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Vol.125 2015年2月25日
「女性が輝く社会」の実現に向けて

女性が輝く社会」の実現に向けて,日本政府は現在,様々な取組を進めています。2014年9月には,「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム(WAW! Tokyo 2014)」を開催しました。また,本年も8月28日及び29日にWAW! 2015を開催します。国内改革だけではなく,女性をめぐる国際課題にも積極的に取り組んでいます。今回は,女性の活躍促進をめぐる日本の動きについて解説します。

「女性の力」に期待

1986年の男女雇用機会均等法の施行からおよそ30年,女性の社会進出は大きく進んだと言われています。一方で20代後半から30代といういわゆる働き盛りの年代は,女性にとって結婚・出産・育児に当たる年代でもあり,いったん仕事を辞めて育児が落ち着いてから再び働き出す人の数が多いため,年齢別労働力率が「M字カーブ」を描くという傾向があります。このM字カーブは,欧米諸国には既にみられない傾向であり,就業を希望している女性と実際の就業率の差が大きいことも,日本社会が抱える課題のひとつになっています。女性の持つ力を最大限に発揮できるようにすることは,社会全体に活力をもたらすだけではなく,成長を支えていく上で不可欠だと考えられています。

日本の女性年齢別労働力率の現状
 

日本国内での取組

女性の活躍促進は,アベノミクス 第三の矢である「成長戦略」において最も重視されている分野のひとつです。安倍総理は,2014年9月29日の臨時国会で所信表明演説において,「女性の活躍」を経済成長の原動力とすることを改めて表明しました。10月には内閣に「すべての女性が輝く社会づくり本部」を設置,「すべての女性が輝く政策パッケージ(PDF)」を取りまとめ,女性の職業生活における活躍推進に向けた新たな法的枠組みの構築に向けて動き出しています。また,2014年4月には,外務省総合外交政策局に女性参画推進室が設置され,各部局にまたがる情報や知見を集約し,政策の企画・調整を行うことで,外交政策にも幅広くジェンダーの視点を反映させるよう努力しています。

 

海外での取組

首相官邸HP「第68回国連総会における安倍内閣総理大臣一般討論演説」動画 「すべての女性が輝く社会」の実現は,日本国内だけではなく国外においても,取組の強化を進めています。2013年9月,国連総会の一般討論演説で安倍総理は,日本が2013~2015年の3年間で30億ドルを超すODAを実施することを約束し,2013年の1年間で既に約18億ドルの支援を実施しています。また,ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(UN Women)に対する拠出金も,2013年には前年の5倍に増額しました。さらに,紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表事務所にも財政支援を行い,第2位のドナー国となっています(2014年末時点)。その他,国連開発計画(UNDP)国連児童基金(UNICEF)国連人口基金(UNFPA)等の関連国際機関との連携を強化する一方で,2014年6月には「紛争下における性的暴力の撲滅を目指すグローバル・サミット」,11月には1995年の世界女性会議における北京宣言及び北京行動綱領の採択から20周年(「北京+20」)に向けたアジア太平洋地域における同宣言及び同行動綱領等の実施状況のレビューに参加しました。また,女性・平和・安全保障に関する安保理決議第1325号実施のため,日本の「行動計画」を市民社会と協力しながら策定しています。

女性の活躍に関する最近の取り組み及び今後の予定

2013年 国連総会 安倍総理の一般討論演説(9月)
2014年 外務省総合外交政策局に「女性参画推進室」設置(4月)
紛争下の性暴力の撲滅を目指すグローバル・サミット(於:ロンドン)(6月)
シャイン・ウィークス(9月8日-19日)
女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム(WAW! Tokyo 2014)(9月12日-13日)
国連総会及び関連会議への参加(9月22日-26日)
「すべての女性が輝く社会づくり本部」設置(10月)
「北京+20」アジア太平洋地域レビュー(於:バンコク)(11月17日-20日)
外務省・ICRC共催公開シンポジウム「武力紛争下における性的暴力:その現状と課題」(11月25日)
2015年 第59回国連婦人の地位委員会(CSW)(3月9日-20日)
第3回国連防災世界会議(於:仙台)(3月14日-18日)
UN Women 東京事務所開設誘致
女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム(WAW! 2015)(8月28日-29日)

コラム:「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(略称:女子差別撤廃条約,英:Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Women:CEDAW)」
 女子差別撤廃条約は, 1979年に国際連合第34回総会で採択され1981年に発効した国際条約です。政治的・経済的・社会的・文化的・市民的その他のあらゆる分野において女性に対する差別を撤廃することを基本理念としており,締約国は188カ国にのぼります(2015年1月現在)。日本は同条約を1985年に締結し,1987年より継続して女子差別撤廃委員会に委員を輩出する等,国際社会との対話を通して,これまで女性の権利の向上に努めてきました。 
 これまでの我が国からの委員は,赤松良子元文部大臣(1987年~1994年),佐藤ギン子元証券取引等監視委員長(1995年~2001年10月),多谷千香子旧ユーゴ国際刑事裁判所訴訟判事(1999年~2001年10月),齋賀富美子人権担当大使(2001年11月~2007年12月),林陽子弁護士(2008年1月~現在)です。

 

