETRO事務所が開設するなど,投資しやすい環境が整えられた結果,2012年には約60社だった日本企業が,2014年には126社に増加しています(2014年7月現在)。勤勉で手先が器用な人材が多いラオスでは,優れた労働力を確保できるという理由から,日本の大手製造業が続々とラオスへの投資を決定するほか,日本の総合商社がラオス産コーヒー豆をベトナム企業やタイ企業と提携して日本へ輸出したり,日本の大手製薬会社がラオス南部のサラワン県で漢方薬の原料栽培を開始するなど,様々な日本企業による進出が開始されています。

 

日ラオス外交関係樹立60周年

2015年,日本とラオス外交関係樹立60周年を迎えました。これを記念し,ラオスからはゾウが,日本からは桜が贈られたほか,両国において様々な記念イベントが開催されています。3月4日から7日にはトンシン・タンマヴォン首相が訪日し,日ラオス首脳会談において,日ラオス関係を「包括的パートナーシップ」から「戦略的パートナーシップ」へと発展させるとともに,日本はメコン地域の中心に位置するラオスの連結性強化や域内の格差是正に向け,引き続き支援を行っていくことを表明しました。さらに7月に行われた「第7回日・メコン地域諸国首脳会議」においても日ラオス首脳会談を実施し,「質の高いインフラパートナーシップ」を通じ,日本は今後も地域の連結性強化に貢献していくことを明言しました。

(Cap左)2015年3月,日・ラオス首脳会談後の共同記者発表の様子(写真提供:内閣広報室)
(Cap右)日ラオス外交関係樹立60周年のロゴマーク。青い象はラオスの象徴と「6」を,赤い桜の模様は日本の象徴と「0」を表している。
 

メコン地域の安定と平和の鍵を握る国

このように,日本とラオスの間には深い信頼の絆が築かれており,60年にわたって親密な交流を重ねてきました。ラオスは国際政治の舞台において日本を支持する立場に回ることが多く,安保理改革においても,常任理事国入りを含めて日本の立場を支持しています。また国際捕鯨委員会(IWC)に加盟し,日本の捕鯨に関する立場支持しています。メコン地域全ての国と国境を接し,地理的要衝に位置するラオスは,同地域の安定と平和の鍵を握るだけではなく,今後のASEAN連結性強化において,欠かすことができない存在です。

 
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