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Vol.121 2014年12月26日
ポーランド民主化25周年

ポーランドにとって2014年は,民主化25周年を迎えた節目の年である他,NATO加盟15周年,EU加盟10周年を迎えるなど,ポーランドの歴史上重要な出来事の“アニバーサリー・イヤー”でもありました。今回は国際社会の中で,近年存在感が増すポーランドという国の現状について紹介します。

民主化25周年のあゆみ

1989年9月,ポーランドでは東欧圏初の自由選挙が行われ,マゾビエツキ首相(当時)による非社会主義政権が成立しました。以来,大統領と議会の自由選挙が実施され,民主主義が国内に定着。2014年には民主化から25周年を迎えました。また「欧州への回帰」を目標に,1999年にはNATO加盟,2004年にEU加盟を果たし,これらも2014年に15周年,10周年を迎えました。ポーランドはこの25年間,「連帯」運動の伝統から民主主義の推進に熱心に取り組むとともに,NATOやEUとの協力強化を通じた国の安全と繁栄の確保に,積極的な姿勢で臨んできました。

【ポーランド民主化25周年のあゆみ】
1989年9月 ポーランド民主化(自主管理労組「連帯」系政権の発足)
東欧圏初の自由選挙
1999年3月 NATO加盟
2004年5月 EU加盟
2007年10月 市民プラットフォーム(PO)政権発足(「連帯」の流れをくむ長期政権)
2014年 民主化25周年,NATO加盟15周年,EU加盟10周年
 

EU内において高まるポーランドの存在感

ポーランドは2004年のEU加盟後,安定した経済発展を遂げています。2006年から2008年までは,GDP成長率5%以上と高成長を維持。2008年のリーマン・ショックを受けて,2009年は1.6%に落ち込みましたが,その後の回復も早く,2011年には4.5%の成長を遂げるなど,欧州全体で唯一プラス成長を続けており,一人当たりGDPの伸び率も高くなっています。このような順調な経済,積極的な外交を背景として,EU内における存在感は年々高まっています。またウクライナ情勢が不安定化してからは,ワイマール・トライアングル(独・仏・ポーランド)及びV4(ヴィシェグラード4カ国:スロバキア・チェコ・ハンガリー・ポーランド)等の枠組を活用しつつ,ウクライナ問題にも積極的に関与しています。

ポーランドの一人当たりGDP」
 

トゥスク前首相の欧州理事会議長就任

2014年8月,欧州理事会(EU首脳会議)は,次期欧州理事会議長として,当時ポーランドの首相を務めていたドナルド・トゥスク氏を選出しました。トゥスク氏は2001年に市民プラットフォーム(PO)を共同設立し,2003年から2014年11月まで党首を務めました。2007年には首相に就任し,1989年以降のポーランド政治史上初めて連続二期首相を務めましたが,世界金融危機,欧州財政危機の中にあっても,トゥスク政権下のポーランド経済が欧州で唯一マイナス成長に陥ることなく,安定して発展を遂げていたことなどから,欧州の中でもその政治的手腕に注目が集まっていました。新議長の任期は,2014年12月1日から2017年5月31日までの2年半になります。就任後,トゥスク欧州理事会議長はオバマ大統領と電話会談を行い,ウクライナ情勢や米国・EUのFTAについて意見交換を行いました。

 

日本とポーランドとの関係

日本とポーランドの二国間関係は,伝統的に良好です。要人往来も活発に行われており,2013年6月には,安倍総理が日本の首相としては10年ぶりにポーランドを訪問しました。安倍総理はトゥスク・ポーランド共和国首相(当時)と会談し,歴史上一度も対立関係に立ったことのない両国間で防衛協力を強化することで一致。また良好な二国間経済関係を更に強化していく観点からも,交渉中の日EU・EPAの早期交渉妥結に向け協力していくことを確認しました。そして2014年が日本美術技術博物館開設20周年及び「V4+日本」交流年にあたることに触れ,これらの機会に両国間の交流をさらに発展させ,互いに機運を盛り上げていくことを約束しました。