女性と国際協力

日本はこれまでにも,アジア,アフリカ,中米など,世界各地で女性支援に係る国際協力活動を行ってきました。今後も「女性の輝く社会」の構築は世界に大きな活力をもたらすとの考えの下,特に「女性の活躍・社会進出推進と女性の能力強化」「国際保健外交戦略の推進の一環として女性の保健医療分野の取組強化」「平和と安全保障分野における女性の参画と保護」という3つの政策を重点的に,国際社会との協力や途上国支援を強化していく方針です。

具体的な取組例

ピロジュプール県における女性のエンパワーメント事業(バングラデシュ)
ピロジュプール県における女性のエンパワーメント事業(バングラデシュ) 宗教的・文化的背景から女性の立場が低い同地域において,新たに女性を対象とした協同組合を立ち上げ,女性のエンパワーメントや生計向上のために,女性組合員のマーケティング能力を強化する。
保健人材養成機関教員能力強化プロジェクト(モザンビーク)
保健人材養成機関教員能力強化プロジェクト(モザンビーク) 1992年まで続いた内戦の影響により,医師,看護師等の保健人材が周辺国に比較しても決定的に不足しているモザンビークにおいて,質の高い保健人材の養成を支援。ブラジル・サンパウロ大学教育学部等の協力を得ながら,保健人材養成機関において,適切な保健サービスを提供できる保健人材が持続的に養成される体制の整備をしている。女性看護師の育成や妊産婦に対する医療改善を通じて,女性の能力強化や女性を対象とする保健医療の取り組みにも寄与する。
台風ヨランダ緊急復旧・復興支援プロジェクト(フィリピン)
台風ヨランダ緊急復旧・復興支援プロジェクト(フィリピン) 台風災害の復旧・復興プロセスで,日本の経験を参考に,災害に強いコミュニティ構築を支援。生計確立支援において,女性のエンパワーメントを重視。

 

WAW!の開催

WAW!2014のロゴマーク 2014年9月12,13日の2日間,「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム(WAW! Tokyo 2014)」を東京で開催し,日本及び世界各国から約100名にも上る女性分野で活躍する専門家たちが参加しました。国内ではこれまでにも,「女性の輝く社会」に関連する会合を開催していましたが,海外からゲストを招いた国際シンポジウムとしては初の試みとなり,国内の取組と国際的な取組の相乗効果を図るとの位置づけで実施されました。

オープニングセッションにおける総理スピーチ(9月13日)(写真提供:内閣広報室)  全体会議の様子(9月13日)(写真提供:内閣広報室) 分科会における議論の様子(9月13日)  クロージングセッションにおける WAW!To Doの発表(9月13日)
 

WAW!の成果

今回開催されたWAW!で,大きな注目を集めたのが参加者の顔ぶれです。クリスティーヌ・ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事をはじめ,女性分野で活躍する世界のトップ・リーダーたちが一堂に会し,国際社会における課題や取組,そして日本の現状について活発な議論を行ったことは,日本にとっても世界にとっても,大きな財産となりました。またこのシンポジウムが安倍総理のイニシアティブで開催され,安倍総理が,昭恵夫人とともに期間中数多くの会合に参加し,積極的に発言を行う様子は,「言うだけではなく行動する」という日本の姿勢を国内外に強く印象付けました。さらに東京だけにとどまらず,参加者の方々には,倉敷や仙台等で講演を行っていただくなど,アベノミクス「地方創生」とも連動し,地方への波及も目指しました。クロージング・セッションでは,全体議長である岸田外務大臣が,「WAW! TO DO (PDF)」と呼ばれる12の提案を取りまとめるとともに,WAW!を来年も日本で開催する旨を発表し,盛況のうちに幕を閉じました。

WAW! TO DO(WAW!の提案)(A/69/396)
 

シャイン・ウィークス

今回のWAW!のもうひとつの成果として,公式サイドイベントとの連動が挙げられます。WAW! の前後の期間を「シャイン・ウィークス(Shine Weeks)」と位置づけ,公式サイドイベントの募集を行ったところ,関係府省庁だけではなく,全国の地方自治体,市民団体,学校・学生団体などから120件もの応募が集まり,WAW!を一緒に盛り上げました。女性の活躍促進に関する取組が,政府主導で行われるだけではなく,このように地域の女性,そして男性も積極的に加わってムーブメントを起こすことができたということは,地方と連携したネットワークを今後築いていくという意味でも,貴重な機会となりました。

WAW!会場に設置された応援メッセージボード  メットライフにおけるイベント(9月11日) 地方展開イベントでの宮城訪問(9月15日)  埼玉県+城西大学におけるイベント(9月16日)
 

「女性が輝く社会」の実現に向けて

今回のWAW! に対しては,ヒラリー・クリントン前米国務長官から贈られたビデオ・メッセージの中でも,安倍総理の女性活躍促進に関するイニシアティブへの称賛が示されるなど,国内外から様々な激励のコメントが寄せられました。海外でのメディア報道も概ね好意的で,日本の積極的な姿勢を評価する内容のものが目立ちました。2015年には第59回国連婦人の地位委員会(CSW),第3回国連防災世界会議(於:仙台)に続き,UN Women 東京事務所の開設や,第2回「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」開催など,今後の日本の女性の活躍推進に向けた取組は,さらに活発化していく予定です。日本は「女性の輝く社会」の実現に向け,国内,域内,国際レベルで,さらなる行動とイニシアティブを進めていきます。

クリントングローバルイニシアティブ会議での対談の様子(9月24日)(写真提供:内閣広報室)
 
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