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Vol.119 2014年10月20日
国際儀礼(プロトコール) ~伝統的な国家間のマナー

外国政府要人の来日や国際会議の開催など,海外からのお客様を日本に迎える際には,「プロトコール」と呼ばれる国際的な基本儀礼,マナーに基づいた接遇を行っています。こうした「プロトコール」は,政府が行う外交活動のみならず,国際交流の様々な場面での基本的なマナーであるとも言えます。今回は,この「プロトコール」についてご紹介します。

国際儀礼(プロトコール)とは

国際的な交流の場面では,歴史,文化,言語などの違いから,誤解や不信が生まれやすくなります。相手への敬意と全ての国を平等に扱うことを基本とする「プロトコール」は,無用な誤解や争いを避け,外交を円滑に進める環境作りのための知恵として生まれました。国と国,人と人の営みをスムーズにする,その場にいる人々がお互いを認め合い,心地良いコミュニケーションを図るための共通認識が,プロトコールなのです。但し,プロトコールは必ずしも絶対的な規則ではなく,これまでも時代とともに変化しており,地域や国によって差異もみられます。また,会合の趣旨,参加者の認識,会場の制約などによって柔軟に運用されることも大切です。

 

外国要人が日本に来たら

国と国の関係も実際に動かしているのは人です。二国間関係の発展には,両国の関係者がしっかりとした人間関係,信頼関係を構築していることが重要です。外国要人の訪日は,日本側関係者(場合によっては皇族の方々を含む)との会合や様々な行事への参加などを通じて日本への理解を深め,友好関係を強化する好機です。外国要人を日本政府が費用負担して招待する「公式訪問」には,招聘者の社会的地位や訪日の目的に応じて,いくつかの枠組みがあります。各国の国王や大統領等の元首が対象となる「国賓」,皇太子や首相,副大統領等が対象となる「公賓」の場合,我が国の内閣総理大臣との首脳会談や会食に加えて,天皇陛下とのご会見や宮中晩餐などの行事が行われます。「公式実務訪問賓客」や「実務訪問賓客」と呼ばれる招聘スキームは,よりビジネスライクな形式で行われます。外国の閣僚や国際機関の長などの日本の外務大臣のカウンターパートを招聘する「外務省賓客」という枠組みもあります。平成25年度に,日本政府は,国賓2件,公賓2件,公式実務訪問賓客7件,実務訪問賓客9件,外務省賓客13件の招聘をそれぞれ実施しました。

エルドアン・トルコ共和国首相訪日時の歓迎式典の様子(2014年1月)写真提供:内閣広報室 サルマン・サウジアラビア王国皇太子殿下の来日晩餐会の様子(2014年2月)写真提供:内閣広報室
 

国旗の掲揚

外国国旗の掲揚国旗は国の象徴であり,国旗に敬意を表することは国際社会の基本的なマナーです。そこで,外国からのお客様を迎える際など,自国の旗と外国旗のどちらをどこに掲げればよいかが問題となります。そのため,国旗の掲揚についてもプロトコールが存在します。プロトコールの基本は,原則として「右上位」です。日本で賓客をお迎えして両国の国旗を掲揚する場合,日本ではお迎えした相手国の旗を上位と捉えるため,通常右(向かって左)に外国国旗,左(向かって右)に日本国旗を掲揚します。ただし会場の上座下座の位置や,プレスの撮影の際のカメラ位置によって,配置が変更される場合もあります。また,国旗を掲揚する際には,「日本国旗と外国国旗を同時に掲げる場合は国旗の大きさ(※1)とポールの高さを同一にする」,「国の象徴である国旗と県や市など団体の旗とは格が異なるため併揚せず,どうしても併揚が必要な場合は,国旗は団体旗より大きく,高い位置で掲揚する」などのルールがあります。また,国賓,公賓,公式実務訪問賓客の来日の際には,内閣総理大臣官邸,霞ヶ関に街路旗が掲げられます(※2)。国葬又は国葬に準ずる葬儀が行われる場合や,外国元首の逝去等の場合には,半旗又は弔旗を掲揚することがあります。半旗とは,旗を一旦ポールの最上部まで上げてから,少し下げたもの,弔旗とは,ポールの最上部を黒布で巻き,最上部と旗との間に,旗の横幅と同じ長さで,縦3センチほどの黒布を取り付けたものです。

国旗と団体旗の併揚例  弔旗の掲揚例

(※1)世界の国々の国旗は,ほとんどが2:3の縦横比率(国連基準サイズ)になっていますが,英国(縦横比1:2),スイス(縦横比1:1),ネパール(特殊サイズ)のようなケースもあります。その場合は先方と協議し,面積を合わせる等の対応をします。
(※2)賓客が迎賓館に宿泊する場合には迎賓館周辺にも掲揚されます。

 

