外務省: 第3回国連防災世界会議・防災の主流化の実現に向けて

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Vol.124 2015年2月19日
第3回国連防災世界会議・防災の主流化の実現に向けて

近年,世界各地で発生している大規模自然災害により,防災に関する国際社会の関心は高まり,改めて国際防災協力の重要性が指摘されています。2015年3月には仙台市で第3回国連防災世界会議が開催され,2015年より先の国際的な防災の枠組が策定される予定です。今回は,開発分野における「防災の主流化」,第3回国連防災世界会議の概要,そして今後の国際防災協力について解説します。

多発する大規模自然災害と甚大な被害

阪神・淡路大震災(1995年),スマトラ沖地震・津波(2004年),ハリケーン・カトリーナ(2005年),四川大地震(2008年),ハイチ地震(2010年),そして東日本大震災(2011年)など,ここ20年の間に,世界的に大規模自然災害が多発しています。自然災害の犠牲者の90%は開発途上国の市民であり,最も脆弱な人々が災害の矢面に立たされているという現状があります。また経済損失も甚大(※)で,災害後の応急対応や復旧・復興には,多額の費用を要します。自然災害には,人命を奪うだけではなく,それまで築き上げてきた街や個人資産等,長年の開発の努力や成果を一瞬にして奪い去ってしまうという大きなリスクがあるのです。
(※)ハイチ地震 (2010年)の場合:ハイチのGDP(国内総生産)の1.2倍に当たる78億米ドルの損失。

災害による被害(2000〜2012年
 

防災の取組強化の必要性

災害被害を未然に防ぎ,被害を軽減するためには,「防災」は欠かすことのできない大切な取組です。近年多発する大規模災害は経済成長にも影響を与え,貧困の負の連鎖を生み出します。この負の連鎖から抜け出し,「持続可能な開発」を実現する上で防災は大変重要であり,防災を考慮して開発を進めることで,人命も開発の成果も守ることができるようになります。近年では多発する大規模災害の影響もあり,防災に関する国際社会の関心は高まってきています。また,人口増加によって都市化が急速に進展していることや,気候変動によって自然災害が生じるパターンが変化していることなどから,自然災害に対する脆弱性が増しているとも言えます。このような状況の中,現在の国際社会では,開発のあらゆる場面で,「防災の主流化」を促進しようという動きが活発になっています。

 

「防災の主流化」のために①:防災分野における日本の国際協力

防災の主流化」とは,(1)各国政府が「防災」を政策の優先課題と位置づけること,(2)「防災」の視点をあらゆる開発の政策,計画に取り入れること,(3)結果として「防災」への投資が拡大されること,の3点から成る概念です。これまで幾多の災害を経験して培ってきた防災の知識や技術を持つ日本は,この「防災の主流化」に向けて防災体制の整備,事前防災投資,災害復興過程においてより強靱な地域を作る「より良い復興」(ビルド・バック・ベター)など様々な取組を実施し,国際社会をリードしてきました。政府開発援助(ODA)を通じた支援では,インドネシアスリランカトルコなど世界の災害多発国の国家防災計画の支援や国家防災機関の能力強化支援など,国家の防災政策の最上流域から防災の主流化の支援を行ってきました。また,神戸市にあるアジア防災センター(ADRC)国際復興支援プラットフォーム(IRP)への支援をはじめ,国連などの国際機関を通じた多国間協力や政府間協力などの支援も積極的に推進しています。