写真提供:内閣広報室 写真提供:内閣広報室
 

日本美術技術博物館

日本美術技術博物館は,日本の文化・芸術・技術を紹介する目的で1994年にクラクフの地に設立された,ポーランド最大の日本専門機関です。欧州有数の浮世絵コレクションを所蔵しており,ポーランドのみならず,中・東欧地域における日本文化紹介・普及の一大拠点としても有名です。クラクフ市民からは,葛飾北斎の北斎漫画をもとに「Manggha(マンガ)」の雅号を名乗ったフェリックス・ヤシェンスキ氏にちなんで「Manggha館」という愛称で親しまれています。この博物館はもともと,日本美術を愛好する世界的に著名な映画監督のアンジェイ・ワイダ,クリスティーナ・ザフファトヴィッチ夫妻が資金調達を含むイニシアティブをとり,日本政府等からの財政支援を得て設立された施設であり,2014年に開館から20年を迎えました。

Photo: Rafał Sosin(写真:日本美術技術博物館の外観,内観)
 

安倍昭恵総理夫人のポーランド訪問

(写真:日本美術技術博物館開館20周年式典 安倍総理夫人スピーチ)Photo: Museum of Japanese Art and Technology in Kraków, Poland2014年11月,安倍昭恵総理大臣夫人はポーランド政府からの招待に応じ,日本美術技術博物館の開館20周年式典に出席するためポーランド・クラクフを訪問しました。記念式典には,コモロフスキ大統領夫妻をはじめ,ワレサ元大統領,オミラノフスカ文化大臣ほか,多くのポーランド政府要人が出席しました。安倍総理夫人は祝辞の中で,「アンジェイ・ワイダ監督が70年前に日本美術と出会ったことがきっかけで,クラクフにおいて『輝く宝石』となって博物館の開館が実現しました。日本とポーランドは距離的には離れているが,互いに共通する要素が多く,親しみを感じています」と,二国間の深い絆について改めて紹介しました。

 

ポーランドに「第二の日本を建設する」

一方,コモロフスキ大統領は「民主化25周年の年に20周年を迎えるManggha館は,ポーランドの近代化の歴史の一部である」と述べ,戒厳令の中でワレサ元大統領が「ポーランドに『第二の日本』を建設しよう」と表明したことや,日本が自らの伝統や文化を保ちながら近代化を成し遂げたことについて語りました。またワレサ元大統領からは「ワイダ監督が自分の『第二の日本を建設する』という言葉を体現してくれたことに感謝する」という賛辞が贈られました。記念式典出席後,安倍総理夫人は,クラクフで日本語教育の中心となっているヤギェロン大学,シェマハ協会(児童・青少年福祉団体),ライフファーム(自閉症者支援施設・農園)を訪問したほか,クラクフで日本語を学ぶ学生・生徒との懇談を行うなど,ポーランドにおける日本文化の普及と,両国間の友好関係のさらなる発展のため,積極的に交流を行いました。

(写真:日本美術技術博物館開館20周年式典 コモロフスキ大統領,ワレサ元大統領スピーチ)Photo: Museum of Japanese Art and Technology in Kraków, Poland
 

これからの日・ポーランド関係

トゥスク欧州理事会議長は,2013年6月,安倍総理がポーランドを訪問した際に, V4議長国の首相としてリーダーシップを発揮し,日曜日にもかかわらず初めての「V4+日本」首脳会合を主催するなど,かねてからポーランドを含む中・東欧地域と日本との関係を重視していく姿勢を示していました。今回の新議長就任を受け,安倍総理はトゥスク議長に対し,「EUは,日本にとって,自由,民主主義,法の支配,人権といった基本的価値を共有するグローバル・パートナーである。日本は,引き続きEUとの間で幅広い分野における協力関係の一層の強化に取り組んでいく考えであり,トゥスク首相と引き続き緊密に連携していきたい」という旨の祝辞を発出しました。2014年という節目の年を終え,ポーランドはEU,そして世界に向けて,その存在感を強く示そうとしています。日本は,これまで培ったポーランドとの友好関係を継続しながら,さらなる関係強化に向けて,お互い協力を進めていく方針です。

 
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