各種行事や会議の序列・席次

会議や会食などでの序列・席次会議や会食などでの序列・席次(座席割り)は,行事毎に開催の趣旨などを考慮して検討します。国によっては官職にある人及び官職にあった人の序列を公式に定めている場合があります。現在の日本には,序列に関する明確な規定はないものの,目安としては,皇族,内閣総理大臣,衆議院議長,参議院議長,最高裁判所長官,閣僚,各国駐日大使,その他副大臣など認証官,国会議員,都道府県知事…となっています。同じ役職では先任者を優先するため,例えば,各国大使の序列は,天皇陛下への信任状捧呈の順に高くなります。また,出席者が民間の政・経・財界人,文化人などの場合は,一律に序列を決めることが困難であるため,行事の趣旨・年齢などに照らして,出席者の年齢,社会的地位,経歴等を踏まえて,個別に検討します。座席割にあたっては,まず中心となる席を決めた上で,出席者の序列に従って席を割り当てます。

信任状捧呈式の際の馬車列の様子
 

名前と敬称に関するプロトコール

名前については,本人が希望する呼び方や記載をすることが大切です。ミドル・ネームがある場合や,長い名前の場合にどの部分を呼ぶのが良いか,また,どれが姓でどれが名前かわからない場合もあるので,その都度確認して正しい呼び方や記載を心がける必要があります。また,呼称や敬称についても,それぞれ適切な言葉を使い分ける必要があります。女性への呼称では,Miss(未婚女性),Mrs.(既婚女性)が使われますが,近年では女性が独立して仕事を持つ機会も多く,既婚と未婚の区別は必要ないとの考え方から「Ms.」を使うケースも増えています。

主な敬称

His/Her Majesty 国王への敬称
His/Her (Royal) Highness 王族や王子・王女への敬称
His/Her Excellency 大統領,首相,閣僚,大使への敬称
The Right Honorable (英国)爵位を有する貴族,首相,各省大臣等への敬称
The Honorable (英国)公爵以下の貴族の子女,最高裁判事,英連邦各省大臣等への敬称
(米国)公選で選ばれた,任命された政府高官,州知事,市長,各省長官,自国大使,公使等への敬称
※規則性はあるが,国による違いがある。
※臨時代理大使,公使,総領事などに閣下などの敬称は不要。Mr. Mrs. Ms. Miss + フルネーム

 

会食やパーティーの際のプロトコール

レシービング・ラインの例食事をともにしながら親睦を深めるために,会食が催されることがあります。ここにも,いくつかのプロトコールが存在します。まず,主催者側のルールとして,主賓より地位が高い人をゲストに呼ぶことを避ける,国家間の関係に問題のある国同士を招待しない等,ゲストの人選に対する配慮があります。また,会食で提供する料理や飲み物に対する宗教上の制約やベジタリアン等の嗜好に対する配慮等も重要です。大人数のフォーマルなパーティーでは,主催者がゲストを迎えるため,パー ティー会場の入り口付近でゲストを迎える「レシービング・ライン」を作る場合があります。レシービング・ラインでは,主催者がゲストを迎え挨拶を交わした後,ゲストは会場内に進みます。招待される側のルールとしては,パーティーの際の服装に関するマナー(ドレスコード)等があります。招待状に服装の指定がなされますが,近年服装は簡略化の方向にあり,平服であれば,男性はラウンジ・スーツ,ダークスーツ(黒っぽい色の背広),女性はワンピース,スーツ等となります。一般的にドレスコードは,午前・午後,夜などといった時間(Time),保守的か,開放的かといった場所柄(Place),公的な位置づけの行事か,カジュアルな行事かといった行事の性質(Occasion)を踏まえて考えます。

ドレスコード

  招待状の記載 男 性 女性

正礼装・準礼装(夜)
宮中晩餐,
大統領主催晩餐等

White Tie/
Long Dress

ホワイト・タイ
(燕尾服)

フルイブニングドレス/ロングイブニングドレス(ヒール丈又はトレイン丈)

Black Tie/
Long Dress

ブラック・タイ
(タキシード)

セミイブニングドレス/ディナードレス(アンクル~ヒール丈)

正礼装(昼)
昼間の宮中行事等

Morning Coat/
Day Dress

モーニング・コート

アフタヌーンドレス

略装(昼,夜)

Informal/
Lounge Suit

平服(ダークスーツ/ラウンジ・スーツ)

平服(スーツ/ワンピース)

 

結び

これまで,「プロトコール」とは何か,またその基本的な考え方や背景などについて,国旗の掲揚方法や着席順の決め方など,具体例を説明しながらご紹介してきました。こうした国際社会で共通する基本的なルールやマナーを理解し,実践することが,お互いを尊重しながら国際交流を進めていくために必要であることをご理解頂けたと思います。是非皆様が外国の方々と交流される際の参考としていただき,国際交流,国際理解が進むための一助となることを願っています。

 
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