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Vol.122 2015年2月5日
日・中米交流年に向けて

2015年は,日本と中米5か国(グアテマラエルサルバドルホンジュラスニカラグアコスタリカ)が外交関係を樹立してから80周年にあたる記念の年です。この5か国に加え,パナマベリーズドミニカ共和国の計8か国で構成される中米統合機構(SICA)の国々と日本は,2015年を「日・中米交流年」と定めました。日本とこれら中米諸国は,これまでどのような交友関係を構築してきたのか,「2015年日・中米交流年」の概要とともにご紹介します。

中米の国々とその魅力

中米統合機構(SICA) 北米と南米,太平洋と大西洋に挟まれた中米地域には,有名な遺跡群や美しい自然が溢れる,魅力的な国々がたくさんあります。古くはマヤ文明が栄えたグアテマラ,「カリブの宝石」と呼ばれるベリーズ,カリブ観光の中心地であるドミニカ共和国,サーフィンのメッカであるエルサルバドル,コパン遺跡で有名なホンジュラス,葉巻やラム酒,コーヒー等の高級嗜好品の産地として知られるニカラグア,地球上の全植物種の5%が生息しているコスタリカ,そして,国際物流の要衝であるパナマ運河を擁するパナマの8か国があります。これらの8か国は中米統合機構(SICA)という地域機関を結成しており,日本とは伝統的に友好関係を築いています。

マヤ文明のティカル遺跡(グアテマラ)  パナマ運河(パナマ)
 

日本との共通点

日本と中米諸国には,いくつか共通点があります。ひとつは日本も中米諸国も,環太平洋火山帯に位置する,海に囲まれた火山と地震の多い国々であるということです。ニカラグアのモモトンボ火山やグアテマラのアグア火山のように,富士山に似た形状の火山を各地で望むことができ,世界一美しい火山湖と称されるアティトラン湖(グアテマラ)や,サンゴ礁の中にぽっかりと口を開けたブルー・ホール(ベリーズ)など,起伏に富んだ地形と風光明媚な土地が多いことで知られています。エコ・ツーリズムも盛んで,生物多様性の国として有名なコスタリカは,手塚治虫氏の「火の鳥」のモデルとなったとも言われているケツァールが生息するほか,ウミガメの世界的産卵地としても知られています。またエルサルバドルは,国土狭小で資源には恵まれていませんが人口が多く,勤勉な国民性から「中米の日本」と呼ばれています。中米諸国はスポーツも盛んで,特にドミニカ共和国,ニカラグアやパナマでは,日本と同様に野球の人気が高く,日本のプロ野球界でもこれらの国々出身の選手が数多く活躍しています。

アティトラン湖(グアテマラ)  ケツァール(コスタリカ)
 

日本と中米の交流史

日本と中米諸国の交流の始まりは,1860年に日本が初めて公式の遣米使節団を派遣したときに遡ります。幕末の幕臣・新見正興(しんみ まさおき)は,日米修好通商条約の批准書を携え,パナマを経由して米国のワシントンに向かいました。この使節一行は,パナマ地峡鉄道に乗車したという史実も残されています。以降,日本と中米各国は次々と外交関係を樹立し,様々な機会を通じて交流を続けてきました。

日本と中米の交流の歩み
1860年 遣米使節がパナマ運河建設前のパナマを通過
1904年 パナマとの外交関係樹立
1934年 ドミニカ共和国との外交関係樹立
1935年 グアテマラ,エルサルバドル,ホンジュラス,ニカラグア,コスタリカとの外交関係樹立
1982年 ベリーズとの外交関係樹立
2005年 日・中米交流年の実施

遣米使節団のパナマ通過「統通信全覧」
(外務省外交史料館所蔵資料)
 

