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Vol.118 2014年8月13日
アベノミクスと経済外交

アベノミクスとは,日本経済の再生のために,「大胆な金融政策」,「機動的な財政政策」及び「民間投資を喚起する成長戦略」の「3本の矢」を一体的に推進する経済政策のことです。すでに株価や経済成長率,企業業績,雇用等,多くの経済指標が改善しています。今回は,第3の矢である「成長戦略」の中身とその効果について,特に経済外交の観点から紹介します。

アベノミクスの成果,続々!

アベノミクスの第3の矢である「成長戦略」とは,規制緩和等によって,民間企業や個人が真の実力を発揮するための方策をまとめたものであり,日本経済を持続的成長に導く道筋を示しています。そのベースとなっているのは,「投資の促進」,「人材の活躍強化」,「新たな市場の創出」及び「世界経済とのさらなる統合」といった視点です。アベノミクスの本丸とも言える「成長戦略」に基づき,すでにこれまで異次元のスピードで様々な具体策を決定・実行してきました。「成長戦略」の施策実行状況

グローバル化により,日本経済と世界経済が互いに影響を及ぼし合う中,「成長戦略」では,日本の企業や人が積極的に海外市場に打って出るとともに,「世界のヒト,モノ,カネ」を日本に惹きつけることで世界の経済成長を取り込み,日本の成長につなげていこうとしています。ここでは,「成長戦略」の国際展開部分を中心に,アベノミクスと経済外交の関連について焦点を当てていきます。

 

国境を越えて ~ 経済連携の推進

まず,具体策のひとつとして挙げられるのが,経済連携の推進です。貿易,投資,サービスの自由化や,経済の様々な分野における制度面を整備することで,企業がより円滑に活動できるような環境を整えていこうとしています。日本は現在,ASEAN諸国を中心に13の国と地域との間で経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)を締結しています(2014年7月現在)。2014年1月には,日・トルコ間でEPA交渉を年内に開始することで合意し,7月には,7年越しの交渉となった日・オーストラリアEPAが署名 されました。さらに,同月には,日・モンゴルEPA交渉において大筋合意に至りました。今後も引き続き,環太平洋パートナーシップ(TPP)協定東アジア地域包括的経済連携(RCEP),日中韓FTA,日EU・EPA等の経済連携交渉を同時並行的に戦略的かつスピード感をもって推進していきます。

 

「日本印」を世界に(1) ~ インフラ輸出の促進

世界のインフラ需要は,新興国を中心に急速に拡大しています。「成長戦略」では,日本企業が有する高い技術力によって,この膨大な需要を積極的に取り込み,ビジネスを拡大していこうとしています。そのための有効手段として行われているのが「トップセールス」です。安倍政権発足後,ASEAN,中東,北米,アフリカ等において,総理・閣僚による強力なトップセールスを実施し,企業関係者からなる経済ミッションも多数これに同行しました。その結果,2013年の日本企業によるインフラ受注実績は,前年比約3倍の約9.3兆円に増加しました。マレーシアの火力発電所やインドの貨物専用鉄道等,多くの大規模なインフラシステム案件を日本企業が受注しています。また,貿易保険の対象拡大や,インフラ輸出機構(株式会社海外交通・都市開発事業支援機構)の創設など,企業に対する支援の強化も同時に行っていきます。

総理・閣僚によるトップセールス実施国
 

「日本印」を世界に(2) ~ クールジャパンの発信

ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」は,正月などの年中行事との密接な関わりも,その特徴のひとつとして挙げられます。日本には,和食や日本産酒類,アニメやファッション,ドラマや音楽など,海外から注目を集める優れたカルチャーやコンテンツがたくさんあります。「成長戦略」においても,「クールジャパン」と呼ばれる日本文化の魅力を世界に伝える活動をより活発化させることにより,海外マーケットの拡大や,訪日外国人旅行者の増加を図っていこうとしています。2013年11月には,「クールジャパン」に関する施策を分野・業種横断的に推進する拠点として「クールジャパン機構(株式会社海外需要開拓支援機構)」を設立しました。今後,海外において日本商品を戦略的に売り出すための商業施設の展開や,同年8月に設立された「放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)」との連携による日本のテレビ番組の海外放映事業等に取り組んでいくこととしています。

 