【ODAを通じた防災の主流化:事例】
【チリ】
津波に強い地域づくり技術の向上に関する研究
【チリ】津波に強い地域づくり技術の向上に関する研究 チリでは過去に大規模な津波による被害が発生しており,将来の津波リスクが高い。津波による被害の推定による事前の対策,津波の高さや到達時間を含む津波警報の発信に向けた能力強化を支援。また,地域防災計画の策定や防災訓練等を通じ,津波に強い地域づくりに貢献。
【バングラデシュ】
多目的サイクロンシェルタ―建設計画
【バングラデシュ】多目的サイクロンシェルタ―建設計画 バングラデシュは毎年サイクロンにより大きな被害を出しており,ベンガル湾沿岸部等において,93年から117棟のサイクロンシェルターの建設を支援。住民の避難場所の確保,平常時には小学校としての活用により,初等学校における教室不足の解消と学習環境の改善に寄与した。被害による死者数が大幅に減った。
【トルコ】
防災教育プロジェクト
【トルコ】防災教育プロジェクト 日本と同じ地震多発国であるトルコでは教育省と共に防災教育を通して子どもたちの防災対応能力の向上に取り組んだ。パイロット地域において学校長,教員を対象とした研修用教材の開発,モデル校での防災教育プログラムの実施を支援。
【マレーシア】
地すべり災害および水害による被災低減に関する研究プロジェクト
【マレーシア】地すべり災害および水害による被災低減に関する研究プロジェクト 経済発展に伴う都市の拡大により自然災害リスクに直面するマレーシアにおいて,地すべり及び洪水災害に関する早期警報等の災害リスク管理システムを構築することにより,行政機関・民間企業・地域住民の連携体制を強化し,災害への対応能力強化を支援。
【フィジーソロモン諸島】
大洋州地域コミュニティ防災能力支援
【フィジー,ソロモン諸島】大洋州地域コミュニティ防災能力支援 大洋州地域は台風などによる洪水災害に直面している。中央政府のみならず,コミュニティレベルの防災能力強化を通して洪水時に住民が適切に避難できる体制構築を目的にコミュニティ防災能力強化を支援。
【イラン】
テヘラン地震災害軽減プロジェクト
【イラン】テヘラン地震災害軽減プロジェクト 急激な都市化が進むテヘラン市では,大地震のリスクが高くなっており,災害時を想定した緊急道路網の構築や維持管理計画,市民向けの意識啓発,地震計の供与と早期警報システムの構築を行い,地震災害への備えを支援。

【JICAポジションペーパー】 防災の主流化に向けて -災害に強い社会を作る-

 

「防災の主流化」のために②:国連防災世界会議

「防災の主流化」を推進するためには,国際社会が協力して様々な取組を行っていく必要があります。防災分野の中でも,グローバルな防災戦略について議論する国連主催の会議「国連防災世界会議」が,これまでに2回開催されており,第1回(1994年,於:横浜市),第2回(2005年,於:神戸市)ともに,日本はホスト国として防災に関する議論をリードしました。168か国が参加した第2回国連防災世界会議では,国際的な防災の取組指針である「兵庫行動枠組2005-2015(HFA)」が策定され,2015年までに各国が災害による人的被害,社会・経済・環境資源の損失を大幅に軽減するために,5つの優先行動に取り組んでいくことで合意しました。また日本は,開発援助を行う際に防災の視点が取り込まれるよう,政府開発援助(ODA)を活用した「防災協力イニシアティブ」を発表し,防災分野における開発途上国の自助努力を支援するための基本方針を示しました。

第2回国連防災世界会議の様子
 

第3回国連防災世界会議の開催

第3回国連防災世界会議のロゴマーク 2015年3月14日(土)から18日(水)までの5日間,第3回国連防災世界会議が仙台市で開催されます。ここでは,2015年を目標年としていた兵庫行動枠組の後継枠組(ポスト兵庫行動枠組)が策定されることになっており,各国の首脳・閣僚,国際機関の代表,NGOなど,本体会議5千人以上,関連事業で延べ4万人以上が参加することが見込まれています。この会議は,東日本大震災に際しての各国からの支援に感謝し,苦難を乗り越えつつある被災地の復興の現状を改めて世界に向けて発信するとともに,防災に関する日本の経験と知見を国際社会と共有するための重要な機会となります。

 

第3回国連防災世界会議の内容

会議は,「本体会議」と「パブリック・フォーラム(関連事業)」の2つに分かれています。本体会議には,国連加盟国,国際機関,NGOなどが参加し,ポスト兵庫行動枠組の採択が予定されています。パブリック・フォーラムでは,政府機関や地方自治体,国際機関,NPO,NGO,大学,諸団体などが主催する,防災や減災,復興をテーマとした一般公開の350以上のシンポジウムや展示が開催され,多くの参加者が見込まれています。このパブリック・フォーラムでは,仙台・東北の人たちが中心となり,それぞれの防災や復興への取組などについて情報共有し,互いに連携することで防災意識をより向上させ,次世代に伝えていくことも期待されています。

 

これからの国際防災協力と日本の今後の取組

2015年は,兵庫行動枠組の達成目標年であると同時に,ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)の達成目標年でもあります。また,2012年にブラジルで開催された「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」においても,開発における「防災の主流化」を促進していくことで各国が合意しています。今後日本は,ポスト兵庫行動枠組をより実効性のある枠組として策定するとともに,現行のMDGsの「8つの目標」には含まれていない防災の視点を,ポスト2015年開発アジェンダ でしっかりと位置づけることにより強靭な社会づくりを目指していきます。

ポスト2015年開発アジェンダと防災の主流化
 
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