中米紛争収束後の交流関係

中米地域では,1970年代後半からグアテマラ,ニカラグアやエルサルバドルで内戦が激化しましたが,1990年代に入ると上記3か国における内戦が終結。和平が達成され,民主化が進展していきました。日本は1990年代以降,内戦後の国民和解と安定的発展のため,中米諸国に対して様々なレベルの対話などを実施してきました。政治の分野では,日・中米首脳会合(1996年/2005年)や外相会合(1995年/1996年/2010年)を開催したほか,1995年以降は日本・中米「対話と協力」フォーラムをほぼ毎年実施しています。経済分野においても,日・中米ビジネスフォーラム(2006年/2015年開催予定)や日・中米経済交流促進ワーキングチーム(2010年)などを実施し,相互理解と協力を深めてきました。

第16回日本・中米「対話と協力」フォーラム(2013年)の様子
 

経済協力の実施

経済協力分野においても,インフラ整備,防災,環境,医療・保健,教育等の分野で,日本は中米諸国に対し様々な協力を実施してきました。中米地域は,日本同様,地震,津波,ハリケーンなどの自然災害に見舞われることが多く,防災の知識・経験を有する日本の支援は非常に重要です。一例を挙げれば,これまでで最大規模のハリケーン・ミッチ(1998年)により甚大な被害を受けたホンジュラスに対し,日本は初めて自衛隊による緊急援助隊を派遣しました。また,自然災害発生時の緊急・復興支援に加えて,中米の複数国で,コミュニティ・レベルでの防災知識の共有や災害リスク削減を目指す「中米広域防災能力向上プロジェクト“BOSAI”」が大きな成果を上げています。近年注目を集めている再生可能エネルギー分野では,たとえばコスタリカの地熱発電所建設を支援しています。そのほか,中米地域特有の寄生虫病であるシャーガス病対策や,算数教育の指導力向上など,中米域内で広く効果をもたらす日本の技術協力は,中米の人々から高い評価を受けています。

 

中米統合機構(SICA)とは

中米は,北米と南米,太平洋と大西洋を結ぶ自然の架け橋として,地理的にも重要な位置を占めており,この地域の安定と発展は,中南米のみならず国際社会にとって特別な重要性を有しています。中南米には,ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)カリブ共同体(CARICOM:カリコム)など,様々な地域機関がありますが,1991年に創設された中米統合機構(SICA)は,中米8か国の国々が経済社会統合を図り,地域全体で発展していきながら,平和・自由・民主主義・開発を達成させることを目標としています。最近では,経済圏としての地域の発展のほか,治安悪化に伴う地域一体の治安対策や気候変動対策などが主要テーマとして議論されています。

 

2015年日・中米交流年

「日・中米交流年 2015年」のロゴマーク 友好関係を維持する日本とSICAは,日本と中米5カ国(グアテマラ,エルサルバドル,ホンジュラス,ニカラグア,コスタリカ)が外交関係を樹立してから80周年にあたる2015年を「日・中米交流年」と定め,日本とSICA諸国の双方で,政治,経済,文化等様々な分野で交流事業を実施する予定です。また交流年のシンボルとして,東半球と西半球をそれぞれ赤と青の円で示した「日・中米交流年 2015年」のロゴマークが使用されます。交流年の期間中は,関係団体や民間の交流を奨励し,官民合わせた取り組みを目指していきます。
2015年 日・中米交流年記念パンフレット (PDF)

 

今後の日・中米関係

SICA諸国の中米経済統合は,ゆるやかに進展しています。2014年には,全長1,793キロメートルに及ぶグアテマラ-パナマ間の送電線建設が完了し,カナダからパナマまでの電力インフラが連結しました。2016年には,コロンビアまで連結させることを目標としています。またSICA加盟国(8か国)中,5か国間で未焙煎のコーヒーや砂糖など,一部品目を除くほとんどの品目の関税を撤廃するなど,域内では自由貿易圏化が進展していますが,その一方,域外でも,米国やEU,そしてアジア太平洋地域との政治経済関係の強化を進めています。このように,地域統合と自由主義経済の深化により成長を模索する中米地域は,日本にとっても戦略的に大変重要な地域です。日本はこの「日・中米交流年」を大きな機会として,SICA諸国との一層の関係強化を目指すとともに,経済のみならず,お互い同じ課題を有する防災分野についても,今まで以上に相互の技術や知見の共有を進めていきます。

 
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