ようこそ日本へ!(1) ~ 外国人旅行者の受入れ

日本は四季折々の魅力に富んだ豊かな自然や,クールジャパンに代表される独自の文化など,優れた観光資源を有しています。こうした日本の魅力により,海外から日本に人を惹きつけるべく,訪日外国人旅行者の受入れ に関する取組も進めています。2013年のタイ,マレーシアへのビザ免除を含むASEAN諸国へのビザ緩和が奏功し,訪日外国人数は,初めて1000万人を達成しました。今後は,2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等の開催に向け,訪日外国人数2000万人の高みを目指していきます。2014年6月には,観光立国推進閣僚会議において,「観光立国実現に向けたアクション・プログラム 2014(PDF)」が決定されました。これに基づき,外務省としては,インドネシア向けにIC旅券事前登録制によるビザ免除,フィリピン,ベトナム向けに数次ビザの大幅緩和及び指定旅行会社経由で一次観光ビザの簡素化を行うことを決定し,2014年7月には,2014年1月の安倍総理の訪印の際に決定したインド向け数次ビザの発給を開始しました。また,消費税免税対象物品の拡大,無料公衆無線LANの整備促進をはじめとする多くの取組を推進し,世界に通用する魅力ある観光地域づくりを進めていきます。

ASEAN諸国等に対するビザ緩和

  開始日 国名 以前の措置 緩和措置
2013年 7月1日 タイ 数次ビザ(90日) ビザ免除(15日)
マレーシア 数次ビザ(90日) ビザ免除再開(90日)
ベトナム 一次ビザ(90日) 数次ビザ(15日)
フィリピン 一次ビザ(90日) 数次ビザ(15日)
インドネシア 数次ビザ(15日) 数次ビザの滞在期間延長(最長30日)
11月18日 カンボジア 一次ビザ(90日) 数次ビザ(15日)
ラオス 一次ビザ(90日) 数次ビザ(15日)
2014年 1月15日 ミャンマー 一次ビザ(90日) 数次ビザ(15日)
7月3日 インド 一次ビザ(90日) 数次ビザ(15日)

訪日外国人旅行者の推移
 

ようこそ日本へ!(2) ~ 外国人材の受入れ

人材の獲得競争が激化する中,日本経済のさらなる活性化を図り,競争力を高めていくためには,優秀な人材を日本に呼び込み ,定着させることも大切です。そのため,高度な能力を有する外国人(研究者,技術者,経営者等)の受入れ要件を緩和し,各種の優遇措置を講じることとしました。また,2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設分野における人材確保のため,即戦力となる外国人材の活用促進を図ることとしました。日本とインドネシア,フィリピン及びベトナムとの間では,経済活動の連携の強化の観点から,締結されたEPAに基づき看護師・介護福祉士候補者の受入れを行っています。今後,外国人技能実習制度の見直しを行うとともに,「女性の活躍推進」のための外国人家事支援人材の活用や介護分野における外国人留学生の活躍支援など,持続的成長の観点から緊急に対応が必要な分野について,外国人材受入れに向けた制度の検討を進めていきます。

 

ようこそ日本へ!(3) ~ 対内直接投資の推進

INVEST JAPANのロゴマーク日本が世界レベルの競争力を保つためには,世界中の優れた人材と投資を惹きつける魅力的な場,「世界で一番ビジネスがしやすい環境」を構築し,外国企業による日本への直接投資(対内直接投資)を推進していく必要があります。「成長戦略」では,2020年における対内直接投資残高を「35兆円へ倍増する」という,高い目標値を設定しました。この目標を達成するためには,投資環境の改善に資する規制改革や,投資拡大に効果的な支援措置の検討など,諸課題を明らかにし,総合的な対策を講じていかなくてはなりません。このため,2014年4月に「対日直接投資推進会議」が設置されました。今後はこの会議を司令塔として,投資案件の発掘や誘致活動,必要な制度改革の実現に,政府横断で取り組んでいきます。あわせて,JETROのワンストップ機能 の強化により,個別の企業誘致案件を促進していきます。

我が国の対内直接投資残高の推移
 

これからのアベノミクスと外交

このように,外交面から見ても,様々な施策が行われている「成長戦略」ですが,現在の経済の好循環を一過性のものに終わらせず,持続的な成長軌道につなげるためには,さらなる構造改革が必要です。このため,2014年6月24日には,「『日本再興戦略』改訂2014」が閣議決定されました。今回の改訂では,とりわけ残された課題とされていた,労働市場改革,農業の生産性拡大,医療・介護分野の成長産業化等の分野にフォーカスを当て,解決の方向性を提示しました。また,法人税改革,国家戦略特区での岩盤規制の突破,女性の活躍促進等についても,具体策を盛り込んでいます。今後も個別施策の進捗や政策群ごとの成果目標の達成状況を厳しく検証し,柔軟に施策を見直しながら,アベノミクスによる日本経済のさらなる成長・発展を目指していきます。

安倍総理から国民の皆様へ向けた動画(2014年6月25日)
 
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